3 現状把握とお願い
翌日起きて熱の後遺症か3日寝たままだったのが原因か、多少身体はダルいけどリナに身支度を整えてもらうため鏡台の前に座って髪を整えてもらっている。
鏡に映る顔は父様似のちょっと釣り気味の翡翠色の眼に、母様似のピンクの髪色のちょっとキツそうなイメージの少女が座っている。
確かに見慣れた顔ではあるが、せめて母様似で垂れ気味の可愛い眼に生まれたかった…、眼1つでイメージがここまで変わるんだなとしみじみと考えてしまう。推しに会いに行くなら絶対ヒロイン顔の方が有利だと思うんだけどな…
前世の記憶は思い出したが知識は知識でしかなく、やはりアマリリスとしての意識が強く、行動には5歳のアマリリスがメインで居る感じだ。
「姫様今日はサイドを編み込んで後ろに流しますか?」
じっと鏡を見ていた為かリナが確認をとってきた、特に拘りがある訳では無いのでリナに任せるのが良いと思うので「リナに任せるわ。」とだけ答えておく。
ゲーム当時のヒロインの髪型は肩につくかつかないかの長さだったが、既にその長さは超えているので今更髪型を真似る事は叶わないだろう。
流石に王女の身分でその長さに切る事は許されないのは、分かっているので諦めている。
身支度を終え朝食の為移動する、今までなんとも思わなかった廊下や庭を見てあのシーンの背景だ!なんて楽しみつつ目的地に着いた。
扉前の護衛が頭を下げ扉を開けてくれる、今まで何とも思ってなかった事に前世を思い出してちょっと何とも言えない気持ちになる。今まで甘受してたのでそのうちまた慣れるのかなと思いつつ扉を通り過ぎる。
先に来ていた両親に挨拶をして何時もの席に座る。
「もう体調は大丈夫?何か軽い物に変えてもらう?」
正面に座っている母様に気をかけてもらいつつ、
「リリーならこの位ペロッと平らげるだろう。」
と、父様の意地悪が飛んでくる。何時ものやり取りとはいえプクッと頬を膨らませて「父様嫌い」って言うと、何とも言えない笑顔で微笑まれた。流石ドS元王子…、本気でやられたら泣く…
食事しつつお願いしたい事を思い出して、カトラリーを置いてお願いを言う事にする。
「父様お願いしたい事があります。」
「内容によりけりだな。」
ある意味頑張り所なのかも…
「5歳にもなりましたし、せめて城付近の散策の許可が欲しいです。」
「別に良いよ、但し護衛は付けるけどね。」
あっさり許可がおりてへ?って感じで気が抜けた…、本当にさっき迄の気合いは何だったんだろ。
とりあえず明日からの散策で推し探し始めなくては!
また1歩推しに近づけた気がして、部屋に戻る時スキップしそうになってしまった。
「何か企んでいると思ったけど、散策とは。うちのお姫様は何がしたいんだろうね。」
にこやかな表情をしつつ目が鋭いままのブライアンの執務机の上にティーカップを置きつつ、優しい微笑みでユリアナが微笑む。
「余り虐めたら本当に嫌われても知りませんよ、あの子ももう5歳になったのですから色々知って行くことも大切だと思いますわ。リリーのやる事に変な邪魔したら私も嫌いになっちゃいますわよ。」
ユリアナの微笑みを浮かべているが発言内容に本気を感じ、ブライアンはユリアナの腰を抱き寄せながら誓いを口にした。
「無粋な事はしないさ、ただリリーの事を心配してるだけさ。」
ユリアナもあらあら言いながら抱き寄せられた腕に手を重ねる、なんだかんだ言ってこの夫婦は未だにラブラブ夫婦なのだ。
1~3話は共通になっています。
次から推しのルートに入りますのでタイトルにルート名(推し名)入れて行きます、今の所2人は構想しているので誰が来るかはお楽しみに!
1人書き終わったら次の推しに入るスタイルで行きます。