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ホームビデオで顔出ししていた美少女、MMO実況で無事バズる  作者: 妹次郎


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10/11

初めての視聴者

 ライブ配信を開始して、気がつけば視聴者数が1になっていた。


『おっ今日もやってるじゃん』

『また全然進んでないなww』


 「酸cos」という名前のユーザーで、前回コメントをくれた人だった。


 返事をしようと思ったが、現在はゲーム内にログイン中であり、マイクがまだないので、YOTUBEのコメント欄に直接文字を打ちこんだ。

 MHOのオプションから、外部サイトにアクセスできる設定があり、特に配信ソフトや、YOTUBEなどの有名なサイトはサポートされていて簡単に接続できる。

 

ミツちゃんねる『コメントありがとうございます』

酸cos『あっ、今回はコメント見てるんだ』

酸cos『それにしてもモデル可愛いなー』

ミツちゃんねる『ありがとうございます』


 モデルが可愛いという言葉の意味がよくわからなかったが、容姿を褒められているのだろう、と素直にお礼を言った。

 好意には好意で返すというミツの美点だ。いきなり容姿の話をすることは失礼だと思っているし、誉め言葉であってもそれは変わらないのだが、それとは別に、この人に悪意がないであろうと思ってとりあえずお礼を言う、そういう処世術を身につけている。

 

 だが今回に限ってコメント主は「半分」そのつもりではない。

 モデルが可愛いというのは、当然操作キャラクターの3Dモデルが可愛いという意味である。もしミツが「3Dモデルじゃなくて自分の顔です」と言ったなら『気付かなかった』とコメントを返しただろうし『ごめん可愛いからモデリングだと思った』ぐらいの一言も添えただろう。

 逆に、お礼を言われたのでやはりネカマだったか、と納得した。探りを入れたのだ。

 コメント主はミツちゃんねるの過去動画をまだ見てはいなかった。

 

 せっかく人が来てくれたことに対して、今、ミツは自分の発見を共有したいと思った。この後配信画面を閉じてゲームに没頭するだろうし、会話できるときに会話しておこう。

 

(この人……コメント的にこのゲームに詳しいみたいだし、初心者の私の驚きを共有したら喜んでくれるかも)

 

 初見プレイというのが喜ばれるのは知っている。

 配信者として来てくれた視聴者を楽しませたい、という思いもあり、彼女は手に持っていたシロツメクサの花びらをちぎって落とした。

 

ミツちゃんねる『見てくださいこれ。植物たちって多分カメラでスキャンしてモデルデータが作られてると思うんですけど、ちぎることも出来るし、手から放してもオブジェクトが消えないで落ちていくんですよ』

酸cos『VRゲーム初心者?すごいよね。分かる』

ミツちゃんねる『すごいです。それで特に凄いのが、花びらを落とした時は風に乗ってひらひら落ちていくし、茎の部分をちぎって落としたらすとんと落ちるしって感じで、部位によって、かかってる演算が多分違うんですよね。ほら、シロツメクサの葉っぱは丸くて可愛いんですけど、結構早く落ちるんです。それでも形による空気の影響は受けるので多少ひらひらしますけど、似たような形の他の植物の花びらより早いんですよこれ。だから、重力だけじゃなくて、葉っぱ部分は葉っぱ部分の演算があると思うんです。それがまたリアルなんですけど』

酸cos『細かww良く気付いたなww』


 コメントの反応が良いのでミツは嬉しくなり更に研究成果を披露した。初心者ゲーマーの初心な驚き、として受け止めるには、少しオタク的な語りが過ぎるだろうが。

 

ミツちゃんねる『で、流石にこの量のオブジェクトに物理演算を個別に設定するのは人力では不可能だと思うので、AIで設定していると思うんです。だからこれ見てください。シロツメクサの花びらって、構造的に三種類に分かれてるんですけど、この部分のここって、めしべを守っててちょっと固い部分っぽいんですね。だから現実で落とすとストンと落ちると思うんですけど、花びらの設定になってるのでほら見てください。ひらひらゆっくり落ちるんですよ。現実とは違うんです。こういうのって凄く面白いですよね』

酸cos『いやちょっとマニアックすぎwwwこのゲームで一生遊べるでしょ君www』

酸cos『こんなとこまで楽しんでくれたら開発者嬉しいだろうなー』

ミツちゃんねる『そうです。まだ初心者なんですけどこのゲーム大好きです』




ミツちゃんねる『それでこの花粉なんですけど、花粉って現実では触っても感知できないくらいちっちゃいと思うんですけどこれざらざらしてて、オブジェクトサイズと触覚設定の限界なのか、ゲーム的体験のために動作に対するフィードバックとしての手触りなのかっていう……』



 そうしてその後もミツは「酸cos」に話しかけ続け、酸cosもその鬱陶しいぐらいのミツの熱量にずっと楽しそうに反応していた。

 

 『マジで面白い配信だったわ。俺過疎配信を狙って見るのが趣味なんだけど、ここ最近でいっちゃん面白かった。いつかバズれるよ』

 

 配信終わりにそうコメントを残し、酸cosとミツは別れた。

 

 ログアウトし、ミツは今日の自分のコメントを思い出して、顔を真っ赤にしてベッドにごろごろひっくり返った。

 あまりにも恥ずかしい。

 

(……でも、楽しかったな……)


 自分は、人と、これぐらいの話がしたかった。こんな感じの、友達がほしい。


 それが、動画を編集して「日記 6」を作る原動力となった。

 

(ちょっとした発見を共有するけど、酸cosさん相手ほど細かいのはやめとこ……)

 

~~~~~~~~~~


おつかれさまです。

今日もMHOの動画になります。

相変わらず、まだ草原です。

美しいゲーム画面を楽しんでいってください。自動追尾のカメラですので、私が撮るより綺麗に撮れてると思います。

その間に一つ発見を共有します。

このゲームの植物の3Dは恐らくカメラでスキャンして作られていると思うと前回お伝えしたんですけど、じゃあ花を支えるガクの内側はどうなっているんだろう?と思って分解して見てみました。

すると、ちゃんと作ってあるんです。

だから方法として、X線を使ったCTスキャンみたいな感じでモデルを取得してるんだなと思います。

以上です。ライブ配信も始めましたので、お暇であれば来てみてください。

では、今日はこの辺で。また。

 

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