だいよんしょう ひかりのこえ と あおいのゆうき
つぎのひのようちえんは、
あさからそらがはれるような、
すっきりしたあさでした。
あおいは、
かばんをかかえながら
おにいちゃんのひびきと てをつなぎます。
「きょうも、がんばれよ、あおい。
ひびきも、がっこうがんばるからな!」
「うんっ! あおくんも がんばるよ!」
いっしょうけんめいににこってする
あおいをみて、
ひびきは「いいぞ!」と言って
あおいのあたまをぽんぽん、となでてくれました。
そのたったそれだけで、
あおいのむねのなかは
ぽかぽかでいっぱいです。
ようちえんにつくと、
みつきちゃんがあおいによってきました。
「おはよう、あおいくん」
「お、おはよう…!」
あおいはまだ
すこしはずかしくて、
ほっぺがあつくなります。
でも、
みつきちゃんは
あのときとおなじ、
やさしいえがおでいってくれました。
「きのう、ありがとね。
はっぱのこと、いっしょにみてくれて」
「う、うん…!
あおくんも、うれしかったよ」
そのとき。
「ね〜え〜……あおい〜……」
ふわっ。
ひかりんが、
あおいのかたのあたりに
あかちゃんみたいなこえであらわれました。
「きょうのあおい〜、
ひかりが とっても いいかんじ〜。
きらきらしてるよ〜」
あおいは、
ほんのすこしだけむねをはります。
(ひびきにも、みつきちゃんにも
ほめてもらったし……
あおくん、ちゃんとがんばれる…!)
そのひのあそびは、
おそとで「かけっこ」のれんしゅうでした。
せんせいがいいます。
「こんどのうんどうかいで、
みんな、かけっこするからね〜。
きょうはそのれんしゅうをしましょう!」
こどもたちは、
「やったー!」といって
はしりだすじゅんびをはじめました。
あおいは、
すこしだけふあんになります。
(あおくん……かけっこ、うまくできるかな…
またこけちゃうかも……)
そんなとき。
「ね〜…あおい〜」
ひかりんが、
あおいのめのまえにきて
にこっとわらいました。
「だいじょうぶだよ〜。
あおいは〜、もう“こえ”で
みんなの、いちをかんじられるでしょ〜?」
(……あっ)
そうだった。
あおいには、めだけじゃなくて
こえやおとが
“きらきら”きこえる。
みんなのあしおと。
せんせいのこえ。
ひかりんのひかり。
ぜんぶあおいを
てらしてくれる。
(……うん!)
あおいは、
ちょっとだけゆうきをだしました。
れんしゅうがはじまりました。
「みんな〜、ラインのうえにならんでね〜。
『よーい、どん!』で はしりますよ〜!」
あおいは、
せんせいのこえをしっかりききます。
みつきちゃんが、
となりにそっとならびました。
「いっしょに がんばろうね」
「……うん!」
ひかりんが、
あおいのむねのあたりに
やわらかくひかっていました。
「ね〜…あおい〜。
たのしくはしるのがいちばんだよ〜。
こけても〜、またおきればいいの〜」
そのことばは、
やわらかいのに
まっすぐしんのある
ふしぎな力がありました。
「よーい……」
あおいのむねが
どきん、とします。
「どん!!」
みんなが いっせいにはしりました。
タタタタタッ!
あおいも、
ちいさなあしでいっしょうけんめいに
はしりだしました。
(みんなのあしおと……
いま、どこにいるか、きこえる……!
だいじょうぶ……
あおくん、できる……!)
あおいは、
めだけじゃなく
こえやおとで
“みち”をかんじるように
まえへすすみます。
ひかりんが
あおいのすぐそばで
ぴかぴかとおうえんします。
「そう〜!そう〜!
あおい〜、じょうずだよ〜!」
風がほっぺにあたって
きもちいい。
あおいのむねのなかは
ぽかぽかでいっぱい。
(あれ……?
はしるのって……
こんなにたのしかったっけ……?)
でも、そのとき――
みつきちゃんが
まえのほうで
すこしつまずいて
バランスをくずしました。
「きゃっ!」
「みつきちゃん!」
とっさに
あおいは、
はしるスピードをそのままに
みつきちゃんのほうへ
てをのばしました。
ガシッ。
「……だいじょうぶ!?
あおくん、つかまえたよ!」
みつきちゃんは、
おどろいたように
あおいをみました。
「……あおいくん……
ありがとう……!」
にこっ。
あおいの
ちいさな手をにぎりながら
みつきちゃんは
かすかにほほえみました。
そのえがおが、
あおいには
おひさまみたいに
あたたかくみえました。
ひかりんが
あおいのまわりを
くるくるとまわります。
「すご〜い!
すごいよ〜 あおい〜!!
だれかを たすけたときの
きらきら〜が……
ぽかぽかひかってるよ〜!!」
ほんとうに、
あおいのむねのなかで
ぽうっと
ひかりがひろがるような
ふしぎなかんじがしました。
(あおくん……できた……!
みつきちゃん、まもれた……!)
そのとき――
みつきちゃんが、
ちいさな声でつぶやきました。
「……あおいくんのめ……
ほんとうに、きらきらしてるよ?」
あおいは、
びくっとして
ほっぺをあかくしました。
ひかりんは、
あおいのほっぺを
ちょんっ、とさわりながら
にっこりといいます。
「ね〜え〜 あおい〜
きらきらはね〜
だれかを たいせつにおもうとき、
なかから うまれるの〜」
あおいは、
すこしはずかしくて、
でも、うれしくて――
ほんのすこしだけ
おおきくなったような
きもちがしました。
そうして
あおいのせかいは
またひとつ、
あかるくなりました。
――つづく。




