第四話
「もー私を放置して二人だけで話さないでよ!」
おっとと、瑞穂がむくれてる。少々二人で盛り上がりすぎたようだ。
「そう言えば瑞ねえ、卯月見なかった?」
「見てないけど?一緒に来てるの?」
「うん。別行動中なんだけど、なかなか戻ってこなくって」
なんでも悟くんの妹さんが来ないらしい。
それは心配だ。探しにいかないと。瑞穂もそう思ったのか
「じゃあ私たちで探しに行くよ。見つけたら連絡するから」
といって立ち上がる。
「お願い。楓さんもお願いします。」
悟くんは私たちとは学校が違うので、私は先輩ではない。
まぁ先輩とはそもそも先の輩と書くので、
年齢が上な自分は厳密には先輩なのだろうけど。
と、いうことを切々と説いた結果、悟くんは私のことを楓さん、
と呼ぶようになった。
正直な所、人から先輩と呼ばれると少し面映ゆい感じがするので助かった。
そんなこんなで妹さんである卯月ちゃん探しを始めたわけだが。
「ねぇ瑞穂?」「なに?楓」
よくよく考えると。
「私、卯月ちゃんを知らないから、探しようがないんだけど。
戦力外じゃない?」
「あ・・・・・」だよねだよね。
写真のひとつでも持っていればともかく、それすらなければ探しようがない。
「戻って悟くんと交代してくるよ」
さっきお願いされた手前、早々に帰るのは気が引けたけども、
これは不可抗力だ。
そう自分に言い聞かせて。来た道を戻る。