ある主婦の午後
「平日の午後二時、子供は学校、夫は会社。あ~、この時間の主婦ってヒマねぇ~。何か面白いことでもないかしら?そうだ、息子の部屋でも覗いてみようかしら。あの子、もう中学生だから、そろそろ、エッチな本とか隠して持っているかもしれないわ」
(移動して、息子の部屋に入る)
「おじゃましま~す。まあ、あの子、意外とよく片付いているじゃないの。エッチな本はどこかしら?机の引き出しの奥かしら?あら?ベッドの上に何か筒状の物があるわね。いやらしい物かしら?」
(手に取って)
「あら、これ、望遠鏡じゃないの。あの子ったら、こういう趣味があったのね。窓の外でも見てみようかしら」
(望遠鏡を覗いて、窓の外を見る)
「お向かいのマンションが見えるわね。・・・あら?なにかしら?あの部屋、マンションの二階、カーテンが開いているあの部屋。あら、やだ、ベッドの上で裸になった若い男と女が上になったり下になったり、うわ~、すごいわ、昼間から、ああ、激しいわ、すごいすごい」
(望遠鏡から目を離す)
「いや~、若いっていいわね。・・・六十代!」
(再び望遠鏡を覗く)
「隣の部屋はどうかしら?・・・あら?カーテンが閉まっているわ。いないのね。じゃあ、その隣。あら?若い男がひとり・・・何をしているのかしら?・・・あら?あれ、望遠鏡よ。望遠鏡を覗いているわ。でも、こんな昼間に星が見えるわけがないし・・・あら、やだ、きっと、あれ、覗きよ。いやだわ~、いやらしいわね~、きっとヒマなのねぇ~。他にすることがないのね~。・・・ああなったら、人間おしまいね」