だいごしょう あおいのめに かえってきた きらきら
うんどうかいのひが、
だんだんとちかづいてきました。
ようちえんのにわには、
カラフルなはたがゆれて、
なんだかそわそわした
たのしいふんいきです。
せんせいがいいます。
「きょうは、かけっこの
さいごのれんしゅうをしますよ〜」
こどもたちが
「わーい!」
とこえをあげるなか、
あおいは、
すこしだけ
むねがどきどきしていました。
(あおくん……きょうも、できるかな……
きょうも、みんなといっしょに、
はしれるかな……)
そんなとき。
「ね〜え〜、あおい〜」
ふわっ。
ひかりんが、
あおいのまえにあらわれました。
きょうのひかりんは、
いつもより
すこしだけしずかなひかりを
まとっています。
「きょうはね〜……
あおいの“きらきら”が、
ほんとうにひかるひ なんだよ〜」
「……ほんとうに?」
「うん〜。
あおい、たくさんがんばったでしょ〜。
ないたひも〜、こけたひも〜
にこってして……
だれかのこと、
いっぱいおもったでしょ〜?」
(あおくん……ひびきのことも
みつきちゃんのことも……
いっぱい、おもってきた……)
ひかりんは、
あおいのほっぺにちょこんとのって、
にこ〜っとわらいました。
「だからね〜……
きょう、あおいのなかの
“おっきなひかり”が、
でてくるの〜」
あおいには
まだよくわかりません。
でも、
むねのなかが
やさしくてあったかくて、
すこしだけ
なみだがでそうになるくらい
うれしくなりました。
れんしゅうがはじまりました。
あおいは、
せんせいのこえをききながら
まっすぐ ならびます。
おとなりには、
みつきちゃん。
「きょうも、いっしょにがんばろうね」
「……うんっ!」
あおいは
にっこりわらいました。
「よーい……」
あおいのこころが
ぎゅっとしまります。
(がんばる……!
あおくん……きょうこそ……)
「どん!!」
スタートのこえといっしょに
みんながはしりだします。
タタタタタッ!
みんなのあしおとが
きらきらしたリズムで
あおいのまわりに
ひろがります。
(いま……みつきちゃんのあしおと……
すこしおそくなった……!
ひびきのときに、おしえてもらった……
“だれかをみて、うごいてみる”……)
あおいは、
そっとみつきちゃんのうしろを
おいかけてはしります。
ひかりんが
そばでぴかぴか。
「そう〜!
そのちょうし〜!
あおい〜じょうずだよ〜!」
あおいのむねが、
ぽうっとあつくなってきました。
(たのしい……!
あおくん……いま、はしってる……!
こけてない……!
いま、まえをむいてる……!)
でもそのとき――
「きゃっ!」
みつきちゃんが
すこしよろけました。
(まただ……!
たすけないと……!)
あおいは、
みえにくいまま
とっさにてをのばしました。
ガシッ。
「へいき……?
あおくん、ここにいるよ!」
みつきちゃんは
おどろきながらも
にこっとわらいました。
「……ありがと。
あおいくん、やっぱり……
やさしいね」
そのときでした。
ぱあああああっ!!
あおいのむねのなか、
あおいの“めのいちばんおく”で、
ひかりんが
これまでできいたことのない
おおきなひかりをはなちました。
「でた〜〜っ!!
あおいの“ほんとのきらきら”〜〜っ!!」
ひかりんは、
まるでおおきくなったみたいに
まわりをてらします。
あおいのすこしかすんでいた世界が
やわらかい金色に
そまっていきました。
ぼんやりだったはずの
みつきちゃんのかおが――
やさしく、あかるく、
ちゃんと“かたち”でみえたのです。
(……みえる……!
あおくん……みえる……!
みつきちゃんのえがお……!)
ひかりんが
あおいのまえで
くるくる、くるくる。
「いったでしょ〜!
きらきらはね〜
“つくる”ものなんだよ〜!
あおいが
だれかをおもって、
だれかのために てをのばしたときにね〜
ぽうって、ひかるの〜!」
あおいは、
ぽかぽかするむねのあたりを
ぎゅっとおさえました。
(あおくん……
ひかり……つくれた……!)
せんせいがこえをあげます。
「すごいね、あおいくん!
ちゃんとまえをみてはしってるよ!」
まわりのこえも
「がんばれ!」「あおいくん、すごい!」
と、きらきらひかってきこえます。
あおいは、
みつきちゃんのてをつないだまま
ゴールまでいっしょにはしりました。
タッ――。
ゴールしたとたん、
みつきちゃんが
うれしそうに手をにぎってくれました。
「あおいくん……
ほんとうに、きらきらしてたよ」
あおいは、
はずかしくて
ほっぺをあかくしながら
にこっとわらいました。
「……あおくんね……
みんなと、はしれてうれしい」
ひかりんは、
そのうえで
やさしくひかりました。
「ね〜え〜…あおい〜。
きょうからね〜
あおいのめのなかには
ずっと“きらきら”がすんでるの〜。
ひかりんは〜
いつでも ここにいるからね〜」
あおいは
こころのなかでそっといいました。
(ありがとう、ひかりん……
あおくん、もうこわくないよ)
きらきら、きらきら。
あおいのめのなかで、
やさしいひかりが
ずっとずっと
かがやいていました。
――おわり。




