表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

お料理しましょ

また隣がうるさい。

昼間も何かあったのか、警察のサイレンが、うるさかったのに。


うちのアパートは、壁が薄い。

隣の生活音が、まる聞こえである。


しかも、隣は変な女が住んでいる。

挨拶はしないくせに、朝でかけるときは、かならずドアの隙間から、こちらを見てやがる。


俺が男だから、警戒しているのだろうか。

興味のない女に警戒されると、かなりイラつく。


「さぁ お料理しましょ」


ったく、あの女、黙って料理くらいしろよ。


「あら、随分いきがいいわねぇ」


なんだよ。魚かな。

最近魚、食べてねぇな。

さんまとか食いたいな。


「しっかりと血をぬかないとねぇ」


あぁ、死んだ魚だと、血抜きしてもあんまり意味がないんだよな。

臭み取りに、ショウガやネギや、日本酒なんかで臭みを消さないと。


「やっぱり、新鮮なお肉はおいしそうねぇ」


なんだ、肉かよ。

肉で血抜きだと、ジビエかな。

塩水につけておくと、血の臭みがきえるんだよなぁ。

イノシシで牡丹鍋、最高にうまいよな。


腹が減ってきたが、もう時間も遅い。

時計を見ると22時。

もう食べないほうがいいよな。

これ以上太ると、また、ズボンを買い直さないといけないし。


ったく、聞きたくなくても聞こえてくるしなぁ。

勘弁してほしいよ。


ドンドンドンっ


何かを叩きつけるような音がする。

こんな時間に、肉を叩くんじゃないよ。

確かに叩いたほうが、筋がほぐれて食べやすいけどさ。


これは抗議しても、当然のことだろう。

思いっきり壁を蹴とばすと、音はようやく止まった。


「もも肉はぷりぷりして、美味しいのよね」


鶏肉か。

上手に調理すれば、胸肉だって結構いける。

唐揚げなら、しっかりと漬け汁につけこめば、胸肉のほうが、うまかったりする。

ザンギ揚げと竜田揚げの違いは、何なんだろうな。


しかし、うるさいな。

もう一発、壁を蹴る。


「耳もコリコリして、美味しいのよね」


あれか、ミミガーとかいう沖縄料理か。

確か豚の耳だったような気がするな。

てか、一般家庭で豚の頭とか調理するか。


あんなもん、どこで売ってるっていうんだ。

頭のおかしな女だな。

俺は腹が立ったので、もう一発壁を蹴った。


「手は、お肉がしっかりしているわ」


手か・・・。

なんだろうな。

蹄じゃないのか。


耳があって、もも肉があって、手がある。

俺は、自分の手を見つめながら考えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 結構料理に詳しい主人公が何だか好きです。耳、もも、手……きっとサルですね! 美味しいのかは分かりませんが……。近くの動物園から逃げてしまったのを、警察が捜しているんでしょう。
[一言] 熊か…
[良い点] 怖かったです! [気になる点] キーワードの「のんびり死体 ホラー」が、気になりました! [一言] お料理のお話だと思って、何も考えないで読み始めました。そうしたら、途中でホラーだと気が付…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ