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第3話:再会した勇者が王女を助けようとするが、俺の『雑草の残り汁』にすら勝てない件

「――いたぞ! 聖騎士アルテミス様だ!」


洞窟の奥から現れたのは、黄金の鎧に身を包んだ勇者カイルと、その仲間たちだった。

 彼らは俺の姿を認めると、一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに鼻で笑った。


「なんだ、ゼクス。まだ生きていたのか。運のいい無能だな」


「カイル……」


「どけ。その汚い体で聖騎士様に触れるな。アルテミス様、ご安心を! 我ら勇者パーティが今、その傷を癒やして差し上げます!」


カイルは自信満々に、聖教会の『特製聖水』を取り出した。

 それは、俺を追放したときに自慢げに見せていた、あの「魔力を詰め込んだだけの砂糖水」だ。


「さあ、これを飲めばどんな呪いも――」


「……下がれ。無礼者」


アルテミスの冷徹な声が洞窟に響いた。

 カイルは差し出した手を止め、呆然と彼女を見つめる。


「えっ……? アルテミス様、何を……。我々はあなたを救いに――」


「救う? 貴公らが持っているその『濁った水』でか? 私の目は誤魔化せん。それは魔力回路を焼き切る劇薬だ。そんなものを私に飲ませようというのか?」


「なっ……! 劇薬!? バカな、これは聖教会が――」


「黙れ。それに、私の傷はすでに完治している」


アルテミスはゆっくりと立ち上がった。

 その体からは、先ほど俺が飲ませた『万能浄化液』の影響で、以前よりも鋭く、清らかな魔力が溢れ出している。


「完治……!? そんな、あの深層魔獣の呪い付きの傷が、一瞬で消えるはずが……」


カイルの視線が、俺の足元に転がっている『空の瓶』に向けられた。

 俺がアルテミスに飲ませた、神の薬の空瓶だ。


「……ゼクス! お前、何をした! 王女様に何を飲ませたんだ!」


「え? ただの『虫除け』のつもりで作った薬だけど……。あ、その瓶に残った一滴でも、君たちが持ってるその聖水よりは効果があると思うよ」


「虫除けだと!? ふざけるな! 貴様のような無能が作った泥水が、聖水より上なわけがあるか!」


逆上したカイルが、俺の胸ぐらを掴もうと手を伸ばす。

 だが、その手は届かなかった。


――ガギィィィン!!


凄まじい衝撃音とともに、カイルの剣がアルテミスの抜き放った白銀の剣によって弾き飛ばされた。


「……ゼクスに指一本触れるな。彼は私の恩人であり、この国が総力を挙げて保護すべき至宝だ」


「な、……えっ? 王女様? 何を仰って……。こいつは、ただの調香師ですよ!? 雑草を煮るしか能がない、ゴミですよ!?」


「その『雑草』で、私は救われた。そして、その『ゴミ』を捨てた貴公らは――もはや騎士を名乗る資格すらない」


アルテミスの瞳に宿る圧倒的な威圧感に、勇者たちは膝をついた。

 彼らが縋っていた『特製聖水』が床に落ち、虚しくパリンと割れる。


俺は、震えるカイルを見下ろしながら、静かに告げた。


「カイル。君たちが言った通り、俺はこのパーティにはいらない存在だったみたいだ。……だって、君たちのレベルじゃ、俺の薬は『強すぎて』使いこなせないみたいだからさ」


「……ぐっ、……ああぁ……!!」


勇者の絶叫が響く中、俺はアルテミスに促されるように、出口へと歩き出した。

 後ろを振り返る必要はない。

 俺の物語は、ここから始まるんだ。

お読みいただきありがとうございます!

ついに勇者たちを王女様の前で論破し、立場が逆転しました。

次回からは、王都へと向かうゼクスの無自覚無双が本格始動します!

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