0―3話 朝の喧騒の中で
朝日はもうそれなりに高く昇り
私達の騎士団の建物を容赦無く、照していた。
「ハァハァハァハァ…」
私は走って、騎士団の敷地内にある広場に向かっていた。
「ワイワイワイワイ…」
「ガヤガヤガヤガヤ…」
広場に着くと、すでに騎士達が各々の訓練をしていたり、これから任務なんでしょうか。その行く為の準備をしている所であった。
そんな朝の喧騒の中で―
私の事を待っていた、ルイアを含む4人の騎士達がいました。
「「皆さん、お待たせしましたー!!」」
「おせぇーよ、イブ」(バルモ)
「まぁ、時間に間に合っただけ良いんじゃないかしら」(サニー)
「ハァ…」(ため息を吐くルイア)
招集時間ギリギリに来た私を『またか…』みたいな感じで見て、彼らはそう言いました。そして…
「やっと、来たか…」
私を一番待ちくたびれた様子で言う男性騎士がいました。
彼は、コーレン副団長だ。
「また、寝坊したのか」
「相変わらず、お気楽な奴だな…」
「いえ、違います!!」
「朝食を少し取り過ぎてしまいまして、遅れそうになりました!!」
私は、そう答える。
本当は…馬小屋の餌やりの当番を忘れていた事も理由としてあるんですが、怒られそうなので、それは言う事が出来なかった。
「ハァ…」
「お気楽という事は、否定しないんだな」
コーレン副団長はため息を吐き、そう言った。
そして、ルイアに話しかける。
「ルイアも、いつも同じ部屋で大変だな…」
「イブの世話をしてくれて、有難うな」
「いえ…そ…そんな事はありまふぇん!!」
「ぜん、全然大丈夫です!!」
ルイアは顔を少し赤らめて、震わせた声で言う。
「…」(私)
(あれれ…?)
(これは、まさか…?)
というか、私は知っていました。
ルイアは、コーレン副団長に恋心を寄せていたのだ。これは、前にルイアと恋バナをした時に発覚した事で…まぁ、以前からコーレン副団長に対する態度があからさまに違うから、ルイアから話しを聞かなくても、なんとなく分かっていたんだけどね!!
これは一応、2人だけの秘密になっているのです。
コーレン副団長から顔を背けて、恥ずかしそうにしているルイアを見て、私は『フっ…』と笑みを浮かべるのであった。
そんな私を見て、ルイアは私の事を睨み付けていた。
「じゃあ、今日の任務に行くとしますか…」
コーレン副団長は、私達が揃ったのを確認して言いました。
それでは、今日の任務であるこの町周辺の害獣討伐に、いざ出発です!!
((さぁ、頑張るぞー!!))
「あ~、それとイブ…」
「馬小屋の餌やりは、俺がやっといたから」
「…」(私)
「有難うございまーす」
これは、明日から早起きした方が良いわね…
◯
「ワイワイワイワイ…」
「ガヤガヤガヤガヤ…」
レンガ造りの建物が、軒を連ねる風情ある町中を…
私達と同じ様に忙しない1日が始まるのでしょうか。
大勢の人達が行き交っている。
「「ホラっ、安いよ、安いよ~!!」」(町人A)
「「魔牛の串焼きは、いかがですかー!!」」(町人B)
「「こっちは、焼きたての美味しいパンを売ってるよ~!!」」(町人C)
「「お昼のお弁当にどうですかー!?」」(町人D)
「「あっ…騎士さん、おはようございま~す!!」」(町人E)
「「今日も、頑張って下さいね~!!」」
(は~い、有難うございます…)
私は、手を振りながら町の人達に応えます。
私達5人の騎士は、馬に乗ってー
町の外に出る為、町中を通り抜けている所であった。
町のメインストリートである大きな道には、沢山の露店が立ち並んでいまして、そこから色々な人達に声を掛けられます。
まぁ…いつも通りの朝の風景ですね。
私達は人混みを掻き分けながら、進んでいく。
それで、所々には…
この町の名物である小麦を使ったパン屋が多く存在しており、そこから出来立ての美味しいパンの匂いを醸し出しています。
(クンクンクンクン…)
(あ~、良い匂い…)
私は先程、朝食を食べたはずなのに、その匂いを嗅いだり、露店に売っているパンを見ている内にもうお腹が空いてきてしまっていた。
「あー、お腹が空いたなぁ」
私はそう言葉を漏らしながら、町の外に向かうのであった。
そして、しばらくして、私達5人の騎士一行はー
雄大な大草原の中を馬で駆けていた。