1―1話 午後の騎士天使物語 ~ついでに、理想の身体に近付きます!?~
「それと、イブ…」
「馬小屋の餌やりは、俺がやっといたぞ…」
「す、すいませんでした…」
「コーレン副団長…」
「明日から、早く起きないと…ムニャムニャ」
「…」(コーレン副団長)
「ほら、イケメンフラッシュ!!」
「うわ、眩しい―」
「「はっ―!!」」
「チュンチュンチュンチュン…」
目覚めたら、部屋のベッドの上でしたー
そして、眩しい朝陽が私の顔に当たっていた。
少し空いた窓からは…
そよ風が入って来て、カーテンをユラユラと揺らしている。
「…」(私)
あ~、何だ…夢ですか。私は、辺りを見ながらボンヤリと思う。
昨日の事が、夢に出て来ましたね。
昨日は…皆で、巨大ゴブリンを討伐しましたからね!!
「ファアアアア~ア…」
あくびをしながら時計を見ると、朝の7時でした。
それは、まだ眠いはずですね。
(でも…ナイス、目覚まし!!)
と言っても…
今日は、騎士のお仕事は、お休みなんですけどね。
なので、早く起きる必要は特にありませんでした。
二度寝でも、しましょうか…いや、折角早起きした事ですから、このまま起きましょうかね。
どうするか、迷う私。
(休みの日は、いつもお昼過ぎまで寝ていますからね!!)
「…」(私)
(そうそう、目覚ましと言えば…)
(ルイアの姿が、見当たりませんね)
私と同じ、ルイアもお休みのはずですが…
多分、もっと早起きして、朝のトレーニングでもしているのでしょうね。相変わらず、ルイアは真面目ですね。じゃあ、私も…たまにはルイアを見習って、早起きしてみますか!!
そう思った私は、ベッドから重い腰をあげる。
冷蔵庫を開けて、適当に中を漁る私。
とりあえず…卵を4個を取り出します。
1個は、そのまま生でチュルンと食べる。
残り3個は、目玉焼きと卵焼きと…あとは、スクランブルエッグですね。
私は、それらをフライパンで、サッサと作る。
休みの日の食事は…
まぁ、こんな感じで適当に済ませています。
騎士団の食堂もあるんですが…騎士の格好に着替えないと、中々行きにくい場所でもありますからね。色々と事情があるのです。
「卵は、魔法の食べ物(卵は、作り方で色々な名前になるから)~♪」
謎の歌を歌いながら、料理をする私。
(うわ、ケチャップ切らしてんじゃん!!)
そして、色々な卵料理を作った後に、気付く私。
一番重要なケチャップが無いとは、困りましたね。
トマトなら、あるんですが…
そうだ、酢もあるしトマトからケチャップを作れないかしら!?
でも、面倒臭いのでそのまま食べましょう―
食べ終わった私は、ベッドに仰向けに倒れる。
(あ~…今日なんか、やる事あったけ?)
早くやる事を見つけないと、また惰眠をしてしまう。
ヤバい…ウトウトしてきた。
「!!」(私)
そうだ、町中に行ってみますか!!
◯
「ワイワイワイワイワイワイ…」
「ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ…」
通りには、相変わらず沢山の人達が行き交っています。
私は、賑わう町中を歩いていた。その片手には…露店で買ったパンを抱えて、ムシャムシャと食べながら。
天気は、清々しい晴天です。
時間は、朝の10時くらいでしょうか。
午前の爽やかな日差しが、燦々と町を照らしています。
「おや、今日は休みなのかい!?」(町人A)
「こんな、朝早くから珍しいね!!」(町人B)
「あれ…もう、こんな時間だっけ―!?」(焦る町人C)
「ははは…」
「皆さん、おはようございます」
私は、手をヒラヒラと振りながら挨拶をします。
町では、意外と私の事を知っている人が多いらしい。
まぁ、騎士は皆の憧れの職業ですからね。
それに―
いつも騎士の格好で町の外に出る為に、この道を通ってますからね。
私は、この町のちょっとした有名人でしょうか。
(ですが…私は、まだまだ可愛い方です)
騎士として、更に名を揚げると…
例えば、コーレン副団長みたいに団長クラスになると…この大きなパーシャの町でも、知らない人はいない位の有名人になれるのです。
いや、有名人では無くて…悪の手から民衆を守る正義のヒーローでしょうか(誇張)!!
「私は、正義の美少女ヒーローよ~♪」
町中で、堂々と口ずさむ私…しかし。
そんな恥ずかしい鼻歌は、誰の耳にも届く事は無く、町の雑踏の中に消えていく。
今日の私は―
普段の騎士の格好では無くて、素朴なブラウスとロングスカートを着ています。まぁ、普通の庶民の格好ですね。因みに、ポニーテールの髪は解いています。なので…ロングの黒髪が、そよ風にサラサラと存分に靡いています。
(今日は、何をしましょうかね!?)
(ケチャップでも買いますか…あっ、そうそう)
手持ちの回復薬も無くなりそうなんで、町の薬局に買いに行かないといけません…
私は、その内に大きな通りから路地に入ります。
私は、日陰の細い路地を進んで行く。
人の姿は、次第に疎らになっていく。
「♪」 「♪」 「♪」 「♪」
「♪」 「♪」 「♪」 「♪」
「♪」 「♪」 「♪」
誰かが、どこかで、音楽を奏でている。
これは、アコーディオンの音でしょうか。
陽気で、明るく、元気が漲る旋律は…
まるで、自然と身体が踊り出してしまいそうな不思議な魔法に掛けられた気分です。私は、その旋律に合わせて、歩くペースが早くなる。
特に急いでいる訳では、無いのですが―
「タタタタタタタタタタタタタタ―!!」
迷路の様に入り組んだ道を、私は足早に進んで行きます。
レンガ造りの建物の間からは、青色の空と共に、丘の上にある騎士団の建物がチラホラと見える。
「キャンキャンキャンキャン!!」
「ハハハハハハ―!!」
「こっち、こっち!!」
途中―
子供とワンちゃん達が追いかけっこをして、遊んでいます。
私は、その中に混じってしまい、一緒に追いかけられます。
多分、私の持っているパンの匂いに釣られて来たのでしょうか。
私は…しばらく、ワンちゃんに追いかけられます。ワンちゃんから逃げる様に、階段を上がり下がりをして、小さな石橋を渡って行く。
築100年は、悠に超えるレンガ造りの建物達の存在感をヒシヒシと感じながら。
まぁ、道も狭いですからね。
ちょうど良い圧迫感です。
「ルンルンルンルン―♪」
音楽に身を委ねながら
ロングスカートをヒラヒラと靡かせて
ワンちゃんの追撃を、軽やかなステップで躱していく私。
そして、その内に目的の場所(お店)に着いた―
そのお店は、深緑の蔦にスッポリと覆われていて、ポツポツとお花が咲いている…植物達と同化した建物でした。ここは、薬局『魔法のお釜』です。私は回復薬を切らしたら、いつもこの薬局で買っているのです。
(さてと…)
「カラン、カラン―」
私は、お店に入ります。