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0―6話 1日の終わり




巨大ゴブリンを倒した後…


私達は、周辺の魔獣(ゴブリンやスライム)をあらかた倒し、夕方帰路につこうとしていた。その途中、私達は草原の丘の上にポツンと立っている木の近くで腰を下ろしていた。




「ヒュウウウウウウウウウウウウウウ―!!」


「サアアアアアアアアアアアアアアア―!!」





遠く彼方に光輝く眩しい夕陽は、もうすぐ夜になる事を告げています。



夕陽に照らされてオレンジ色に輝き、風に靡く草原の草々は



まるで…煌めく炎の様に、鮮やかで綺麗な景色です。






私は、そんな燃え盛る景色を只々…眺めていた。



そして、髪を風に靡かせながら自然と呟く。





(ハァ、疲れましたね…)






今日は、魔獣を討伐した数が中々多かったですからね。


その中には、巨大ゴブリンもいましたし…


皆も、疲れていたのか…


しばらく、その景色を眺めていました。












「いや~、今日は皆、ご苦労だった!!」

「それで今日は皆、どうだった!?」


その内に、コーレン副団長が口を開きます。

休憩を兼ねて…毎回の恒例である、今日の反省会(振り返り)が始まるのです。そして、話の内容はやはり巨大ゴブリンを討伐した時の事になります。



「俺の奥義は、凄かったろ!?」 


バルモは、自慢げに皆に言います。

多分…巨大ゴブリンにとどめを刺したあの技の事を言っているんでしょうが、しかし―



「いや、あれは奥義には届いていない技だから」


コーレン副団長は、あっさりと言い切りました。



そう、奥義とは…

高位の魔法の事を言い、基本の魔法の技を一段階強化したものであり、どれも必殺技として威力が高い魔法の事です。バルモが、あの時使った土の魔法奥義 “超硬化” は、本当ならもっとテカり方が増すそうで…



あれは “超硬化” では無く、その下位の只の “硬化” であるとの事です。




「しかし…あのテカり方だったら、もう少しで奥義になりそうだな」

「もっと、実戦を積んでいけば、その内に奥義になっていくだろう!!」


コーレン副団長は、バルモにそう言いました。






「…」(私)




奥義と言えば…

私も、最近になって奥義を使える様になったのでした。

私は、バルモに張り合う様にコーレン副団長に報告します。



「コーレン副団長!!」

「私も最近、奥義 “親和の芳香” を使える様になりました!!」




“親和の芳香” とは、魔獣使役の魔法 “安らぎの匂い” の上位にあたる技で “安らぎの匂い” より効果が高い匂いを周囲に振り撒く事が出来ます。その匂いを嗅げば…巨大ゴブリンでさえ、すぐに意識朦朧にさせて眠らせてしまいますし、心穏やかな魔獣に使うと、より親和を築きやすくなったりします。




「それじゃあ、何で…」

「あの時(巨大ゴブリンとの闘いで)使わなかったんだ!?」


「いや、まだ実戦では使えなくて…」




…はい、そうなんです。


奥義とは、発動にとても多くの魔力と集中力が必要であり、また発動する事が出来ても、その技をコントロールする事がとても難しいのです。



私は訓練で時間をかけて、やっと奥義を発動する事が出来るのです。



また “親和の芳香” の下位である “安らぎの匂い” ですら、巨大ゴブリンに当たったかどうか分からず…上手くコントロールが出来ていなかったので、奥義を実戦で使う事は、まだ当分無理でしょうか。



((そもそも―!!))


この魔法の本来の目的は、知性が高く人と心を通わせる事が出来る穏やかな魔獣との親和を築く為の技ですから… 害獣との闘いでも応用は出来ますが、匂いなので当てるのが大変なんです。


今日みたいに風がそれなりに吹いていると、どっかに飛んでいっちゃうし、コントロールをするのが凄く難しいんです!!





「…」(私)


私は、そう言いたげな顔をしていました。










「闘いの優劣を決めるのは、何も魔法の威力だけではない」

「闘いは、あらゆる環境下で行われるから、そこで瞬時に状況を判断して、いかに魔法を使いこなす事が重要なのだ…」


「は、はい!!」(私とバルモ)



「それは、時に環境によって魔法を弱くしてしまったり、逆にその環境を利用して魔法を強くする事も出来るのだ!!」


「俺は…今まで色々な場所で闘ってきた。お前達は、まだまだ踏んできた場数が全然足りんからな。もっと練習と経験を積んで、どんな環境でも魔法の力を最大限に発揮、出来る様にする事だ」





       

     「そう、俺みたいにな(キラアアアア―ン!!)」





コーレン副団長は『ニヤリ』と笑い、決め顔でそう言いました。




(ま、眩しい…)



夕陽に反射したコーレン副団長の歯が、キラリと光り…


何か眩しかったです。




こ、これは魔法 “イケメンフラッシュ” ですね!!




夕陽と相まって、眩しさがパワーアップしている気がしました。

な、なるほど…環境を利用して魔法を強くするとは、こうゆう事を言うですね。








いや、これは魔法ではありませんけど…



「はい…」(私とバルモ)



私達は、コーレン副団長の眩しい笑みに頷くのでした。


ルイアだけは、目をキラキラと輝かせていました。










「カァカァカァカァカァカァ…」



その後も、皆としばらく…今日の振り返りが続いた。



そして―






「じゃあ、そろそろ行くか…」


「えぇ、そうしましょう」



「今日の夕食は、何かな~!?」


「イブは、食べる事で頭が一杯ね…」



「今度、大食いコンテストがあるから参加してみろよ!!」




暗くなる前に、今日の振り返りを終えた私達は、パーシャの町に戻って行くのでした。夕陽の中に、私達5人の騎士は消えていきます。







私達は…



いつも、新米とベテランがバランス良く組まれた、この5人のメンバーで任務を行っています。その内に、私も中堅になっていけば、コーレン副団長とサニーさんの教育を卒業して、普通の団員同士でパーティーを組んだり、町の冒険者と一緒にパーティーを組んだりして任務をする事もあるそうです。



まぁ…そうなるには、もう少し時間が掛かりそうですけど。


いつか、その内に…きっとね!!







(因みに…)


ルイアがコーレン副団長から受けた指摘は、巨大ゴブリンの足を火を纏わせた剣で切ったのですが、その火の勢いが強すぎたとの事でした。あれでは、草原に引火して延焼してしまったり、無駄な魔力も消費してしまうとの事です。


火の魔法は…

威力が高いですが、使い勝手が悪く、技のコントロールを誤ると火災が起きてしまいます。私達の第2分団では熟練の水の魔法の使い手であるサニーさんがいるので、今は何の心配もありませんが、魔獣との闘いは草原や森の中が多いので、その辺を気を付けて火の魔法をコントロールしながら闘う事が、今後のルイアの課題になるとの事です。






ルイアも、まだまだですね。




私と一緒に頑張りましょうね。





明日も変わらずに、綺麗な夕陽を見れる事を願いながら―














※話は、ここから分岐します。

この先は、日常コメディです。

話を飛ばしたい方は『イブとゼニィーの異世界紀行』をご覧下さいませ…

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