6 異世界二日目
あらすじ
アーリエは にんげんでは なかった!
しかし マコトは ひらりと みをかわした!
朝。清々しい朝だ。昨日は夜遅くに寝たが、異世界に来たと思うとやけに早起きしてしまった。修学旅行だと早起きしてしまうあれだ。
「アーリエは...いないのか」
辺りを見渡したが、アーリエの姿は見えない。どうやらまだ寝ているようだ。
「昨日の事、聞いておきたかったんだけどな」
結局、昨日はあのまま寝てしまった。アーリエの正体を聞かなかった。眠かったのもあったが、夜遅くに聞くのも野暮かなと思った。まあ、いつかは聞くつもりだが。
『人では無い者』か。とても気になる。神の加護を受けていないと書いてあったが、一体何者なんだろう。
「まあ、後で聞けばいいか」
後々分かる事にあまり考えても仕方がないと思い、俺は行動に移すことにする。
「さて、何をしようか」
外は快晴、朝早くに散歩でも行こうか。この部屋を物色したら何か面白いものが出てくるかもしれない。
「外に出てみるか」
外にはもしかしたら、俺が見たことない動物とかがいるかもしれない。キメラとか、ミノタウロス、ユニコーン、...良い響きだ。
「...この格好で行けるか?」
俺の今の姿はジャージ姿。この世界の人に見られたら、怪しまれるかもしれない。だったらどうするか...。
「うーん」
俺が悶々と悩んでいると、奥のドアからガチャリという音がした。
「おはよ...ふわあ...」
「アーリエか、おはよう」
奥からパジャマ姿のアーリエがでてきた。昨日の姿とは違い、シンプルなピンクのパジャマだ。可愛い。
「...可愛い」
「...」
華麗にスルーされた、悲しい。
「今日も話を聞こうと思ったんだけど...君も話してばっかりじゃつまんないよね?」
これはあれか、町に行こうとかいう流れじゃないか。
「つまらない訳じゃないけど、外に出たいっていう気持ちがないわけじゃないな」
「というわけで、町に行こう」
町...ついに来たな...俺の異世界生活一歩目の場所!
「町って、どんなことができるんだ?」
「うーん、やっぱり一番といえば、グランドギルドへの登録かな」
「グランドギルド?」
グランドギルドか、見慣れない単語だな。
「グランドギルドっていうのは所謂集会場みたいなところだね、登録すればクエストを受注できたり、職業を決めたり出来たりするよ」
職業か...順当に考えればオーソドックスなのはやはり戦士とかなのだろうか。
「職業ってどんなのがあるんだ?」
「初級職、下級職、中級職、上級職っていうのがあるよ」
「初級職?下級職とかなら聞いたことあるんだが...」
「いわば下級職になる前の練習みたいなものだね。そもそも、大体の人なら下級職にならなくていいんだけど」
「なんでだ?」
「初級職は才能がないって感じなんだ。普通はある程度の素質を持っているから」
初級職か...俺はならなければいいんだが。
「さてさて、そろそろ行こうか」
「行きたいのもやまやまなんだけど、俺はこのままでいいのか」
そう、いまの俺はジャージ姿。普通に考えれば怪しまれる。
「うーん...まあ、何とかなるでしょ」
「実に適当だな魔導士さんよ」
おい、それでいいのか魔導士。
「大丈夫大丈夫、町の人から怪訝な目で見られるだけだよ」
「それが嫌なんだよ」
どこまで適当なんだこいつは。
「仕方がない、『ファントムミスト』!」
アーリエが手を俺のほうにかざした。それと同時に俺の体が光ったが、俺の体に変化はなかった。
「...何も変わってないんですが」
「まあまあ、行くよ!」
いつに間にやら着替えていたアーリエに押され、俺はドアノブに手を掛けた...。
着替えシーン、覗きたかったなあ...。