忘却のバンジオン
その話は昭和の頃までさかのぼる。
この頃にも神様はいた。
幸福の神様。
人々に幸せを与えてくれるありがたい神様。
名前は"バンジオン・トゥードー"。
バンシオンでもかまわない。
何度も何度も幸福を与えても、人々は幸せにはならなかった。
街は焼け、地面には死体が転がり、泣き声だけが響き渡る。
こんなに悲しいことなんてあるのか。
次第に人々はバンジオンの存在を忘れていった。
着々と街は復興に向かっていった。
すると、「贅沢は敵だ」とかかれた看板が
所々に貼られている。
幸せは敵なのだ。
バンジオンは、自分という存在に疑問を持った。
こうして完全に忘れられていくと共に、幸福の神様は姿を消した。
全ては人々の空想だったのだ。