2 過去と現在と自己反省…
頭痛を訴えて気を失った後3日間高熱で寝込んだ後、起きたら前世の記憶?らしきものを思い出していた。
5歳の身体と脳に30代OLの記憶突っ込んだら、キャパオーバーでそりゃ寝込むよね…
私はいわゆるブラック企業に勤めていたんだと思う…、残業残業の毎日、休日が潰れるのも日常茶飯事。
何か気晴らしに趣味を持ちたいと思いつつ自由に使える時間も少ないので、思うだけで趣味を中々見つけれない時。よく食堂で一緒になる同僚に相談と言うか愚痴をこぼした時に携帯で空いた時間にプレイ出来ると話題のアプリゲームを教えてもらった。
同僚もハマってたので休憩時間に情報交換という萌えや尊さを語る時間が日々の生きがいになるまでそう時間がかからなかった。
同僚とハマったゲームは乙女ゲームの「悠久の楽園」、略して「悠楽」。
15歳になったら神殿で祝福を受け貴重な光の祝福を授かったヒロインが、攻略対象と一緒に力を合わせて世界の浄化をしていくというありふれた設定の戦闘ありな乙女ゲーム。
ただ悠楽のグラフィック綺麗さと豪華声優陣に加え、一癖も二癖もある攻略対象の素晴らしさにハマる人続出していたのだ!そのゾッコンにハマりにハマったの枠に私も居たんだけどね…
メインヒーロー的なのがドS王子、同僚の推しだったけど個人的には余り推せなかったけどね…、ごめん同僚!
他にも腹黒な宰相の息子に、氷の公爵子息、人体実験しているんじゃないかと言いたくなるマッドサイエンティストに、自閉症気味な魔法師団、ヒロインの幼なじみでヤンデレ騎士見習いに、隠しキャラには側室が産んだドS王子の腹違いの弟なんてラインナップで、更新が来る度に追加されていく攻略対象に悶えていた悲しい社畜時代。
本当にハマってた通勤時間や休憩時間に、寝る時間も削りつつプレイしてしまっていた。
特に事故にあった覚えも無く何かあった訳では無いので、自室で睡眠をとったつもりがそのまま永久の眠りについたのかなと思ってしまう(自業自得過ぎて何も言えない)、ブラック企業絶対ダメ!後のめり込んでも身体大切にと切に叫びたい!
そんな記憶を思い出しつつ目の前の現実に目を向けると、記憶にあるゲーム時代より年齢の上がった2人が居る。
泣き顔のヒロイン(歳とっても可愛い奥さんって萌える!)と、眉間に皺を寄せたまま心配そうにこちらを覗いてくるドS王子(青年時代と違い落ち着きが出たぶん大人の色気が…)。
「リリーもう大丈夫?身体辛い所は無い?」
泣き腫らしたんだろうなと思う赤くなった目元で、まだウルウルと涙を貯めつつ母様に抱きしめられる。
キュッと母様を抱き返して身体を預けると、頭を大きな手で撫でられる。
「余り心配させるな、何かあったらと思うと公務に集中出来ないだろうが。」
「母様に父様ごめんなさい、弟か妹が生まれるのに興奮して最近寝れてなかったの。」
そっかと笑いつつ理由に納得したのか両親とも微笑んで、またベッドに寝かせてくれた。素直に前世思い出してキャパオーバーなったなんて言っても信じて貰えるはずも無いしね…
「まだ夜だからゆっくり休んで、明日は元気なリリーを見せてね。」
頬に軽いキスをして灯りを消して両親が出て行った後、ベッドに横たわりつつ今現在の自分を思い出す。
名前はアマリリス・グライドリー、グライドリー王家の第1王女。愛称はリリー。
改めてヒロインはドS王子攻略したんだなって感じる…ヒロインこと母様はユリアナ、ゲーム当時平民だった母様には苗字など無くゲーム攻略で浄化を終え聖女となって結婚って流れだったとストーリーを思い出す。
ドS王子こと父様はブライアン・グライドリー、ハピエン後結婚して王位継承してるはずだから現在グライドリー国の王様って訳で。
私の推し、ヒロインに攻略されなかったんだなって微妙にしんみりしてしまう…、両親と同じ世代だからどんな大人になっているんだろう?
ってここが本当に「悠楽」世界でドS王子攻略後ならもしかしたら推しに会えるかもと思ったら、嬉しくなってきてしまうあたりポジティブなのかも。
今まで年齢で行動範囲狭くて他の攻略対象に会った事無かったけど、もう5歳になったし元気になって両親の許可がおりたら会いに行きたい!
絶対推しに会いに行きます!
変換ミス報告本当にありがとうございます!類似部分も修正しました。
誤字脱字変換ミスあれば報告よろしくお願いいたします。