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1―3話 気付いたら天国でした!? ~枯れ葉舞う天使ヶ丘公園にて~





「それはね、なんと背が伸びる魔法薬なのよ!!」



「「えっ、背が伸びる魔法薬―!?」



カップチーノさんは、意気揚々に言う。




「まぁ…伸びるのは、一時的なんだけどね」


「イブちゃん、前から『背が伸びたいなぁ~』って、言っていたじゃないの。これで少しの間だけど、背を伸ばす事が出来るわよ」




「はぁ…」



まぁ、確かに背が伸びたいと本気で思っていた頃もありましたけど。

騎士で背が小さいと、ナメられそうと思いましたからね。ですが…今は鯖を読む程度で、そこまでは気にしてませんけどね。





「これがそのレシピよ…材料さえ、集めれば簡単に作れるから、暇な時にでも作ってみたら!?」


カップチーノさんはそう言って、私にレシピが書いてあるメモを渡す。



「え~、私が作るんですか!?」

「この前…その出来上がったヤツとかは、もう無いんですか!?」



「ごめんね、もう在庫切れなのよ♪」

「それが酔っ払っている時にさぁ、お酒と間違えて全部飲み干しちゃったのよ♪」




「「えっ―!!」」


「それって、大丈夫だったんですか…!?」


カップチーノさんの衝撃の言葉に驚愕する私。

魔法薬は…まぁ、当たり前の事ですが、過剰に飲み過ぎてしまうと、身体に悪影響を与えてしまうのです。





「でも、平気だったわよ」


「それで沢山飲んだからか、背も結構伸びたのよね♪」




「はぁ、そうなんですか…」






「…」(私)







「それで、どれくらい伸びたんですか!?」


私も少し興味が沸いてきまして、ワクワクしながら聞きます。




「天井に頭がぶつかるくらいよ」


「まるで、浮いている感じだったわ!!」





「…」(私)




(それって、背が伸びたと言うよりかは…生死の境をさ迷っていたんじゃ)








「よく無事に帰って来れましたね…」


「えっ、何の事かしら!?」


「カップチーノさん…」

「少しお酒の量を控えた方が良いと思いますよ。酔っ払って、幻覚でも見ていたんじゃないんですか!?」



「う~ん…」

「まぁ…確かに考え直してみると、そうかもしれないわね」



「…」(私)



「私、上手くいかない事があると…つい、やけ酒をしちゃうからさぁ」



「は、はぁ…」

「そうなんですね…」



(上手くいかない事ですか…)


ため息を混じりの返事をしながら、考える私。

路地裏の天才調合師と言われるカップチーノさんに上手くいかない事なんて、あるのでしょうかね。やはり、先程は只の暇潰しと言っていましたけど…究極の魔法薬作りが上手くいかない事が関係しているのでしょうか。


そんな、カップチーノさんは残骸となった液体を見て、寂しげな雰囲気を纏っていました。


そして、顔を少し赤らめている…





その顔は、かつて―



私も子供の時に、経験した事がある様な顔でした。



まるで、片想いをしている少女―







「「と、とにかくですよ―!!」」


「「やけ酒だけは、しないで下さいね!!」」


慌てて言う、私。



「う、うん…」

「次からは、ちゃんと気を付けるわ!!」


私の気迫に押されながら言う、カップチーノさん、



「あ~、今日は天気がとても良いですよね」

「これから、公園でも散歩してこようかな…」


「フフフフ…」

「パーシャは、いつも晴天じゃない♪」




「…」(私)




「今日は色々と有難うございます、カップチーノさん…」

「究極の魔法薬作りも、頑張って下さいね。貴方のお釜パワーがあれば、いつか必ず出来ると思いますから―!!」



「フフフフ…有難う、頑張るわ♪」

「イブちゃんも、格好良い異名が付く様に頑張ってね♪」


「は、はい!!」

「頑張ります―!!」



「それじゃあ、良い休日を―」







「カラン、カラン―」




気付けば…





私はお店から出て、路地裏の細い道を歩ていた。


色々な情報を得た私は、頭の整理が少し出来なくなっていました。





(ふ~ん…)


(でも、背が伸びる魔法薬ですか…)



まぁ、効果は一時的みたいですけど、暇潰し程度にはなりそうですね。


空を見上げながら、ボンヤリと思う私。


そして…その内に、ある公園の入口に辿り着いていました。

ここは、パーシャの町中にある公園で『天使ヶ丘公園』と言います。

豊かな自然に囲まれた大きい公園で、町の癒しスポットでもあるのです。本当は、特に来るつもりは無かったのですけどね。



自然と辿り着いてしまった様です。


これは、嘘から出たまことですね!!




木々が生い茂る木漏れ日の中を歩いていくー




「ユラユラユラユラ…」



「キラキラキラキラ…」



「ヒラヒラヒラヒラ…」





時折ー


吹く爽やかな風は、木々の葉をユラユラと揺らして、森全体を騒めかせている。そして…



宙には、キラキラとした木漏れ日に混じって、ヒラヒラと枯れ葉が舞っています。私は、ヒラヒラと舞い落ちる枯れ葉が当たらない様に、上手く避けながら進む。周りから見れば…遊んでいる様に見えますが、これは動体視力と反射神経を鍛える為の修行?なのです。



休日でも、こうして修行をしているのですよ!!



(ふ~ん…)


(まるで、天国にいる気分ですね♪)



天国にいる様な気分に浸る私。



…と言いますのも、その公園の名前の通り、所々には天使の彫刻が置かれています。中々、凝った造りの公園なのです。




(なので、天使ヶ丘公園―)





ですが、そんな凝った事をしなくても、天使はここにいますけどね♪





午後の騎士天使である私がここに―






「ん~、ゴホン!!」






そうそう、先程は逃げる様にお店から出てきてしまいましたけど…次はもう少し、カップチーノさんの話しを聞いてみましょうか。そうだ、ルイアも誘って…3人でお酒でも飲みながらね。



勿論、お酒は適量でね―






「ワイワイワイワイ…」


「ハハハハー、こっち、こっち~!!」


「ちょっと、待ってよ~!!」





降り注ぐ木漏れ日を抜けると、大きな芝生の広場がありました。


公園の芝生には、何組かの家族連れがワイワイと遊んでいる。




私は、それを静かに見つめる。


幸せそうな家族を見ますと、心が和みますね。




そうそう、家族と言えば―


私も24歳までには彼氏を作って、28歳には結婚して、32歳には母親になって家庭を作るというプランがあります。なので、今はその将来の為にしっかりと貯金もしていますよ。騎士は、皆の憧れの仕事であり、お給料も良いので…経済的な面では、何も心配は無いですね。


ついでに、その先は―


家庭が落ち着いたら騎士に再び専念して、最終的には騎士団長になれれば良いですね。まぁ、とりあえず…家庭と騎士(仕事)を両立しながら、やっていけたら良いなと思っています。



そして老後は、この町でムシャムシャとパンでも食っているのかしらね。


そう、呑気にね!!







言葉にすれば…





何か平凡に感じるわね。



まぁ、それが一番良いのかもしれないけど。



でも、欲を言うならば少し飾りも欲しいわね。






具体的に言うと、翼くらいは欲しいわね!!



だって、私は午後の騎士天使だから―




「ん~、あっ―!!」



翼が生えた様な軽やかなステップで、公園の中を通り過ぎて行きますと…筋肉質の人がベンチに座っていました。その人は、私とは真逆の重たい視線で、家族連れを見ています…ちょっと、だ、大丈夫!?















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