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コレーシュの独白3

 その後は、王になって二番目に忙しかった!

 急いで第四騎士団を作らせつつ、ダイソンやその周囲を徹底的に洗い出した。ダイソンが服従の首輪を作っていることに気付いたから、さらに人手を増やして作っている場所や人物を探させる。


 結果、ダイソンが自分の屋敷で作っているだろうと報告が来た。


 まじかよぉ……。さすがに証拠もなく、貴族の家の中を好き勝手できないんだよなぁ……。

 王様でもできないっていうか、王様だからこそしちゃいけないっていうか。


 ここで権力を振りかざしてダイソンの家の中を探したら、ほかの貴族は「いつか自分にも同じことが起こるかも」と不安になって、王家への不満や反逆につながる。

 それに、ダイソンがそういう時のための用意を怠っているとは思えない。証拠も服従の首輪も、すべてが見つからない、あるいは消し去る方法を用意していると考えるべきだ。


 それなら、こっそり忍び込んで証拠を見つければいい。

 ダイソンの家に潜り込む隙を作るのと、ダイソンとつながっている人物をあぶり出すために、大規模な人事異動の準備を進める。

 その最中に、ライナスがダイソンに見つかった。


 貴族学校に逃げることができたって聞いた時は、安心しすぎてちょっと涙目になってしまった。


「……ライナスをこんな目に遭わせたダイソンを許すわけにはいかない。すぐに人事異動の発表をする!」


 前倒しで人事異動をした。滅多に動揺しないダイソンもかなり慌てていた。ざまあみろ!

 そのあとは、誰がどう動くか、みんな睡眠時間を犠牲にして見張ってくれた。



 みんなの働きと、シーロが服従の首輪を持ち帰ってくれたこともあり、じわじわとダイソンを追いつめていけた。

 シーロに服従の首輪をはめた貴族の遺体が見つからなかったことは残念だったが、ないものねだりをしても仕方がない。

 通常の業務もこなしながら、ライナスと連絡を取り、焦らずにできることをしていく。


 そうしていくうちに、俺とその側近のあいだで、ひとつの疑問が湧いてきた。



 アリス・ノルチェフって、何者よ??



 第四騎士団のキッチンメイドとして採用する時に、念入りに調査して大丈夫だった令嬢だ。

 それなのに、いつの間にかダイソンに狙われるほどライナスと仲良くなっていて!! 一緒に学校へ行った4人の側近にも惚れられてて! ライナスもだいぶ気になってて!

 どうなってんだよ! お兄ちゃん、ライナスが下流貴族に惚れるなんて思ってもいなかったんですけど!?

 っと、それはひとまず置いといて。


 学校でダイソンに関する重大なことに気付いたのは、全部アリス・ノルチェフおよび周囲の人間だ。

 商人がダイソンとつながっていたのは偶然だが、その偶然を手繰り寄せたのはアリス・ノルチェフとその弟だ。

 商人がプレゼントと称して渡してきた毒を発見したのは、アリス・ノルチェフと懇意にしていた女生徒と、トール・ノルチェフだ。

 最後にダイソンの側近がバルカ領にいる情報を教えてくれたのも、アリス・ノルチェフが仲良くなった女生徒だ。


 豪運か?

 それとも、今までよっぽど辛い目にあっていたから、運が向いてきたのか?


 もう一度ノルチェフ嬢やノルチェフ家に関して調査しても、何もでてこない。

 商人と結託していることも考えられたが、それなら過去につながりがあったことを隠すはずだ。

 あとで商人にノルチェフ嬢のことを問い詰めたら、同じことを言ってたしな。騙して金品を盗み襲おうとしたが返り討ちにあったと。


 アリス・ノルチェフ、たくましいな……。


 それでも会ったことのない人物を信用しきれず、クリスに頼んでこっそりノルチェフ嬢を撮影してもらった。


 クリス以外の人間はノルチェフ嬢に好意を抱いているからな。映像をとってもらっても冷静な判断を下せるかわからない。

 それを言うと、クリスにも思うところがあったのか、一回限りって条件で頷いてくれた。


 しばらくしてクリスから送られてきた映像には、写真通りの令嬢が、思ったよりも表情豊かに映っていた。


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