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ロールプレイングハント  作者: 閃光 眩
21/41

第19話:村旅

ロールプレイングハントの常識

囮餌(オトリエ)

主に海で使う言葉で、生き物達を集めるために使われる餌のこと。地球では撒き餌と呼ばれる。

「いってきます」

ジャストロとロミは、村の外まで見送ってくれた狩り仲間に別れを告げ、外に出た。まず目指す場所、隣村へと向かう。実は2人とも隣村に行くのははじめてであり、楽しみであった。

「あのさ…この格好少し面倒なんだけど脱いでいい?」

ロミは袖の広い服を広げながらジャストロにたずねる。

「いや、だめだ。いつもの格好だと、俺たちのいる村しかいられないからな」

「そーだよねー…ジーク幻将軍もそういってたから仕方ないんだろうけど」

それもそうだ。ロミのいつもの格好といえば、胸は鳥類から作ったふかふかの普通では服とは呼べないものをまとい、下はミニスカートのみ…さすがに刺激が強すぎる。

とりあえず、ロミには今日我慢してもらおうと思いながら進むと、ふと視線を感じ、そちらに視線を向けた。なぜか空間の一部が霞み、歪んでいる…

「やっぱりなんかいるよね…あたしも感じた…」

ロミも一気に気を引き締め、辺りに目を凝らした。

すると…

「!?」

いきなり視界の一部が動き出した。その奥には、同じ背景。しかし、先程のように霞んではいない…

「チカレオノスか…」

「みたいだね…!」

事件の犯人は透奪龍(トウダツリュウ)チカレオノス。地球でいうカメレオンのようなドラゴンである。しかし、大きさはそれなりにあり、ジャストロたちの身長のさらに倍はある…

幸い相手は落ち着いており、攻撃はしてこない。これは急いでいる2人にとっては好都合で、急いでその場を去った。

「ねぇ、今度あのチカレオノス、みんなで狩ってみない?」

「え…!まあ、いいけど…」

ジャストロは少し迷ったが、あれだけの仲間がいる。そしてロミとエレも増えたから大丈夫か…と、考えてから思った。前に1人で戦って、口から繰り出す液で服を溶かされたことがあり散々だったが、今度は仲間がいる。

そんなことを考えているうちに、隣村についた。

「ジーク村長から頼まれてきた者です」

ジーク村長と呼ぶのはなんだか恥ずかしい。

いつもは自分含め、村の人たちはジーク村長と呼ばずジーク幻将軍と呼んでいるためである。

しかし、それが通用するのも村の中だけ、そのため、村長と呼ばざるをえない」

「承知しています!さ、どうぞどうぞ」

門番が笑顔で迎えてくれ、そのまま村を抜けようとしたが…

「ちょっと聞きたいことがあるんだが…」

ジャストロが門番に問いかけた。

「はい、なんでしょう?」

「リンカという名前の狩人の家を知りたいんだが…」

「あ、リンカさんですね!今見てる方向の、左の一番前がそうです」

見てみると、小さいながらもおしゃれな家が建っていた。

「ありがとう。用事が終わったらそのまま向こうの出口まで通らせてもらう」

「了解しました!ここの村長にはそのようにお伝えしておきますので、ご安心を!」

門番にそう言い残し、ジャストロはリンカの家へと向かう。あの、迷子のリンカを助けた時の記憶が鮮明に蘇る…今はどうなっているのだろうか…

期待に胸を膨らませ、ドアをノックする…

「はーい!」

明るい声がし扉が開くと、そこには髪を結んでおらず、少し成長した大人っぽいリンカが顔を見せた。

「あっ…!え、えっと…ひ、久しぶり…あ…」

いきなりの来客に驚きながらも、口元は嬉しそうに微笑んでいる。

「久しぶりだな、リンカ」

「へぇ〜、リンカちゃん。可愛い子じゃん!ジャストロ、あんたなかなか良い子と知り合いじゃん」

ロミも興味深々といった感じで2人を眺める。

「あの…お兄ちゃん…?この方は?」

「お、お兄ちゃんっ!?」

ロミが素っ頓狂な声を上げる。

「あ、悪いな。血は繋がってないけど、そうやって呼ばれてるんだ。それだけ仲がいいんだ」

「へぇ〜そうなんだ。あ、私はロミっていうんだ!よろしくねっ、リンカちゃん」

「よっ、よろしくお願いしますっ!えへへ」

リンカはよほど嬉しいのか、ジャストロに擦り寄ったまま離れない。

「へぇ〜…にしても、こりゃ驚いたね。今度みんなでくるってもんだよ!リンカちゃんのこと、みんな知らないの?」

「あぁ、俺しか知らないな。他はみんな会ったこともない」

「えっなに?お兄ちゃん仲間が増えたの…?」

リンカは前の時のような敬語はすっかり取れ、本当に妹のようだな、とジャストロは嬉しかった。

「あぁ、あれから増えてな。今じゃ5人増えたな。ちなみに、その1人がロミだ。」

「すっ、すごーい!やっぱりお兄ちゃん優しいもんね。あの時もすごい優しかったし…」

そういってリンカは頬を赤らめる。そんなリンカに対し、ジャストロは恥ずかしさ隠すように頭をわしゃわしゃと撫でた。

「ふーん…」

ロミはその様子を見て、2人に気がつかれないようにニヤニヤと笑っていた。

「ここでの生活、狩りには慣れたか?」

「うん!お兄ちゃんから教えてもらった狩法とかを参考にして頑張ってる!村の人たちも親切にしてくれて、全然不自由はないよ!それに、お兄ちゃんにこうやって会えたから、私、本当に幸せ!」

リンカは終始笑顔を崩さずに語った。その様子から本当に楽しいんだろうなと思った。

「そうか。よかった…で、名残惜しいんだが、俺たち、もう行かなきゃなんだ。また寂しくしちゃってすまないな」

「ううん、だって、また仲間の人たちと来てくれるんでしょ?それまで待ってるから!また会えるって考えたら寂しくないよ」

「まったく…成長したな。兄として嬉しい限りだな」

別れが辛いジャストロは、自分よりも心を成長させているリンカに感動し、軽く抱きしめた。

リンカはきゃっと短い悲鳴をあげると、嬉しそうにジャストロの胸に顔を埋めた。

ロミはこの2人をみて、本当に心が和んだ。そして、ジャストロの年下への面倒見のよさを知った。

「それじゃあな」

「うん!またね!!ロミさんもまた会ってたくさんお話ししたいです」

「おっ、嬉しいこと言ってくれるじゃん!ありがと!またね!」

久しぶりの再会に心を弾ませながら隣村を出ると、そのまま主目的である海沿いの村へと向かった…

道中はそこまでドラゴンなどとは対峙せず、温厚なアーロックドラゴンや、中型の薄黄色をした鳥、キッチャラがやかましく鳴いている程度だった。







そして、目的の村にあまり苦労をせずにたどり着けた。ある意味この長旅では幸運だった。

「おうっ!あんたらがジークの使いか。話は聞いてるぜ。こんな早く着いちまうとは、さすがジークの村の村人だ!っと、自己紹介が遅れたな。俺はこの村の村長、ガロだ!よろしくな」

「ガロ村長、今日はよろしくお願いします。俺はジャストロです」

「あたしはロミです!」

2人揃ってお礼を言い、それぞれが名前を名乗ったところで早速ガロ村長に案内されたのは、大きな船であった。

「で…でかい…」

「すごっ!これが本物の船!?」

「っはは!そうか、2人はこんなに近くで船見たことねえのか!これから狩漁行くんだけど、よかったら来るか?」

「えっ、いいんですか!?」

これには2人とも驚いた。狩漁なんて想像できるものではないうえ、2人とも生涯できないだろうと思っていた。

「おうよ!おれもついてくから危険は十分避けていくつもりだぜ!さ、乗った乗った!」

ガロ村長に促され、2人は船に乗った。船はまるで、動く家のように頑丈で、居心地もよかった。

「よし、出航だ!!錨を降ろせ!」

ガロ村長の合図とともに船が動き出し、いよいよ狩漁がはじまった。

「ジャストロ君とロミちゃん、とりあえず見てもらうだけになっちまうけど、楽しんでくれたら嬉しいぜ!」

ガロ村長は生き生きとした表情で語りかけてきた。2人は頷き、普段見ることのできない海の沖を目にし、海面を見るために船の端まで行った。端は落ちないように柵があり、安全対策はしっかりしている。

「あ、みてよあれ!!ジャベリンシャーク!あたし動いてるの初めて見たよ!」

ロミが興奮して指をさす、そこには鼻先が槍のようになっているサメ、ジャベリンシャークが泳いでいた。こちらの船を威嚇して鼻先を突き立ててくるが、船はビクともしない。

「すごい…この船全然揺れない…」

「だろ!これは俺と村人たちがが大掛かりで作った集大成よ!航海と狩漁の夢が詰まった最高の船だぜ!」

ガロ村長は褒められたのがよほど嬉しいのか、鼻を膨らませて喜んでいた。

「ん、あれは…シュエロプスか。でかいな…!」

ジャストロが見つけたのは、前に海で遊んだ時に遠くから見ていたシュエロプス。こんなに近くで見られるのは初めてなうえ、その大きさに驚いた」

「おっ、シュエロプスが現れたか…おい、囮餌まいとけ」

「オトリエ?」

「あぁ、シュエロプスがいるってこたは、もしかしたらシャルモンテもいると思う。シャルモンテはしってるか?」

2人は首を縦にふる。

「んじゃわかると思うけどよ、あいつの補脚から繰り出される肘打ち…さすがにあれは、船の損傷が起こるかもしれねぇからよ…それを避けるために、海に囮餌をまいて、そっちに気をひかせるわけよ!生き物はみんな飯に弱いからな」

なるほど…海に出るにはそこまでするのか…陸でしか狩りをしたことのない2人は面白いと思いながら、囮餌をまく乗組員の姿を見ていた。餌が海に入ると、待ってました!といった感じに水面に水しぶきがたつ。さっきから見ていたシュエロプスも囮餌に集まり、案の定…その近くからシャルモンテも顔を出した。

「あっ!参ったな…」

そんな中、いきなりガロ村長が大声を出した。

「どうしたんですか…?」

ジャストロがたずねる。

「実は今、ザロノアガスの繁殖期なんだ…」

鯨牙龍(ゲイガリュウ)ザロノアガスといえば、海で遊んだ時にシュエロプスとシャルモンテを丸呑みにしたあの巨体のドラゴンである…そのザロノアガスが繁殖期だとしたら、より多くの餌を求めるはず…そして、今水面には囮餌をたべに多くの生物が集まっている…

「悪ぃな…今日はもう引くぜ。とりあえず網は垂らしてあるから何かしら獲物はかかるはずだぜ!帰ったらそれらでご馳走してやるからな」

「わかりました。大変ですね」

「面白いものが見られて楽しかったです!」

ジャストロとロミはお礼を言うと、船の端から生き物たちを眺めて村に帰るのを待った。

「よし!帰るぞ!」

帰る途中、囮餌のまかれたところを見ていたが、さらに生き物たちは増えていた。ゴム質の皮膚を持つ魚ゴルムルアや、たくましい一本角を持った魚ハシラカジキ、さらには二本のねじれた角が可愛らしいフタヅノエイなんかも見られた。そして、それらがいる水面が大きく盛り上がった…呼ばれるのを待っていたかのようにザロノアガスが登場し、豪快に口を開けて飲み込んだ。

「うー危ねぇっ…帰ってきてよかったぜ」

ガロ村長は冷や汗をかきながらそういった。

たくさんの生物を見られた…それだけでも2人は満足し、そのまま村に着くのを待った…





「本当にありがとうございました」

2人はガロ村長にお礼をいって船を降りた。

「おう!俺のミスで途中で引き返しちまったけど、楽しめたようで俺としてもありがたいぜ。んじゃ、取れたやつを料理するから、2人は村役場で待っててくれ」

そういってガロ村長は網にかかった獲物を確認するため、船へと戻っていった。

「あたしはトイレ行ってくるから、ジャストロは先に戻ってて」

そういって、ロミもトイレのある方へと走って行ってしまった。

取り残されたジャストロは、先に村役場に行き、ロミの帰りを待った…


”ある計画”が実行されようとしていることも知らずに…

今回は二話同時更新です。次の話にしっかりあとがきを書きます。

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