フォアハンド
「皆、部活行こうぜ!」
昨日卓球を始めたばかりだけど、楽しみでたまらなくなっている。授業が終わった瞬間、皆で体育館へと走った。倉庫から卓球台を取り出し広げると皆して徹の前に群がった。
「徹先生、今日は何を教えてくれるんだ?」
「そうだね、今日は基本中の基本フォアハンドかな。」
「フォアハンド!」
「えっとね、フォアハンドはラケットを持った手のひら側で打つことを言うんだけど、僕シェークハンドのラケットしか使ったこと無いからシェークで説明させてね。まずグリップだけど、指でピストルを作るように持つんだ。それから手の力を抜いて、ラケットの面を卓球台と垂直にしてバックスイングを取って前に振る。こんな感じかな。」
そう言って見せる徹の動きは速く、ラケットは風を切る音を出していた。なんかカッコイイ。
「実際に打ってみた方がいいかな?取り敢えずやってみよ。」
徹の指導を受けながら打ってみる昨日より遥かにいい球が打ててる。何かスゲー。
「うん、皆上手い上手い。あと、グリップを持つ手の工夫なんだけど、こうラバー寄りを持つと球をコントロールし易くて、グリップの端を持つと球に威力が出るんだ。分かってくると面白いよ。」
ふむふむ。それはなんとなく分かる。他のスポーツでも、例えば野球のバットとかも同じ要領だもんな。
「それからもう一つ工夫で、グリップの人差し指と親指の関係かな?親指と人差し指をこうラケットを挟んで近い位置にするとバックハンド寄りの持ち方で離すとフォアハンド寄りの持ち方になるんだ。まあ、これは追々ね。」
それから徹に球出しをしてもらいながらフォアハンドの練習をした。初めはオーバーしないように弱く打っていたけど、徹に言わせれば重力と空気抵抗で落ちていくから強く打って感覚を覚えた方がいいらしい。暫く打ち続けると何回かに一回は気持ち良くいい球が入った。なんか爽快!
「うん大分良くなったよ皆センス二重丸!じゃあ次は体全体で打ってみようか。足と腰を使うともっと威力が出るしコントロールも良くなるから皆やってみよう!」
難しそうだけど徹に言われるがままやってみる。右利きの俺は右足を少し後ろに引いて、バックスイングと同時に腰を右足側に落とし体重を乗せる。前にスイングすると同時に右足から左足に体重移動して球に威力を乗せる。
思った以上に難しい。体を使って打つって当たり前の様に思うことだけど、表現するのはまた別物だ。
何回も打ってやってみるけどなかなか思うようにはいかないな。つっても始めたばかりだから当たり前か。でも徹に教えてもらったらなんか凄く上手くなれそうな気がしたきた。さて、練習練習!