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その白い花、約束につき・3

本日二度目の更新です

 自分の迷宮に戻った。

 シエルはムラサメからアドミラの話を聞くと、

「きっと、アドミラはそのキラルクって男が今でも好きなのよ。残念だったわね、タード」

 と意味のわからないことを言った。

「別に男の影が見えようと胸が硬くなるわけじゃねぇし、関係ないだろ」

「またまた。でも、きっとその男の人はもう死んでるわね。アドミラにとってその人は永遠になったのね。ちょっとそういう恋にも憧れるわ……」

「死んだら股座も弄れないだろ」

「もう、そういう下品な話じゃないのよっ! タードって本当にデリカシーがないわねっ! じゃあ、タード。早速売りに行くの?」

「当然だ。まぁ、これだけの量だ、多少の値崩れは仕方ないが、目標の十五万ポイントには届くだろ――ムラサメも一緒に来るか?」

「いえ、私はこれからゴブリンの村で稽古をつける約束がありますゆえ」

「ゴブリンに剣術を教えてるのか?」

「はい。教えることでまた学ぶこともございますゆえ」

 鍛練なんてしなくてもポイントで増えるんだけどな。

 ちなみに、迷宮に帰ってからムラサメの強化もつつがなく終えた。

 今回は本体であるカタナの強度を高めることにした。カタナの強度が上がることで、ムラサメの作るマヤカシの強度も上がるのだそうだ。

「ところで、シエル。お前、花言葉って知ってるか?」

「花言葉? 知ってるけど、個別の花言葉は知らないわよ。食べられる花なら大体知ってるけど、花言葉は学校では習わなかったわね」

「この花の花言葉は儚い幸福だ――なんかぴったりだよな」

「……そうよね。確かに」

 シエルが神妙な顔で頷いた。

 こいつは本当は何もわかっていないな。


「おや、あんたたちかい」

 買い取り屋の顎鬚の濃いおっさん――ドワーフらしい――は俺を見るとそう言った。

「また、例の物をもってきたのかい?」

「あぁ、まずはこっちを見てくれ」

 と俺は絵画を渡した。綺麗な女性が描かれている絵画だ。

 おっさんはふんっと絵画を見て、

「三百ポイント」

 と一瞬で査定結果を告げた。

「安いな。小さいとはいえラキラ・キヌックスの絵だ。最低五百万シールはくだらない。その画家の全盛期の作品――」

「のレプリカだ。あんたならそのくらい見たらわかるだろ?」

 と言われて俺は舌打ちをした。

「ちっ、300ポイントでいいよ」

 あまりにもよくできたレプリカだったので、もしかしたら騙せるかと思ったが、伊達や酔狂で買い取り屋の主人をやっているわけじゃないってことか。

「今度はもっとうまい贋作を持ってきな。で、そっちも買い取るのかい?」

 とおっさんは俺に尋ねた。やけに不機嫌そうに。

「あぁ、こっちがメインだからな」

 と俺は白い花を全て置く。

 おっさんはまたも一瞬で査定を終えた。

「十三万六千ポイントだ」

「十五万にしろ。必要なんだ。そのくらいの値上げは可能だろ?」

「そっちの都合は知らないね」

「シエルの胸を触らせてやる」

「ちょっと! タード、勝手に何言ってるのよっ!」

「興味ないよ、そんな小さい胸。女はボインボインじゃないと」

「上等よ! 二人とも表に出なさいっ!」

 とシエルが叫ぶが、無視した。

 仕方ないな。

「ほら、これでどうだ」

 と俺はもう一つの包みを渡した。

「その花の種だ」

「タード、その花の種、もしかして――勝手に持ってきたのっ!?」

「保険だよ――」

「八千ポイントだね」

「全部で十五万にしろって言っている。種から花を咲かせてここに持ってくるのは面倒だ」

 俺が言うと、おっさんは少し考え、そして言った。

「……条件がある。二度とこの花を持ってくるな。それなら絵も合わせて十五万にしてやるよ」

 それは、俺にとっても願ってもない話だった。

 どうせ種を全部盗んできたから、もうあの花を持ってこられることはない。

 交渉が終わり、花と種は全ておっさんが引き取り、俺には十五万ポイントが入った。

「あんたはこの花が嫌いか?」

「あぁ、見るだけでも反吐が出る。特にそんな花はな」

 と、ドワーフのおっさんは吐き捨てるように言った。

「奇遇だな、俺も同じだよ」

 こうして、無事、俺に十五万ポイントが貯まった。


 ポイントを貰った俺は、町の外に向かった。

「タード、いい加減に教えて」

「何をだ?」

「あの花、なんであんなに高額なの? 普通、花って一本一ポイントくらいでしか買い取ってくれないのに。前だって、銀食器より花一本のほうが高かったじゃない」

「……知らない方がいいと思うがな」

 と前置きをして、俺がその花について説明すると、徐々にシエルの顔色が悪くなる。

「それを聞いたら、きっとアドミラは悲しむわね。じゃあ、そのキラルクって男の人も」

「きっと死因はあの花だよ……儚い幸福さ」

現在の課題 (クエスト)

・シエルを結界の中に連れて行こう

・アドミラを結界から出して、胸を触ろう

・十五万ポイントを用意しよう(complete)

・2500ポイントを使ってタードを強化しよう

・キラーアント対策を練ろう

・リザードマンスポーンを設置できるようになろう

・村を作ろう

・冒険者をおびき寄せる餌を用意しよう

・ムラサメを強化しよう

・一年後の新人戦に備えよう

・冒険者を迎撃できるようになろう

・妖刀ムラサメの解呪をしよう

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