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第13話 『パーソナル・スキル』

ゲームに慣れてないと、こんな失敗も有る筈。

・・・あるかな?

有ります様にw




第13話 『パーソナル・スキル』


 キラー・アモアクラブを倒し捲くり、装備を新調した僕達は早速、第四階層にやって来た。


 第四階層、最初の町『ドーガ』。その町で消耗品を買い揃えて街道を歩きながらこれからの説明をする。


 「第三階層まではチュートリアルみたいなもので、敵も注意しないといけないのはキラー・アモアクラブとグレイト・アモアラット位だったけど、ここからは違うから気を付けてね」


 グレイト・アモアラットはハツカネズミをそのまま大きくした様なモンスターで、立ち上がれば1m程有る。


 1匹だと、大した事は無いのだが、複数の群れと遭遇すると流石に手強い相手だ。一度10匹を超える群れに遭遇した時は流石に逃げた。


 (戦争は数だね)


 「この第四階層には、どういったモンスターが居るのでしょうか?」


 「どう、と言われても困るんだけど、今までのモンスターは基本普通の動物と変わらなかったけど、ここ第四階層はモンスターもスキルや魔法を使ってくるんだよ」


 「スキルと魔法?」


 「そう、僕の使ってる魔法やハルさん達の使ってるスキルを相手も使ってくるから・・・」


 と僕のセリフをハルさんが遮った。スキルって何?と。


 「・・・え!?」


 いやいやいや、知らない筈が無い!ハルさんは、お祖母ちゃんは木の上を飛び回り、気配を消して相手に近付き、目にも止まらない速さで急所を切っている。これらは『ハイ・ステップ』『ステルス』『クイック・ムーヴ』を使い、『ウィークポイント』で急所を見て『シャープ・エッジ』で斬っていた。そうでなければあんな動きがお婆ちゃんに出来る筈が・・・。


 「・・・ハルさん、もしかしてスキル使ってない?」


 恐る恐る聞く僕に、何の事?といった感じでキョトンとしている。


 「よく分からないのだけれど、使ってないと思うわ」


 「「!?」」


 これは僕もオズさんも驚いた。確かに今までも色々驚かされたがこれは格別だ。


 「ハルさん、ステータスプレート見せて!」


 ハルさんに無闇に人に見せてはいけないし、見てもいけないと説明したが、今はそんな事を言っている場合じゃない。


 ステータスプレートを見せて貰うと、ハルさんはスキル所かステータスポイントの割り振りもしてなかったのだ。


 つまり、今までスキルやステータスのお蔭だと思っていたハルさんの動きは全て、ハルさん個人のスキル、所謂パーソナルスキルに寄る物だったのだ。


 『NLF』はレベル、スキルの有るゲームだが、本人の経験も大きく作用する。


 水泳が得意な人はスキル無しでも普通に泳げるが、『水泳』スキル使えば常人より素早く泳げる様になる。そして、泳げない人でもスキルが有れば、最低限の泳ぎが出来るのだ。


 足の早い人と遅い人の差も顕著に現れる。同じ敏捷度でも足の速い人の方が速いのだ。身体能力はステータスの上昇で補えるが、速くなっても不自然に見えたりする。

 こういうリアルでのスキルを最近パーソナルスキルとプレイヤー達は呼ぶ様になった。


 ハルさんは、そのパーソナルスキルが異常なのだ。


 「ハルさん、昔何やってたの?」


 恐る恐る聞いたが、僕は其れを後悔した。


 ハルさんはとても悲しそうな顔をしたからだ。


 「ハルさん?」


 「私、田舎育ちだから・・・」


 そう消え入りそうな声で言ったまま、ハルさんは黙ってしまった。


 オズさんも言葉を失ってる様だ。


 僕はと云うと有り得ないと頭が判断する中、昔お祖母ちゃんは若い頃はとてもアクティブな人で山で狩りをした事も有るとお祖父ちゃんが言っていたのを覚えている。


 何か言わないと、と思ったが良い言葉が思い付かない。そんな僕の戸惑いをオズさんの笑い声が吹き飛ばした。


 ハーッ!ハッ!ハッ!ハッ!


 「素晴らしい想像力ですね、まさか想像だけでこれだけの動きが出来るとは」


 「想像・・・?」


 オズさんの言葉に対応しきれない。ハルさんもキョトンとしている。


 「そうです、このゲームは動き1つ1つをちゃんと想像出来れば実際には無理な動きも可能な物です」


 「それは・・・」


 「シン殿はこのゲームの中で歩くのに足や手の動き、体重移動まで考えて動いてますか?」


 「いや、自然と動いてたけど・・・」


 そうだ、何も疑問に思わなかったが、このゲーム『NLF』では本来凄く面倒臭いこれ等の動きを自然とやってのけている。


 「過去に世界記録を出した御年寄りなら、今でもそれと同じ動きをこのゲームの中なら再現出来るという事です」


 なるほど、確かにこの『ガイア』のシステムなら可能だろう。


 「それと同じで、先程も言った様にちゃんと想像出来れば、本来なら不可能な動きも出来るという事です」


 なるほど、なるほど・・・って流石に無理の有る論法だと思う。お婆ちゃんが無意識でやっている体の動き全てを想像出来るとは、とても思えない。まだ、若い頃体操の選手だったとか、子供の頃は超野生児だったとか言われた方がマシだと思うが、今はオズさんの話に乗ることにした。


 翌々考えたらこんな話をパーティーメンバーとはいえ家族以外の人の前でする物じゃないのだから。


 「成る程ね、ハルさんの身体能力の高さは分かったよ」


 「本当に?」


 「ほんとう、ほんとう。でも後でスキルとステータスポイントの割り振りを考えよう」


 取り敢えず話は終わり、雰囲気を変える為に簡単にステータスとスキルの話をしながら街道を離れて森へとやって来た。


 「今から、僕とオズでスキルを説明しながら戦うから、見てて」


 「分かったわ」


 大きな岩の上にニコニコとして座っているハルさんをその場に残して、2人で前に出る。


 ガサガサガサ。


 草木が揺れる音と何かの足音が近付いてくる。


 オズさんは音のする方向に向かって刀に手を添えて構えた。


 「ハードスキン!クイックネス!」


 「今のは魔法で、オズの装甲を硬くして、動きを早くしたんだ」


 「来ます!」


 目の前のブッシュから飛び出したのは小型(と言っても軽自動車位)の猪の魔物、ブッシュボアだ。


 が、この辺では普通の魔物で弱い方でオズさんでも問題なく倒せる。


 その次に現れたのは、巨大芋虫で粘着性の強い糸は少し厄介だが、これも雑魚だ。ソロなら兎も角、仲間が居るなら糸に巻き取られたら、仲間に助けて貰えばいいのだ。


 「ファイア・バレット!」

 

 「これは何時も使ってる火の魔法だね。MPを消費して火属性のダメージを与えるし、火を着ける事も出来る」


 「凄いわね~」


 パチパチと手を叩きながら感心するハルさん。


 「一の太刀【蜃気楼】!」


 「タワー・オブ・ディフェンス!」


 「二の太刀【颯】!」


 オズも習得しているスキルを披露して、丁寧に説明してくれる。


 しかし、二の太刀【颯】を習得してるとは、優秀である。


 「一の太刀【蜃気楼】と二の太刀【颯】は見た通りです。タワー・オブ・ディフェンスは防御力を高める魔法で、敵の注意も引けます」


 因みに『一の太刀【蜃気楼】』は一気に距離を詰める事の出来る居合い斬りで、『二の太刀【颯】』は高速の2連撃である。


 どちらも出だしの素早い攻撃で一般人に出来る動きじゃない。


 「まるで、漫画見たいね~」


 緊張感の無いセリフにガクっと力が抜けて崩れ落ちる。


 ハルさんの言う漫画とは、多分アニメの事だろう。


 「技の名前を言うのが技の発動条件なんだ・・・」


 と、其処まで言って気が付いた。ハルさんがこれまでそんな技名を発していなかった事に。


最後まで読んでくれてありがとうございます。

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