表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人の見た目をしてるだけじゃん!  作者: 新妻 初代
1/1

考える力

お願いしやす。

『覚醒というには大袈裟だ』


 美術予備校でのこと。

今日も今日とて絵を描く。

今日の課題は「二つの世界」だった。

本来ならば俺は「二つの世界」という言葉に対して自分なりの解釈を固めていくのだが、今はそれどころじゃない。

だって俺は明後日死ぬんだから。




『覚醒したところでバカ』


 まあなぜ死ぬのか、死ぬことにしたのか、それに至った経緯をここに話そう。

俺は高校三年生であり、もう受験の年だ。当然進路について考えたりもした。でも俺は周りと比べて好きなことがあるし、受験に向けても前向きな状態でいる。その証拠に美術予備校に毎日通ってるからな。

 ここまで聞けば「美大目指してるの!?」や「いいな〜、やりたいことがあって。」

とか言われることが多いわけだ。しかし、順調そうな俺にある問題が起きた。

それは、将来の夢がないことだ。




『バカなりの考え』


 学校の宿題で「将来の夢について調べてくる」というものが出た時、俺はなかなか答えを出せないでいた。やることも、好きなこともあるっていうのにやりたいことがないなんて、考えてもいなかった。今冷静に自分を見つめ直してみたら、結局大学には行かないといけないから行く。でも勉強ができないからどうしよう。だったら昔から得意だった絵を使っていける美大にいく。そんな浅はかな考えが頭の中に接着した。

 このままだとクソみたいな人生を歩んでしまうという謎の焦りに襲われた。

どうしたらもっと楽しく、もっと人生を謳歌できるようになるんだろう。

そういった楽観的な考えをした自分のにやけた顔をみて、ますます焦りに焦った。




『そもそも最初から』


 どうしたら良い人生を送れるようになるのか、それをまず考えることにした。

最初に思いついた方法は好きなことをする。これはしないよりいいことだ。6点(10点満点中)

二つ目は思いつかなかった。ていうか、考えもしなかった。だって好きなことをする以外理解ができそうなものがないのだから。でも6点、何か違和感を感じた。

 そうこういう時は自分ルールの一つ。「そもそも」を考える。

そもそも人生って何?

人の一生。

そもそもなんで人は生きるの?

その自問に対して、成果を残すためだとか、社会に貢献だとか、そんなつまんないものが出てきたが、結局「死にたくないから」ってことに落ち着いた。みんなそうだろ。

じゃあそもそもなんで死にたくないの?

痛いから、苦しいから、

、、、、

 ちょっと待て、落ち着け、痛いから?苦しいから?もし痛くも苦しくもなかったら俺は死に対してどう捉え方をするんだ?もしかしたらあっけなく死を選ぶのか?

などなど、色々考えた結果、身近に死がないからどういった選択を自分がするのか想像がしずらかった。

 だが、すぐにあることを思いついた。


余命宣告


 これに近い状態にあれば何か見えて来るんじゃないか、本当にやりたいことがわかるんじゃないか。そう思ったのと同時に、自分の頭のネジが緩んでしまったことを0、1秒で感じ、0、05秒で忘れ去った。そして1秒後、すぐにネジをぶっ壊した俺がいた。


俺は明後日死ぬ。そう思い込んだ。




『大袈裟に言わなくてもバカ』


 ということで学校が終わり、そのまま美術予備校に来ているのだ。予備校の課題をするどころではない。

明後日死ぬ。

正確には死ぬだけじゃない。それだけじゃ死を味わえないと感じた俺は犯罪を犯すことに決めた。そしてその後、死ぬことに決めた。

、、、、、レイプすることに決めた。

 やっぱ3代欲求の一つ、性欲は凄いなぁ。そんなことを考える俺はどこか欠けていると確信しつつもう遅い。開き直った。

ここまでやってきたおかげでようやく死を間近に感じられた。

だが、思っていたのと違った。本当にやりたいことが見つかるかもと思っていたが予想を遥かに超えた状況になってしまった。

なんのやる気も起きない、なんの意味もない。これまで積み上げてきたものも全部どうでも良くなった。だってそうだろ、死ぬんだから、死を前にしたら全てが無意味。そう感じた。

なんだよこれ、最悪だ。普段相手にしないものに対して正面からぶつかった衝撃は、ストレスという言葉だけではおさまらないほどだった。

冷静になれ、冷静になれ!そう言い聞かせて形だけでもと呼吸を整えようとした。

俺の目的は何か。それを再確認しよう。


明後日死ぬこと?

違う。


レイプすること?

違う。


課題を進めること?

それもあるけど違う!


じゃあ生きること?

ちょっと違う!


良い人生をおくること?

、、、そう。それだ。




『真実』


よかった、目的を忘れるところだった。やっと冷静を取り戻した俺は一息ついて、とある一つの結論を無理やりつくり上げた。

 「人間どうせ死ぬやん、早いかそいかの違いやん。じゃあ人生、無やん。生も死も一緒やん。」

 絵?どうする?


 俺はどうにかして死に打ち勝つ方法を探さないとけない、そう考えた。日本代表。いや、人類代表として。




『真実2』


 そもそも死んでまでやりたいことは何か。それを考える。

一つは、好きなこと。これは死んだら無だからなし。

二つ目は、どうしても思い浮かばなかったので、3代欲求から考えた。食欲。どうでもいい。睡眠欲。なんの意味がある。最後に「性欲」。

心なしか「ありかも」そう感じた。やっぱ3代欲求すげー。そして、やっぱレイプか、というなんとも、ここにぶん殴った方がいい人いますよと叫びたい気持ちそおさえて、小さく、そして限界まで大きく自分を殴った。

 でもある疑問が湧いてきた。性欲はレイプだけなのか?という疑問だ。まあそれがいいという人もいるだろう。(そんな奴は今すぐあれをちょん切れ!、、、俺もか、、、)

が、それが性欲の全てではない。そう、例えば恋人同士の、、、愛の育だとかね。へへっ!

愛?あい〜?

そういえば愛はあーだこーだに勝つとか、愛の力があればどうのこうのだとかあるよなぁ。

もしかしたら本当に愛は死の大沼に打ち勝てるのでは?




『バカにするからバカなんだ』


 だったらレイプも純粋な愛の育みも、歪んでいるかどうかの違いで「愛」なのでは?といった考えは置いとこう。

 でも愛が死に打ち勝てるのかを確認する方法がない。そう感じは俺は、「愛」に近そうな「好き」に着目した。ものだと俺にとって物足りないと感じた俺は、人にすることを決めた。

手っ取り早く周りの可愛い子を勝手にランク付けし、可愛い子をバカみたいに好きになった。

俺の中での可愛いの基準はとても高いはずだ。何故そんな簡単に!?


みんなマスクだった。ただそれだけ。


好きな子ができた俺。するとどうだろう。びっくりした。俺は少しだけ、あの子のために頑張ろうと思えるようになった。これは恋人や、子供を持つ親のイメージに似ているのだろうか。

付け焼き刃の作戦だったが意外とうまく行った。しかし、効果は短かった。それもそうだ。両思いじゃないんだから。でも収穫はあった。とてもあった。今までバカにしていた愛はこれほどすごいものだったのか!


ここまでの考えを振り返り、勝手にまとめに入ろうとする俺の頭をのぞいていくといい。

一つ。死を身近に置くと何もできない。

二つ。逆に生きるなら死を身近におくな。

三つ。だが愛はどんな困難にもうちかてる!(愛の対象は物でも人でもなんでも好きな方を)

四つ。早く愛する恋人をつくりたい!

以上!


そう心に決めた時、予備校の授業は終わりかけていた。手早く課題を済まそうとしたが、なんと新しい問題が俺の前で仁王立ちをしていた。

仁王さん「お前、どうやって恋人つくんの?」


俺「課題、二つの世界、それどころじゃない!だって俺は恋人をつくらないといけないのだから。」


そういって、予備校の課題は月の地球をなんとなく描いて提出した。




実は私自身も、この本の主人公のような存在なのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ