だいさんしょう なくしたひかり?…いいえ、みつけたよ!
つぎのひのあさ。
あおいは、めをさましたとき、
なんとなく「いつもよりげんき」なきぶんでした。
(きのう、ちょっとかなしかったけど……
ひかりんが、あおくんのこと、
いっぱいほめてくれたし……)
あおいは、
おふとんのうえで、
そっとてをにぎってみました。
にぎったこぶしのなかが、
なぜだかすこし、ぽかぽかします。
そのとき――
「おはよ〜、あおい〜」
ひびきくんが、
ドアからひょこっとかおをのぞかせました。
「はやくおきないと、
あさごはんなくなるぞ〜」
「えっ! ほんと!?」
あおいがとびおきると、
ひびきはおなかをかかえてわらいました。
「うそだよ〜。
あおい、すぐあわてるからな〜」
「ひどいよ、ひびき〜!」
あおいがぷくっとほっぺをふくらませると、
ひびきは、
ぽん、とあおいのあたまをなでました。
「でもさ、あおい。
きのうさ、おにごっこがんばってたろ?」
「……あおくん、ころんじゃったけど」
「ころんでもたったじゃん。
ひびき、ちゃんと見てたぞ。
かっこよかったよ」
あおいはぱちっとめをひらきました。
(ひびき……かっこよかったって……)
そのひとことは、
ひかりんのことばとおなじくらい、
あおいのむねのなかを
ぽうっとあかるくしてくれました。
そのひ、ようちえん。
そとはくもりだけど、
あおいのこころは、
なぜかあかるくて、きらきらでした。
「あおい〜」
ぷかり。
ひかりんがまた、あおいのかたのうえに
あかちゃんみたいなこえであらわれました。
「きのうより〜
あかるいひかり〜になってるよ〜」
「あおくんね、ひびきが……
かっこよかったっていってくれたの!」
あおいがうれしそうにいうと、
ひかりんはぴか〜っとひかりました。
「すてき〜!
あおいのこころ、
きらきら〜ってしてる〜!」
あおいは、はずかしくて、
ほっぺがあつくなりました。
そのひの、おそとあそび。
きょうはみんなで「はるさがし」をします。
せんせいがいいます。
「みんな、にわのなかで“はるみつけ”しようね〜。
はっぱや、おはなのつぼみをさがしてみよう!」
こどもたちが、
きらきらのめで、
にわのなかへかけていきます。
あおいも、そーっとあるきはじめました。
(ころばないように……
でも、はる……みつけたいな)
すると――
「ねえ、あおいくん、みて!」
やわらかいこえ。
みると、
クラスのしずかなおんなのこ、
みつきちゃんが
ちいさなはっぱをみせてくれました。
「これね、ちょっとあかくなってるよ。
はるのいろ、なんだって」
あおいは、
そのはっぱをじっとみつめました。
ぼんやり、もやもやしているけど、
うっすらあかいのは、わかります。
「……きれい」
あおいがいうと、
みつきちゃんは
ほわっとえがおになりました。
「うん。きれいだよね」
そのとき。
「ね〜え〜、あおい〜」
ひかりんが、
はっぱのうえにちょこんとすわりました。
「これね〜、あおいのこころからも〜
みえるんだよ〜。
めだけじゃなくて〜
こころのひかりでみるとね〜
も〜っと、きれいなんだよ〜」
(こころの……ひかり……)
あおいは、
そっとむねにてをあててみました。
すると、
なんだかあったかくて、
はっぱのいろが、
すこしあざやかにみえたきがしました。
「わ……」
「ね〜え〜、いったでしょ〜?
あおいのこころ、きらきらだよ〜」
ひかりんが、
ぴかぴかしてわらいます。
みつきちゃんは、
ふしぎそうにあおいをみて、
そっといいました。
「……あおいくん、なんか、
さっきより、たのしそう」
「えっ?」
あおいはびっくりしました。
みつきちゃんは、
やわらかいこえでつづけます。
「うん、なんかね……
あおいくんのめ、きらきらしてるよ?」
(あおくんの……めが……?)
あおいのむねが、
ポッとあつくなりました。
ひかりんが、
なにかを知っているように
ゆっくりとうなずきました。
「ね〜え〜。
きらきらはね〜
さがすんじゃなくて〜
つくるの〜。
あおいが〜
だれかのためにやさしくするとね〜
ぽうって、ひかるの〜」
(……みつきちゃんに、
やさしくしたから……?)
あおいは、
じぶんのむねのあたりが
なんだかすごく、くすぐったいような、
あたたかいようなきもちになりました。
そして――
はずかしいけど、
みつきちゃんにいってみました。
「……あおくんも、
みつきちゃんのはっぱ、すきだよ」
みつきちゃんは
ぱっとかおをあかくして、
「……ありがと」
と、ちいさくわらいました。
ひかりんは、
そのうえで
さらにぴか〜っとひかり、
「ほら〜!
あおいのせかい〜
もっともっと〜
きらきらしていくよ〜!!」
あおいは、
ほんとうにそのとおりだと
はじめておもいました。
きのうより、
さっきより、
あおいのせかいが、
すこしだけ――
あかるく、きらきらになっていました。
――つづく。




