第二話
それは、夏休みの終わりが残り一週間と少しまで迫ったある日のこと。
この前行ったばかりにもかかわらず、瑞穂はまたしても例のショッピングモール
へ遊びに行こう、と言い出した。
この前行ったばかりじゃん・・・とは思いつつも暇で他にやることもなかったし、
あまり引きこもっているのもなぁ~、と思ってもいたのでこれ幸いと承諾した。
しかし、なぜか瑞穂は勘違いしてるらしく、
「ようやく女の子としての自覚が~」
だの
「やっぱりショッピングに目覚めたのね!」
などなどしたり顔でうんうんと頷いている。
訂正しようかな、とも思ったのだが、どうせ瑞穂のことだ。
訂正すればするほど
「ムキになって否定しようとしている!→恥ずかしくて認められないのね!」
と、余計勘違いを拗らせるだろうから、もうこれは放置に限る。
およそ一年ほども付き合ってきたのだ。対処するにもいい加減慣れた。
「はいはい、馬鹿なこと言ってると置いていくよ?」
「わわわ、置いてかないで~」
ふと気がつく。自分は今、笑っていると。
「どうしたの~?置いていくんじゃなかったの~?」
「なんでもない!」
こんな馬鹿なやり取りが楽しかったのだ、と言えばこの友人は
絶対に増長するだろうから。
”ありがとう”と心のなかで呟く。