3 来たり異世界
第3話です
あらすじ
鏡から
美少女が出て
異世界に
「えっ...」
「パキッ」とまるで鏡が割れた様な音がした。そう、「まるで鏡が割れた」様な音がした。
(ま、まずい...)
音がしただけじゃない。完全に割れている。
(な、何かで隠せば...)
布でもタオルでもなんでもいい、とにかくバレなければなんでもーー
「どったの?」
「ああぁあぁあああぁあ!」
「ふぇっ?」
「じゃあ外に出よう!うん!俺この世界まだ見てないし!うん!さあ早く行こう!うん!」
取り敢えず話を逸らして誤魔化す。何やら「うん!」が多い気もするが、なんとかなるだろう。
「あ、そうそうその鏡...」
「さあ行こう!今すぐ行こう!うん!」
「いやだから...」
赤髪の美少女の話を遮り、背中を押して扉に向かわせる。大丈夫だ、完璧に誤魔化せている。
「いやだからその鏡...」
「鏡?そんなの良いから良いから!さあ行こう!明日はこの先にあるさ!」
「割れるから気を付けてねって言おうとしたんだけど...」
「...えっ?」
「あれ?もう割れてるじゃん」
......どうやら、焦って損をしたそうです。
「まだ自己紹介をしてなかったよね」
「そういえばそうだったな」
俺はまだこいつの名前を知らなかった。確かあったの世界にいる時に「大魔導士アーリエ」なんて言っていた様な...。
「わたしの名前はアーリエ・ミレアス。職業は大魔導士で、魔道具店を経営しているよ」
「魔道具店って、ファンタジーでよく出てくる奴?」
「まあそう考えるのが一番簡単かな」
魔道具か...、雷を出したり、何かを凍結させたり、ラノベ好きには欲しい一品だ。
アーリエが首を傾げて言った。
「じゃあ君の事も教えてよ」
「俺の名前は白河誠。見ての通りの高校生で、年は十七歳だ」
「聞いてもないのに年齢を答えるなんて、アイドル?」
「いや違うから」
確かにアイドルは年齢をよく言うものだ。
「白河誠、この世界では、「マコト・シラカワ」って名乗った方が良いかも」
「なんか、外国みたいだな」
「この世界に漢字なんて無いからね」
それもそうだ。異世界に漢字なんてあったらイメージがすば崩れてしまう。...そういえば、俺は異世界語?を読めるのだろうか。
「ここって、異世界なんだよな」
「君から見れば、ね」
「だったら、俺って異世界語って読めるのか?」
「あ」
完全に忘れてやがったな此奴...。
「と、取り敢えず、これを見てみて」
そういってアーリエは、腰にかけているバックから、紙を一枚取り出した。
「こんにちはって書いてあるんだけど、読める?」
「全然読めねえ...」
この世の全ての記号を当てはめようにも当てはめない、そんな記号をしていた。
「まあ知ってたんだけどね」
「知ってたなら聞くなよ!」
「あはは...」
そう言ってアーリエは、さっきのバッグから緑色の宝石が付いた指輪の様なものを取り出した。
「ててててってててー、「ほんやくこんにゃk...」」
「まず食べれないだろそれ」
「すいませんふざけました」
「まず何でドラ○もん知ってんだよ」
何故異世界の奴がドラ○もんを知っているのだろうか。
「まあちょっと勉強してまして...、まあこれには名前を付けて無いんだけどね」
「それには何か効果があるのか?」
「私が開発した魔道具の一つでね」
魔道具と聞いて俺は胸を躍らせた。
「魔道具!」
「そう大した物じゃないけど。これには動物の声とかを分かる様にする魔法を応用したものを封じ込めているんだ」
そう言ってアーリエは、指輪を俺に渡して来た。
「はめてみて、決して、左手の薬指にはめないでよ?」
アーリエは、悪戯をする少女の様にはにかんで笑いながら言った。
俺は、左手の薬指に迷う事なくはめた。