表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホームビデオで顔出ししていた美少女、MMO実況で無事バズる  作者: 妹次郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/11

日記 5

 前回の動画「日記 4」は総再生回数6回で、高評価も低評価も0であった。

今流行りのゲームを題材にしていて、再生回数が少なすぎるかもしれないが、タイトルにもキャプションにも、「MHO」の文字を入れていないので仕方がない。


 ここに来てミツは悩んでいた。このまま動画投稿を続ける意味があるのか……ということを。

 ミツは、言ってしまえば退屈で、何か居場所を求めて動画投稿を始めたのだが、昨日「MHO」に出会ったことでその居場所を見つけてしまったのだ。心が満たされ、日中もゲームをしたいと逸り、動画投稿が煩わしく感じるようになってしまった。それほどMHOとの出会いは衝撃で、魅力的だった。

 

 学校から帰ると、さっさと宿題を終わらし、後はご飯の時間とお風呂の時間以外、MHOの世界に没頭した。

 とにかく録画ソフトは起動し、撮りためておくだけはしておこう。動画編集するかはおいておいて。

 

「本当に、綺麗……」

 

 ミツは初めてスポーンした地点からほとんど動かず、飽きずに地面ばかりみていた。生えている植物の多様さに脳の容量が全て吸い取られてしまったようである。

 本人としては楽しくてたまらないプレイングなのだが、他人からすれば、そこに見えてる街に行ってからがスタートなのに……ともどかしく思うだろう。

 

 それほど自然に興味がある方ではなかったのだが、そうして数日、植物や、川や星を見ているだけで過ぎていった。そのうち、彼女は不思議になった。

 

 「この植物はどうやって表現しているんだろう……」と。

 

 触れると、それに応じて動くのは、全ての植物に物理演算があてがわれているからだというのは分かっている。半導体技術の進化で膨大なデータを動かすことが可能になった上、ゲームが重くならないようにAIが調整しているらしい。

 だから気になっているのはこの植物の種類の多さである。

 

 花を摘んでインベントリに入れる、という動作をしてみたところ「たんぽぽ」という名称がついていた。同じたんぽぽであろうが葉っぱの広がり方が違うものを見分け摘んでみたところ、それにも「たんぽぽ」という同じ名称がついていたのである。


「同じ植物なのに、育ち方が違う……」 


 これがあまりにも気になり、本腰を入れ、近くにあったたんぽぽ畑で種類を見分けてみると、大体5種類に大別できることが分かった。その上でその5種類の育っている状態が蕾だったり、綿毛になりかかっていたりと、違うのである。

 一つの植物に、5個も生長データを用意している……これがリアルに見える理由だと、自身の調査に満足し、ミツはログアウトして風呂に入った。

 

 風呂から上がって髪を乾かしていると、YOTUBEアカウントに通知が来ていることに気付いた。

 「コメントが書かれました」という文字列をクリックすると、「そうた」という名前のユーザーからのコメントであった。

 

 『おもろそう』

 

 「日記 4」につけられたコメントである。MHOがおもしろそう、ということであろう。

 

 余りのシンプルさに、一瞬呆気にとられたミツだったが、次第に自分がゲームの面白さを紹介することに一役買った、という事実を理解し、嬉しくなってきた。

 

 再生回数は相変わらず7回と低い。だが、今日の発見を共有したくなって、彼女は動画を編集し始めた。

 

 目を輝かせて土を弄る自分の姿に、小学生かな、と若干恥ずかしくなる。そういえば、今日コメントをくれたのも小学生の子かもしれない。視聴者の姿を想像しながら動画を編集すると、いつもより文章が対話的になった。

 

 動画タイトルは相変わらず「日記 5」とした。

 

~~~~~~~~~~


おつかれさまです。

今日もMHOの動画になります。

今日は気になっていた、植物の美しさをじっくり見ていました。

本当にすごいです。どうなってるのか気になってちょっとゲーム内で調べてみました。

このたんぽぽ畑、これ全て「セイヨウタンポポ」という現実のタンポポをモデルにしているものらしいのですが、一つ一つ見え方が違いますよね。

一見100以上の見え方の通りがあるように見えるんですけど、よくよく見てみると、この放射状に出ている葉っぱの部分、これロゼット葉というらしいですけど、この広がり方とか、葉っぱ一枚一枚の分かれ方、これも名前があって裂片というらしいですけど、が、同じものがいっぱいあってですね。それを1つに数えると、たったの5種類でした。

5種類の植物が、育ち方とか、あとは向きによる風の当たり方とかで無数にパターンがあるように見えていたんです。

それでも一つの植物に5種類のデータって凄いですよね。

このデータをどうやって作ってるのか気になって調べてみたところ、他のVRMMOのゲーム制作の記事が出てきました。

植物モデルの作り方で、記事では薔薇だったんですけど、薔薇のタネから、花が咲いて、またタネになるまでを複数のカメラでスキャンしたんだそうです。その映像データをゲーム内に取り込んで見せる、ということでした。

これはMHOとは違うゲームの話ですけど、同じことをしていると考えた場合、5本のたんぽぽのデータを取り込んでいる、ということが分かりますね。

本当にすごい作り込みですよね。仮想現実ってこのことだって思います。

北極に、世界中の種子を貯蔵して、生物の絶滅に備えるノアの箱舟計画というのがあるって前テレビで見ましたけど、これも、仮想現実にノアの方舟を作ってるって思いませんか?なんちゃって。おしゃれなことを言ってみました。

では、今日はこの辺で。また。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ