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その過去、茨の戒めにつき・3

 ガシャドクロ?

 なんでそんな魔物が現れたんだ?

 ミミコとムラサメを乗せているが、本当に仲間なのか?

 そう思った矢先、ムラサメが俺の方に自らの本体であるカタナを投げてきた。と同時に、マヤカシであるムラサメの体は消え去り、俺の目の前に現れて自らのカタナを受け止めた。

「お待たせいたしました、ご主人様」

「いや、待ってねぇけどな。あれはなんなんだ?」

「この町に彷徨っていたスケルトンたちを私とミミコとで、聖灰を使って浄化してまわりました。意識を取り戻した者のうち、多くのスケルトンがクロウリーへの復讐を希望なさったので、ミミコが合成しました」

「合成って、お前。合成に使ったメダルは……まさか」

「……はい。ご主人様が用意していたものを全て……」

 なん……だと?

 クロウリーから受け取った金のほとんどを俺はミミコが合成屋で使うメダルに交換し、それをミミコの宝箱の中に入れていた。

 それでさらに金を稼いでから、ニキティスに金を返す予定だったのに、それを全部使っただと?

 あれほど勝手に使うなって命令していた。配下の魔物は命令には絶対に従わないといけない。それなのに、どうしてミミコはその命令に逆らう事ができたのか?

 そんなもん、今となっては答えは簡単だ。

 忘れていたんだろうな、綺麗さっぱり。

 なんてこった。借金の返済が遠のくではないか。

「申し訳ありません。私が少し目を離した隙に」

「いや……だが正直助かった。この損害は全部ダンジョン戦管理委員に請求することにするよ」

 ガシャドクロの拳がクロウリーの配下である強化されたスケルトンたちを薙ぎ払う。

 いくら強化していたところで、こいつらはいわばガシャドクロの劣化版だ。

 格が違うんだよ、格がな。

「くっ」

 クロウリーが身を翻して逃げ去ろうとする。

「ミミコっ! ガシャドクロでクロウリーにとどめをさせっ!」

「うん、わかった☆」

 ミミコがそう言ってガシャドクロに攻撃を仕掛けさせるが、その拳を金色に光るスケルトンが受け止めた。

 なんだこいつ、他のスケルトンと何かが……そう思った時。スケルトンはガシャドクロの拳を持ち上げた。

 ガシャドクロの巨体が宙に浮かび、その上に乗っていたミミコが落下をはじめた。

「ミミコ様、宝箱の中に隠れてください! 土壁アースウォールっ!」

 モルモルがそう指示を出すと同時に、魔法を唱えた。

 でも、なんで土壁を――と思ったが、巨大な壁は現れてその意味を理解した。形が普通の壁ではなかったのだ。

 その壁の上の部分が滑り台のようになっていて、落ちてきたミミコの落下の勢いを徐々に和らげていき、そのまま地面に降り立った。

 そして、宝箱の蓋が開き、

「わぁ、楽しかったっ! もう一回したいなっ!」

 と呑気に言った。どうやら助かったようだ。

 モルモルの奴、攻撃魔法が苦手だとか言っていたくせに。いや、それも今更だな。

 そして、黄金に光るスケルトンはそのままガシャドクロを投げ飛ばそうとした、その時だ。

 がしゃどくろを持ち上げていることで隙だらけになったその体に攻撃をしかけたのはアドミラとムラサメだった。

 アドミラのクワとムラサメのカタナ。同時に襲い掛かったが、

「なっ!」

 黄金のスケルトンは片手でガシャドクロを持ち上げたまま、片手でムラサメの剣を受け止め、そしてアドミラのクワをなんと足の指で受け止めていた。

 なんてバカみたいな力を持っているんだ、こいつは。

「……あいつがクロウリーのダンジョンの裏のボスよ」

「シエル、目を覚ましたのか?」

「ええ……何故か首がとっても痛いんだけど……」

 シエルがジト目で俺を睨んできた。仕方ないだろ、こっちは緊急事態だったんだから。

「それより、裏のボスってどういうことだ?」

「エルザに憑りつかれていた間、彼女の記憶を少しだけ見せてもらったの。それによるとクロウリーはエルザに戦わせたくなかったから、ポイントでは一切エルザを強化せずに一体のスケルトンの強化に力を注いだ――それがあのスケルトンよ」

 なるほどな。つまり、あいつを倒せば実質このクソダンジョンもクリアということか。

 ようやくわかりやすい展開になってきたじゃないか。

 投げ飛ばされるがしゃどくろを見て、俺はそう思った。

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