家庭環境
物心がついたときに持っていたもの。
普通なら、人形やら玩具やらなんだろう。
だけど、俺が持っていたのはナイフだ。
親が持たせてくれたもの。
12才を超えるまでの遊び。
普通なら、ゲームをしたり、友達と走り回ったりするんだろう。
だから、俺がしていたのは爆破。
親が教えてくれた方法を使って様々な物を爆発させた。
習い事。
普通なら、塾やらサッカーやらなんだろう。
だから、俺がしていたのは格闘、罠、話術、毒などの講座。
おかしい。
絶対、普通ならおかしいと気づくはずだ。
だけど、気づけない。
周りを見ていなかった、親の言うことを盲信していた、人間味が薄かった。
理由付けなんかいくらでもできる。
本当の理由は何だったんだろう。
親は俺に言った。
『お前は魔王になるんだ。
お前こそが魔王だ。
悪の権化だ。
他人の嘆きを聞いて笑い、他人の恨みを誇りにするような人間になれ。』
親は俺に言った。
『お前に幸福は必要ない。
不幸そうな顔をしろ。』
親は俺に言った。
『お前は嫌われて初めて価値ができる。
甘さを捨てろ。
他人の弱味を握り、傷口を抉るような人間になれ』
そんな家庭環境で育った俺が反発しない訳がない。
だから、俺は。
親を殺して勇者になる。