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その吸血鬼、情報源につき・2

すみません、今回はちょっと短めです。

「ここにいましたのね」


 俺がアストゥートと話していると、ニキティス、リッシュ、シルエッタの三人娘が現れた。


「おぉ、三人娘。遅かったじゃないか」

「遅かったじゃないかではありませんわ。こちらはあれからずっと調べていたんですわよっ!」


 俺の言い方に勝手にニキティスが怒る。が、それでは話が始まらないと思ったのか、リッシュが話を始めた。


「クロウリーについて調べたよ。彼の専門は死霊魔術師だった」

「あぁ、それは今、アストゥートから聞いた」


 と俺は隣にいるアストゥートを見上げて言う。


「他に何か情報はないのか?」

「えっと、他にあった情報はね、クロウリーさんの卒業論文の内容だよ」

「卒論? また学生らしい内容を持って来たな。学生気分が抜けきれていないんじゃないか?」

「減らず口は聞いてからになさい。クロウリーの卒業論文の内容は、空間を冥界と入れ替えるというものでしたの」

「冥界と入れ替える?」

「ええ。と言っても、この卒業論文はかなり不完全な者で、教師の評判はよくなかったのですが」

 とニキティスは言葉を濁す。

 ソルベの話では、あいつが最初に島を訪れたときは町があったが次に訪れた時は何もない状態だったという。

 それがダンジョンの崩壊でなく、空間の入れ替えだとしたら。

「その卒業論文とやらを見せてもらってもいいかね?」

 とアストゥートの申し出に、シルエッタが一冊の本を渡す。

 アストゥートはそれをペラペラと捲り、

「なるほど、確かにこれは不完全だ」

 と、卒業論文が書かれているであろうその本をシルエッタへと返す。

「いや、むしろよく学生の身でここまで辿り着いたというべきだろうか?」

「アストゥート、どうなんだ? この論文を改良したら冥界との空間の入れ替えはできるのか?」

「可能性はゼロではない……がむしろゼロであったほうがいいと思うよ」

「どういうことだ?」

「この方法で空間を入れ替えた場合、場はとても不完全な物になる。空間は冥界とこちらの世界の狭間止まりだろうな。そして下手をすればそこに空間を固定される。そうなったら最後、そこから出ることも叶うまい。嫌な相手を閉じ込める魔法としてなら最適だろうな」


 その嫌な相手って俺のことじゃないだろうな。


「なるほど、つまりシエルはその冥界とこっちの世界の狭間にいる可能性が高いってことだな」


 ダンジョンの崩壊以外で居城のある町が僅か七日で跡形もなく何もかもなくなってしまう可能性を考えると、やはり空間が入れ替えられた可能性が高い。


「情報としてはこれで十分だろう」

「最後に頼みがある。俺たちをそのクロウリーがいたという島まで連れて行ってくれ」

「そこまでする約束はしていない」

「全部終わったらシエルの胸を触ってもいいぞ」

「興味がない」


 アストゥートはこれ以上俺たちと関わり合うつもりはないらしい。

 仕方がないので、俺は後ろにいるムラサメに目配せを送る。

 ムラサメは一枚の紙をアストゥートに見せた。

 するとアストゥートは一瞬逡巡し、


「…………わかった。転移扉を用意しよう。ただし、馬車の都合で人数は四人までにしてくれ。勿論、君の数は除外していい」

「ならばわたくしが――」


 とニキティスが一歩前に出るが、


「いいや、これは俺たちのダンジョンの問題だ」


 俺は断った。


「それに、四人までだって? はは、ちょうどいいじゃねぇか」


 俺を除けば四人。ムラサメ、アドミラ、ミミコ、ペス。


「幹部美女四人勢ぞろいで幼児体系の不幸ダンジョンフェアリーを連れ戻しに行かせてもらうとするか」

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