バックハンド、ツッツキ
バシューン、カコン、バシューン、カコン。
「大分フォアも打てるようになってきたね。じゃあ次はバックハンドをやってみようよ」
「バックハンドか、今は当てるだけになってるけど、これも強打できるようになるのか?」
「うん、できるよ。バックハンドはフォアみたいに振るというより押すっていうイメージかな?まずボールに向かって正面に立つんだ。それから肘をたたんでラケットの先をこう立てて、押し出すようにやってみて。それじゃサーブを出すよ。」
ボールの正面立って、肘をたたんで、ラケットを立てて、押し出す。
カコン、カコン、カコン、カコン、カコン、カコン。
なるほど、思っていたより簡単だ。
「上手い、上手い。純は飲み込みが早いな。じゃあ次のステップに行ってみようか。次はボールに回転をかけてみようよ。」
「回転!面白そう!」
「まずはボールに下回転をかけるツッツキっていう技をやってみようか。ラケットの面を台と平行とまでは言わないけどこう上に向けて、ボールの下を切るようにつつくんだ。ボールの当たる瞬間まで力を抜いて、当たった瞬間ぐっとラケットを握ると回転がかかるんだ。あと、打った後は力を抜いてもとの姿勢に戻るんだ。それから右足をラケットの下に来るように動かすとボールが安定するよ。これも打った後はもとの姿勢に戻るようにやってみて。じゃあサーブ出すよ。」
ボールの下を切るようにつつく。
コツン、コツン、コツン、コツン。
なんかラバーにボールが食い込む感じがする。
「徹、これってどのくらい回転がかかってるんだ?」
「そうだね、じゃあそのままツッツキして。」
コツン。
俺はツッツキでボールを徹に打ち出す。徹はラケットを台と垂直にしてボールに当てた。すると、ボールがストンと勢い良く落ちた。
「下回転はボールを落とす作用があるんだ。純の今のツッツキはこのくらい回転がかかってるんだ。」
「おおー!何かスゲー!」
「もう少し続けてやってみようか。」
コツン、コツン、コツン、コツン。
このボールが食い込む感覚癖になりそうだな。
キーン、コーン、カーン、コーン。
「もうそんな時間か。片付けるか。」
ボールを拾い、ネットを外し、台をたたむ。道具を倉庫にしまうと、体育館のモップ掛けだ。
「今日も楽しかった。ありがとな徹。」
「いやいや、僕こそありがとう。卓球は一人じゃできないもんね。純達が一緒に卓球やろうって言ってくれて嬉しかったよ。」
「そうか、なんだか照れるな~。」
「純ばっかり徹と打ってズルいぞ、明日は俺とな徹!」
「うん。」
明日も楽しみだ。