ライナスルート16
長年思い続けたこの恋が実るとは思っていなかっただけに、今の状況が夢の様に感じてしまう。
確かにライナス様は私を愛していると言ってくれた、そして私を望んでくれたのだ、抱きついたライナス様の腕の中温もりが現実だと教えてくれる。ライナス様のたくましい背中に回した手にギュッと力を込めて、もっと寄り添い近ずける様に抱きつく。
「姫様、ちょっと…。」
慌てた様な声が頭上から聞こえ、少し力を緩めて上を見ると口元を手で覆い耳まで赤く染めたライナス様の顔があった。
大人でこの様なやり取りに慣れているのだと勝手に思っていたが、ライナス様のファーストキスを奪ったのは私だと言っていた。前世も男っ気も無くゲームの擬似恋愛に浮かれ、ブラック企業で社畜人生を送っていた私も慣れているかと聞かれれば、慣れているはずも無いわけで。
今抱きついているこの状況を考えると、カーッと顔に熱が集まるのを感じ1歩後ろに飛び退き、両手で頬をおさえて下を向いてしまう。
勢いもあったけど、なんて大胆な事をしてしまったんだろう。チラリとライナス様を伺うと、同じ様にこちらを伺うライナス様と視線がぶつかり、お互いに視線を外してしまった。
こういう時どうすれば良いんだろうと悩んで視線をさ迷わせていると、プッと押し殺した笑い声が聞こえてライナス様を見ると口元に手を当てて笑いを堪えていた。
「笑わないでください。」
「ごめん。俺も慣れて無いけど、姫も慣れてないなと。」
やっぱりライナス様も慣れてないんだと思いつつ、図星をさされてちょっと不貞腐れてしまう。
「悪いですか?私は本当に産まれる前から、ライナス一筋なんです!」
勢いで言い切り、恥ずかしさも手伝い唇を尖らせ横を向いてしまった。
「悪くない。その真っ直ぐな瞳には、今後も俺だけを映して欲しい。」
あまりにもストレートな言い方にビックリして、横に向けていた顔を正面に向けると、片膝をつき片手をこちらに伸ばすライナス様が居た。
「アマリリス姫、これから変わりなく貴方を愛し続けると誓う。どうか俺との結婚を受けて貰えませんか?」
昔見たスチルなんて目じゃない位に、凛々しくこちらを見る瞳に、胸が苦しい位にときめく。
2次元での憧れから始まった恋だが、幼いあの時からただの憧れでは無くなり、ただ1人の異性として慕った人からの求婚。
震えそうになるのを堪えて、伸ばされた手に自分の手を置く。
「私も変わらない愛を貴方に誓います、どうかよろしくお願いします。」
置いた手の指にライナス様の指を絡める様に繋がれ、ゆっくり立ち上がりこちらを見る瞳に確かな熱を感じた。
「もう離しはしない、これからは俺の横で笑っていてください。俺の愛しい人。」
「はい。いつまでもライナスの横で、共に笑って過ごしたいです。」
私自身泣き虫だとわかっていたけど、こんな満たされた嬉しさでも涙が流れる。本当に嬉しくて涙が止まらないけど、ライナス様の顔を見上げ微笑むと、顔を寄せ私の頬を流れる涙をキスで吸い取っていく。
恥ずかしいけど嬉しくて、より一層の笑顔を浮かべてしまう。
しばらく2人でじゃれ合い笑いながら抱きついていると、背後から咳払いが聞こえた。
驚いて背後を見ると、なんとも言えない表情の父様が立っていた。ライナス様は気付いていたのか平然としているが、私は恥ずかしくなって身体を離そうとするが、回された逞しい腕によって阻止されてしまう。
「とりあえずおめでとうと言うべきか?ライナス、可愛いリリーからさっさと離れろ!」
「祝いの言葉だけ受け取るから、ここは気を効かせて2人にして欲しかったよ。」
「お前が暴走しそうだから、出てきたんだよ。リリー、こんな度量の狭い男から逃げて、父様の方においで。」
そういえば室内に入って直ぐにライナス様を見つけて、逃げようとしたり告白をしていたが、父様もしかしてずっとこの室内に居たって事なの?
余りの恥ずかしさに顔が熱を持つのが分かり、両手で顔を覆い下を向いてしまう。父様の前で行われたと思われる様々な事が脳裏に浮かび、先程とは違う涙が出そうだ。
「急に声をかけるから姫が困ったいるじゃないか、姫大丈夫ですよ。」
立ち尽くす私をライナス様が、あやす様に抱きしめて背中をさすってくれる。
「まだ婚前なんだ、うちの可愛い娘に触れるな!こんな事なら、お前に助言や手助けするんじゃ無かった。」
普段冷静な父様が怒っているのも珍しいけど、助言や手助けってなんの事だろう。
気になりライナス様を見ると、微笑みながら手を弛め横に並んで立ってくれる。
「あの事件の時に姫から告白された後、傷の手当が終わって直ぐに陛下に結婚の申し込みに行ったんです。その時辺境への遠征の話と、陛下と賭けを少々交わしまして。」
誤字脱字変換ミスがありましたら、ご連絡よろしくお願いします。




