対カットマン
「よーーよーよー!」
よっしゃ、これで明も県大会進出だ。戻ってきた明とハイタッチする。源はどうかな?源の居るコートを見てみるとゲームカウント2-2の5ゲーム目8-8になっていた。うおー接戦だ。
「・・・山本くん、第1コートに入ってください。」
試合のコールだ。う~ん、源の試合が気になるけど仕方ない。明に源の応援を頼んで第1コートに急いだ。次の対戦相手はシードになっている口和高校の大下さんだ。練習を終え、ラケット交換すると、シェークの裏と粒高だった。また粒高か~。厄介だな。じゃんけんは大下さんが勝ちレシーブを選んだので、俺からサーブになった。
粒高はナックルだったな。大下さん少し台と距離を取って構えてるから短く行った方がいいかな?バックに短くナックルサーブを出す。大下さんは踏み込んでストップしてきたので、長めのナックル性のツッツキをバックに返す。あっ戻りが速い。大下さんの体勢は整っている。大下さんはラケットを振り上げた後、ボールを切るように返してきた。カットだ。粒高のカットはこっちがナックルのツッツキをしたから回転はあんまり無いはず。ドライブをフォアに。今度はフォア面の裏ソフトラバーでのカット。裏だから回転かかってそうだ。下から上にスイングしループドライブをかける。が、ラケットの角に当たりオーバーミスしてしまった。
「よーー!」
大下さんも叫ぶタイプの人だ。さっきのはしゃあない、次。今度はバックに上回転サーブを出した。返ってくるのは粒高のカット。回転は浜本さんの当てて返してくるときよりありそうだ。ループドライブで返すとまた粒高のカットで返ってきた。数球ドライブ対カットが続き、俺が先にミスしてしまった。まさかずっとこの感じで行くのか?ちょっとしんどいかも。
それからもカットを主体で展開してくる大下さんにドライブで応戦したけどこっちが先にミスをするのが多くて6-11で1ゲーム目を取られてしまった。ベンチに戻ると徹が駆けつけてくれた。
「純、やられちゃたね。」
「うん、攻めても全部カットで返されてこっちが先にミスしちゃうんだ。」
「カットマンか。カットマンは守備的な戦い方で相手にミスをさせようとするんだ。だからこっちもミスしないように粘り強く行かないといけないんだ。見た感じ大下さんは攻撃できるタイプのカットマンじゃ無いからツッツキを挟んで前に寄せてからドライブで下がらせるとか、左右に振ってみるのもいいかもね。あと、カットマンってミドルもけっこう効いたりするんだ狙ってみるのもいいかも。」
「なるほどね。根気強く行くよ。」
徹に背中を叩かれ台に向かう。2ゲーム目は徹のアドバイスを受けて前後左右に大下さんを動かしてミスを誘ってみるけど、まだ俺の方がミスが多くて9-11で取られてしまった。さて後が無くなった。徹も試合のコールが入って行っちゃったし、どうするかな。もういっそのことスピードのあるドライブでガンガン攻めてみるか。いや、いけるときだけにしよう。カットにも大分慣れてきたし、次はきっと取れるはずだ。
3ゲーム目お互いにお互いの打球に慣れてきたせいか一本一本が長い。でも焦っちゃダメだ。しぶとく、しぶとく。
試合は進み15-15。体力的にキツイな。よし、一本ぶち抜いてやる。バックにナックルサーブを出す。返ってきたツッツキをフルスイング。しかし、ネットに当たりミスしてしまった。やべ、やっちまった。大下さんのサーブ。バックハンドで回転量の多い下回転サーブが来る。ツッツキ、カット、ドライブ。さっきまでと同じパターンだ。よし、ツッツキで前に寄せてっと。あっツッツキが浮いた!さっきのカット回転少なかったのか。ヤバい。後ろに下がる。大下さんのスマッシュが来た。フォアのサイドを切るコースに返され、届かない。
「よーー!」
くそ~!負けちまった。大下さんと握手をして、結果を大会本部に持っていく。三回戦負けか。でも高校生相手によくできた方だよな。あ~~でも悔しい!もっと練習して次は勝ってやる。




