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少子化を解決する2つの方法~バレンタインデーは少子化の悪夢を見るか?~

作者: 雨澤はる


 昨今、日本の少子化がタイヘンだと大騒ぎだ。

 だが、ぼくに言わせれば茶番でしかない。


 なぜなら、ある2つのことをやるだけで、日本の少子化は大幅に改善するはずだからだ。

 しかも、この2つは、時間は少しかかるが、お金はほとんどかからないのだ。


 このエッセイでは、日本の少子化の最大の問題と、2番目の問題について触れる。


 この2つの問題が、バケツの穴となっていて、政府の少子化対策が功を成さない原因になっていると思われるからだ。


 穴の空いたバケツに、いくら水を入れても、溜まるはずがない。



 まず、日本の少子化の最大の問題、それは「家族主義の文化」だ。


 10年くらい前に放送大学で見たのだが(キーワード自動録画で録画されていた)、日本や韓国やイタリアなどの、家族主義の先進国は軒並み少子化が酷く、合計特殊出生率が1.5を切る、超少子化の国ばかりなのだそうだ。


※韓国は新興国だが、放送大学の番組は消してしまったので、なんて表現していたのかはっきりとは覚えていないので、面倒なので、このエッセイでは韓国を先進国に括る。


※以下、「合計特殊出生率」を「出生率」と表記する。タイプするのが面倒なので。


 確か、「家族主義の国は、事実婚などの多様な家族の形を認めないので、出生率が低くなる傾向がある」と、放送大学の先生は言っていたように記憶している。


 つまり、先進国にとって、家族ファーストは毒なのだ。


 現在、与党の自民党は、残念ながら、家族主義を前面に押し出した憲法改正をしようとしている。

 自民党だけではない。野党第1党の立憲民主党も、経営家族主義である「終身雇用」にこだわっている。


 だが、光明もある。自民党は経営家族主義である終身雇用をなくそうとしている。

 この点で、この党は柔軟だ。


 つまり、自民党の守旧派を説得できれば、「家族主義を前面に押し出した憲法改正」を止めることができるかもしれない。


 逆に言えば、家族主義の憲法改正が通ったら、日本はおしまいかもしれない。


 家族主義から個人主義へのゆるやかなシフト、これが大事だ。


 なお、ぼくは「家族は大事じゃない」とは一言も書いていない。先進国は、「家族」よりも「個人」を優先させたほうがうまくいく(らしい)という話で、もちろん、いまでも家族がとても大事なことは、論を待たない。


 だが、文化というものは、一日や二日で変わるようなシロモノではない。


 自民党に「家族主義」を諦めてもらうには、時間と手間暇がかかると思うが、これと並行して、少子化の第2の問題に取り組めば、ある程度、改善が見込めるはずだ。



 以降の、少子化の第2の問題は、ぼくが発見したものだ。



 そこで、日本の少子化の第2の問題、「日本には男子が告白する日がない」についてだ。


 第二次世界大戦後、日本はバレンタインデーを輸入するにあたって、この日を「女子が告白する日」と魔改造してしまった。

 もちろん、バレンタインデーは、たいていの国では、男子が告白してもよいし、女子が告白してもよいことになっている。


 だが、当時の日本人は、「日本の女性は奥手だから、バレンタインデーは女子が告白する日にしよう」と魔改造してしまったのだ。


 この文化が定着し始めたころの日本は、お見合い結婚が主流で、バレンタインデーを女子が告白する日にしても、一向に差し支えがないように思われた。


 だが、バレンタインデーが定着するのと相前後して、自由恋愛文化が主流になり、お見合い文化はすっかり廃れてしまったのだ。


 お見合い文化が廃れることによって、モテない男子は、ついに恋愛や結婚ができなくなってしまったのだ。

 それまでのモテない男子は、お見合い結婚に頼っていたのだ。


 ここで考えてみて欲しい。もし、バレンタインデーを、「女子が告白する日」ではなく、「だれでも告白していい日」にして普通に輸入していた場合、モテない男子は、2月になるとオシャレをして好きな女性に(あるいは男性に)、勇気を出して告白していたのではないだろうか?


 お見合い文化が廃れた後、普通のバレンタインデーが自由恋愛の下支えになっていた可能性は、ひじょうに高い。


 現に、魔改造されたバレンタインデーには、厳然たる悪いデータがある。

「バレンタインデーは女子が告白する日」と魔改造したのは、日本だけではない。

 韓国もそうだ。


 日本の2023年の出生率は予想で、1.20前後らしい。

 韓国の2023年の出生率は、0.72だそうだ。


 どちらも酷い。すごくひどい。


 ではなぜ、「バレンタインデーは女子が告白する日」にするとまずいのだろうか?


 理由は簡単に推測できる。

 女性はリスクを回避する傾向が強いからだ。


 例えば、ある若い女性が、ある若い男性を好きになったとする。では、確実にバレンタインデーで告白するかと訊かれれば、これは微妙だ。


 なぜなら、好きになった男性が、「実はDV男だった」「実はストーカー男だった」「実は浮気性の男だった」という可能性が否定できないからだ。


 だから、女性は告白に慎重になり、昔は義理チョコを配ったりしていた。


 それに対し、男性は(基本的に)リスクを取る生き物であり、もしバレンタインデーが、「だれでも告白してもよい日」となっていたら、年頃の男性は、毎年のように女性に(あるいは男性に)告白していただろう。


 だが、日本では現在、バレンタインデーは「女子が告白する日」であり、分かりやすく言えば、「男の子はサッカーボールを持っているが、サッカー場がない」あるいは「男の子は野球の道具を持っているが、野球場がない」という状態にあるのだ。


 世の中には、サッカー場がなくてもひとけのない路地でサッカーをし、野球場がなくても空き地で野球をする人たちがいる。

 そう、もう結婚している人たちのことだ。


 一方で、「サッカー場がないならサッカーしない」、「野球場がないなら野球しない」という人たちもいる。

 そう、いま未婚の人たちのことだ。


 未婚者たちに、「恋愛ゲームの場所」を与えるべきだ。

 とくに、弱者男性と呼ばれている人たちに。

 女性にはバレンタインデーがある。


 それに、「女子が告白する日」があるのに、「男子が告白する日」がないのは、非効率的で、性差別的な上に、ちょっとずるい。


 ということで、日本に「男子が告白する日」を作れば、モテない、いわゆる「弱者男性」と呼ばれる人たちも、その日には、オシャレをして、好きな子にアタックするようになるだろう。


 その多くは失敗するだろうが、一部は恋人になり、そのまた一部は結婚する。結婚した人の多くは子宝を望むので、自然と子供が増える。

 これを毎年繰り返していけば、確実に出生率は上がるはずだ。


 ニュースなどでも報じられているが、実は、結婚している夫婦の多くは、子供を望んでいるのだ。

 結婚している人だけで出生率を計算すると、1.8くらいだと聞いた。


 つまり、未婚者の増加が足を引っ張っているのだ。

 やはり、自由恋愛を下支えするものが必要だ。



 そこで、プランA、「バレンタインデーをだれでも告白していい日に変更する」だ。


 だが、単純に、バレンタインデーを、「だれでも告白していい日」に変更すれば良いのかと言えば、実は微妙だ。


 と言うのも、もう日本では、「バレンタインデーは女子が告白する日」として完全に定着してしまっているからだ。


 ぼくは50過ぎの男性だが、マンガやアニメやドラマなどで、若い女性がバレンタインデーに、好きな人に手作りチョコレートをプレゼントするという描写を、それこそ何百回と見てきた。


 ここまで蓄積された文化をひっくり返すのは、容易ではないだろう。

 一度定着した文化を変えるのは、たいへん時間がかかるだろう。

 残念なことに、日本にはあまり時間が残されていない。



 そこで、プランBの登場だ。

 あらたに、「男子が告白する日」を作るのだ。


 おっと、前回のバレンタインデーの魔改造の失敗を踏まえて、もちろん今度は、「男子も女子もLGBTも告白していい日」にする。


 欧米の新年度は9月1日で、バレンタインデーの2月14日は、166日後になる。

 日本の新年度は4月1日で、166日後は、9月25日になる。


 そこで、9月25日を、「だれでも告白していい日」にしてもいいが、今まで、いろんな企業が、「男子が告白する日」を作ろうとして失敗してきたという歴史を、ここで考慮しよう。


 9月25日前後に、何かいい日はないかと探すと、10月31日のハロウィーンがあるではないか。


 そこでぼくは、10月31日のハロウィーンを、「だれでも告白していい日」に魔改造することを、強くお勧めする。


 何より、日本のハロウィーンは、まだ定着し始めたばかりで、歴史が浅い。魔改造するにはぴったりだ。

 まだ完全に定着していないということは、評価が定まっていないということであり、魔改造する余地が充分にあるのだ。

 これを利用しない手はない。


「告白ハロウィーン大作戦」だ。


 ハロウィーンが、「だれでも告白していい日」として日本に定着した暁には、弱者男性も、オシャレをして、気になる女性に(あるいは男性に)アタックするようになるだろう。

 弱者男性に、恋愛ゲームの場所ができるわけだ。


 もちろん、そうなれば、問題のある男性によるストーカー犯罪などが増えることになるだろうが、国家が消滅するより、いくぶんマシといえるだろう。

(女性の皆さん、ごめんなさいm(_ _)m)


 なお、日本のハロウィーンのお試し期間は、もう過ぎようとしていて、魔改造するチャンスは長くて10年といったところではないだろうか。

 できるなら、急いだほうがいい。



 それにしても韓国の出生率は、ほんとうに酷いな。

「家族主義」と「バレンタインデーを魔改造」のほかに、バケツの穴が、まだなにかあるんだろうな。



 ぼくについて、少し話そう。

 ぼくは、今まで、女性に告白したことがない。そういう意味で言えば、立派な弱者男性なのだが、ぼくの場合はちょっと事情が複雑なのだ。


 子供のころから遺伝する病気を持っていたため、ぼくは12歳頃には「結婚」を諦めていたのだ。

 だけど、もし、「だれでも告白していい日」があったなら、さすがのぼくでも、2回か3回くらいは、告白してたかな……。


 ぼくが好きだったあの子は、今でも元気にしているだろうか?



 さて、まとめ。


 その1、家族ファーストは、先進国にとっては毒 (らしい)。家族主義の憲法改正や、経営家族主義である終身雇用を諦めよう。

 日本をゆるやかな個人主義にシフトさせよう。

 これで、バケツの穴の一番大きいものが塞がる。


 その2、バレンタインデーを「だれでも告白していい日」にするか(プランA)、ハロウィーンを魔改造して「だれでも告白していい日」にしてしまおう(プランB)。

 もちろん、新規に「だれでも告白していい日」をつくるという手もあるが(プランC)、時間が許してくれるだろうか?

 個人的にはプランBがお勧めだ。

 これで、バケツの穴の二番目に大きいものが塞がる。



 この2つをやれば、バケツの大きな穴を2つ塞いだことになるので、いま現在、ほとんど効果のない日本の少子化対策が、ある程度、成果を出すようになると思われる。


 ここまで読んでくれた人はお分かりだと思うが、2つともあまりお金がかからない。

 崖っぷちの日本は、やらない手はないと思う。


 なお、数年前、この私案をマスコミ何社かに送ってみたが、無視された。

 とても残念だ。



 ここに書いた私案は、10年以上前に思いついた考えを、改良・補強したものです。



 おわり



2024年3月上旬




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