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PRIDE

 一週間……楽しく過ごしている間はあっという間に過ぎてしまう。でも何かを待つにはあまりにも長い時間。わたしはただただ、時間が早く立つことを祈っていた。こんなに何かを待ちどうしいと思ったのはいつ依頼だろうか――彼に会いたい思いを抑えようと、わたしは恋に臆病になっていたわたし自身と向き合うしかなかった。もう二度と彼の前から逃げたりはしない。


 あの日、わたしは誰かを好きになることをとても後悔した。別れがこんなに辛いとは、別れがこんなに悲しいとは、別れがこんなに悲しいとは、別れがこんなに切ないとは――人は愛ゆえに苦しむ、人は愛ゆえに悲しむ。そんなことを本気で思っていた。だからわたしは――だからわたしは恋に臆病になった。


 中学のとき、わたしはバスケットボールをしていた。男子は学区内でそこそこの強さだったが、女子チームはわたしが在学中、一度も公式戦で勝つことはできなかった。みんな仲のいい友達だったけど、高校はバラバラになった。わたしは高校に入学すると早速バスケ部に入部しようと見学に行ったが、あまりのレベルの違いに圧倒され、入部するかどうか迷っていた。


 スポーツしてた人が、急に運動しなくなると太るらしいわよ――あれは入学してすぐに仲良くなったミッコの言葉だった。わたしはそれが嫌で、何でもいいから運動部に入ろうと思った。不純な理由だった。


 個人競技ならチームメイトに迷惑かけたりしないでできるかも!


 わたしの安易な発想とそのときの陸上部の事情が見事に合致した。我が陸上部は慢性的に人手不足。特に目立った成績も残せず、運動系のクラブの中でも御荷物扱いのクラブだとそのときの部長が言っていたのだから間違いないだろう。見学に行ったわたしに一生懸命に勧誘する部長の熱意も会ったのだが、一人グランドで黙々と練習をするあの人――先輩の姿にわたしは心引かれた。


 入ります。わたし陸上部に入ります。


挿絵(By みてみん)


 不純な理由に更に不純な理由が重なり、わたしは陸上部に入ることを決めた。そうなのだ。わたしは元来惚れっぽいのだ。


 先輩は我が御荷物陸上部のエース。もともと陸上の経験がある人ではなかったのだが、友人とほんの付き合いでこの部に入部したらしい。ところがその友人が交通事故で亡くなり、それをきっかけに友人の志を継いで陸上に打ち込むようになったという、それはそれはまるで少女漫画に出てくる主人公のような設定の先輩だった。


 もちろんこれには「尾ひれはひれ」がついていて、交通事故は本当だが命に別状のある怪我でもなければ、選手生命に影響があるほどのものでもなかったらしい。用はそれをきっかけに練習をサボり、幽霊部員になったことを幽霊=死亡と部長が「おひれ」、副部長が「はひれ」をつけたというのが本当のところらしいのだが、あの人はその話を否定はしなかった。


 だってオレがやめたら御荷物どころか本当に廃部になっちゃう。自分が潰したと部長あたりが言いふらすのが嫌だからオレは一生懸命練習しているんだと、そんな話を聞いたのはあの人と付き合ってすぐのことだった。


 付き合ってからしばらくは、平穏で緩やかで、てもあっという間の素敵な時間が過ぎていった。でも、別れはすぐにやってきた。彼は卒業と同時に札幌の大学に行くことになった。遠距離恋愛はものの見事に――それこそドラマや歌の歌詞のように破局した。尾ひれはひれがつく余地もないくらい。


 わたしはあの人に繋がるすべてを否定した。不純なわたし、惚れっぽいわたし、そしてあの人の面影を感じさせるもの全て……でも、時々抑えられなくなる気持ち。本当にこれでいいの?わたしは……わたしは、誰かを好きになれるの?愛せるの?


 だからわたしは、あの人とはちがう、弟みたいなあいつに自分を振り向かせようとしていた。自分からはいかない。自分からは誘わない。わたしが好きになるんじゃない。あいつが好きになるの。わたしが愛するんじゃない。わたしが愛されるの。


 でも、気付いていた。それは本当にわたしが望んでいることじゃないと。


 彼との約束の日までの間、わたしはわたしと向き合い。いくつ物言葉を交わした。もう逃げない。もう逃げ出さない。それを女の意地といえば……そうなのかもしれない。



『LAT.43°』

作詞・作曲:吉田美和 唄:DREAMS COME TRUE



『PRIDE』

作詞・作曲:布袋寅泰 唄:今井美樹


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