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第4話:王都のギルドで『残り物の薬』を鑑定に出したら、ギルド長が泡を吹いて倒れた件

王都へと帰還した俺は、アルテミス様に連れられて冒険者ギルドの本部へとやってきた。

 彼女は怪我の報告と、俺の「保護」をギルドに命じるためだ。


「ゼクス、貴公の持っているその薬……一度、ギルドの公式鑑定にかけてみてくれないか? 私の感覚が正しければ、これは歴史を塗り替える代物だ」


「え、いいですよ。さっきの『万能浄化液』の余り、まだ小瓶に一滴分くらい残ってますし」


俺は、ダンジョンで使い切ったはずの瓶の底に残っていた、ほんのわずかな液体を提出した。

 受付嬢は「え、この残りカスを鑑定するんですか?」と怪訝な顔をしたが、アルテミス様の威光に押されて奥の鑑定室へ運んでいった。


――数分後。


鑑定室の扉が、凄まじい勢いで跳ね上がった。


「鑑定士はどこだ!? この……この液体を持ってきたのは誰だぁぁぁ!!」


現れたのは、白髪を振り乱した老人だった。

 このギルドの最高責任者であり、国内屈指の鑑定魔導師としても知られるギルド長だ。


「あ、俺ですけど……。何か問題でもありました?」


「問題!? 大問題だ! 鑑定魔法をかけた瞬間、測定用の魔水晶が木っ端微塵に砕け散ったんだぞ! こんなことは建国以来、一度も起きたことがない!」


ギルド長は震える手で、羊皮紙に記された(かろうじて読み取れた)鑑定結果を突きつけてきた。


【名称:神域の浄化水(不完全版)】

【品質:測定不能(SSS級以上)】

【効果:全状態異常の完全治癒。欠損部位の超速再生。魔力回路の恒久的な強化。】

【備考:神の時代に失われた術式によって生成された可能性が高い。】


「……し、しんいき? ただの『虫除け』のつもりだったんですけど……」


「虫除け!? これで魔物を追い払うというのか!? 神の奇跡を殺虫剤代わりに使うなど、罰当たりにもほどがあるぞ!」


ギルド長はあまりの衝撃に、その場にへなへなと崩れ落ちた。

 周囲にいた冒険者たちも、その鑑定結果を耳にして騒然となる。


「おい、聞いたか? SSS級だってよ……」

「あの兄ちゃん、何者だ? あんなポーション、伝説の中でしか聞いたことねえぞ」


アルテミス様は、誇らしげに胸を張り、俺の肩を抱き寄せた。


「見たか、ギルド長。これが私の見込んだ男、ゼクスだ。……カイルとかいう三流勇者に捨てられた、本物の『至宝』だ」


「ゼクス殿……! 頼む、この薬の製法を教えてくれ! いや、せめてもう一瓶だけでも作ってはもらえないか! 言い値で買おう! ギルドの予算を全部突っ込んでも構わん!」


床に這いつくばって懇願するギルド長。

 俺は困惑しながらも、ふと思った。


(勇者カイル……あいつら、俺に一瓶一銅貨の報酬しかくれなかったよな……)


どうやら俺の感覚は、世間一般とはかなりズレていたらしい。

 俺は苦笑いしながら、次々に集まってくる野次馬と、自分を熱い眼差しで見つめる王女の視線に、少しだけ頬を赤らめた。

お読みいただきありがとうございます!

専門家が絶句するシーン、書いていて楽しいです(笑)

ついにゼクスの価値が公のものとなりました。

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