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ライナスルート11

走り疲れ王宮内の一般開放されている庭園を、1人泣きながら歩いていく。流石に泣いている為にメインの通りから外れて、少し暗い細道を歩く。

先程の出来事を思い出しては、涙も嗚咽も止まらない。

ライナス様に対して完全に八つ当たりもいい所だ、いきなり子供の癇癪で怒鳴られて…キスされて…。

初めてのキスがあんな形でしてしまったのも悔しい、私だってキスには夢をみていた。ロマンティックなシチュエーションで愛を囁きながらとは言わないが、一方的に怒鳴ってがむしゃらに口をぶつける様なキスがしたかった訳では無い。


余りの思考の幼さに泣けてきて、流れる涙はまだ止まりそうにない。


目を擦りながら歩くと、数人の男の人達が庭園観光なのか立っていた。泣いているのを見られたくなくて下を向いて、呼吸を止めて嗚咽を漏らさないように横をすり抜けた時、後ろから口元を覆われて捕まってしまった。


「いい所にいいカモが来やしたぜ。」


「わざわざ連れてくる手間も省けた、いい服着ているからいい所のお嬢さんだろう。」


自分の迂闊な行動を呪いたくなる、ライナス様は危ないからと言って、一般開放されているエリアに行くのを止めてくれていたのに。

腕を掴んでいる手や口元を覆う手を必死に振り払うように、暴れもがきながら口元を覆う手のひらに噛み付いた。

一瞬拘束が弱まった時に、助けを呼ぶために声を出す。


「た…助けて…。」


恐怖に陥ってしまっている私の声は、願いとは裏腹に余り大きな声にならなかった。

愕然としていると、噛み付かれたことに怒った男の人に頬を思いっきり叩かれた、口の中を切ったのか僅かに血の味が広がる。叩かれたことで恐怖に支配され、身体が小刻みに震えだした。

恐怖で抵抗する事も出来なくなり、男に引きずられる様に連れていかれる。腰が抜け上手く歩く事ができない、縺れる足取りにイラついたのか、男が胴に腕を回して持ち上げ、まるで荷物の様に抱えあげた。

圧迫されるお腹に苦しさを覚えて、もがくが抵抗にもならないまま男は歩き出した。苦しくて目を瞑ると、順番に親しい人の顔が脳裏に浮かんでくる。

父様…母様…、ライナス様…

誰かが悪い訳じゃない、私の愚かさが招いた結果だ。止めどなく溢れる涙を流しつつ、しゃくりあげてしまう。


その時背後から声が聞こえた。


「下衆が、お嬢様から手を離せ!」


私を抱える男が振り向いたことで、その声の主が私の目にも映った。

私を探す為に全力で走り回ったのか、息を切らせながら立つライナス様が居た。いつも綺麗に後ろに流している髪も乱れて、呼吸の度に動く肩で、どれだけ必死に探してくれていたのかが分かった。


「下衆が聞こえなかったか?お嬢様から手を離して消えろ。」


武器を腰に携帯して、鋭い眼光で睨まれた男達は怯むが、まだ私を抱えたまま後ろに下がっていく。

睨み合ったまま少しずつ距離を詰めてきていたライナス様が、一気に姿勢を低くして詰め寄り1番近くにいた男の腹を殴り沈めた。続いて近くの男のこめかみに鋭い回転げりをくらわせて、その勢いのまま次の男に殴りかかった。

数人居た男達が、どんどんライナス様の手によって減っていく。

余りの素晴らしさにもがく事も忘れて、ライナス様の動きに見入っていると、スっと頬に冷たい感触が当たった。


「護衛のお兄ちゃん、それ以上動かないでもらおうか。お嬢ちゃんの折角の綺麗な顔に、傷なんて見たくないだろ?」


抱えている男の横に居た男に、小さなナイフを頬に当てられている。


「下衆が!」


ライナス様が忌々しく吐き捨てて動きを止めた。脅しによって動きが止まったライナス様に気を良くしたのか、男が更なる要求を突きつけた。


「ちょっとお兄ちゃんやりすぎたな、腰のもんこっちに投げて手を上げろ。」


ライナス様は男の要求をのみ、腰に着けた鞘ごと剣を外して中間辺りに投げた。剣を投げた後に目が合った瞬間、ライナス様が優しく微笑んでくれた。まるで大丈夫だと言われた様で、恐怖で震えていた身体から余計な力が抜けた。


私の頬にナイフを当てている男が、剣が落ちた場所が少し届かない事でチッと舌打ちをして、私を抱えあげていた男に私を下ろして取りに行かせた。

剣を抱えた男が戻って来る頃には、殴ら倒れていた男達も立ち上がり始めている。立ち上がった男達は忌々しそうにライナス様を見ると、手を挙げ抵抗しないと判断し殴り始めた。

男達に殴られ押し倒されたライナス様を、先程の恨みを込めて殴り蹴り続ける。

私のせいで、ライナス様が危なくなっている状況に涙がこぼれる。ライナス様を助けないとと思い私を拘束する男の腕に思いっきり噛みつき、拘束が緩んだ瞬間ライナス様に向かって走り出す。

思いっきり噛まれて痛みで手を抑えていた男が怒鳴りながら追ってきたのに驚いて後ろを振り向くと、男はナイフを振り上げて切り掛る瞬間だった。

スロモーションの様に振り下ろされるナイフから目が逸らせないでいると、背後から暖かい腕に抱き込まれた瞬間目を大きな手で覆われた。


襲ってくるだろう痛みに備えるが、痛みは襲ってこなかった。

ただ頬に涙とは違う、暖かい雫が流れるのが分かった。

目を覆っていた手がどかされて、背後から抱き込む人物を振り向いて見上げると顔の右側を血に染めたライナス様が居た。

ラブコメ求めて来た方居たら本当にすみません

ラブコメのコメさん逃亡しているので、ラブコメのタグ外します(汗)ラブコメ難しい…

誤字脱字変換ミスがありましたら、ご連絡よろしくお願いします。

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