ライナスルート7
今回も父様です…
父様も満足出来たならこのまま帰って欲しいななんて思うけど、現実はそう甘くもなく…
「で、リリーはライナスの事何処で知ったのかな?あいつは実力はあるけど平民だから、階級の問題で城内の奥の方の警護に付いたことは無いはずだけど。」
流石貴族社会、貴族の階級でも仕事内容が変わるんだ。知らなかった情報を聞きつつ、今日の流れで違和感の無い言い訳を考える。
「何時も警護してくれてる騎士団に感謝してたので、普段の活動を見て見たいと思ったのです。そして見学に行った時親切に案内してくださったライナス様に…憧れたのです。」
大好きって言った事知られてるが、素直に好きになったなんて言えない微妙な空気を察知して濁してしまった。
「ふーん、そういう事にしておいてあげるよ。」
なんか黒い笑みの父様降臨してるんですけど!?ふと何か考え込んでいる様だけど怖くて聞けない。
「あいつに憧れたなら、明日からリリーの護衛に付けるように通達しておいてあげよう。あいつの実力は知ってるから1人付ければ問題無いだろう、ゾロゾロ人を連れて歩かなくても良いだろうし。」
明日からライナス様と一緒に居られるって事?ビックリしてしまい興奮で、一瞬で頬が赤くなるのがわかる。父様が何を考えてるのか分からないけど、本当に嬉しい。勢いでまた父様の首に抱きつきお礼を言う。
「父様ありがとうございます!大好きです!」
私の背中に父様も手を回して、ポンポンと背中を優しく叩いてあやしてくれてる。なんかこうして甘やかされてると我儘に育ちそうな不安はあるけど、子供の特権と言い訳を考えてしまう。知識だけだけど、前世で成人してた部分が我儘に対して良いのかと思ってる変な気持ちだ。
「とりあえず明日ライナスが部屋に来るまでは、部屋で待機しているんだよ。まさかとは思うけど、騎士団の詰所にライナスを迎えに行かないように。」
クスッと笑いつつ父様からの発言が無駄に引っかかる、父様の中で私のイメージはどうなってるんんだろうか。
「そんな事しませんよ!父様は私の事どう思ってるんですか!」
「良くも悪くもユリアナそっくりの、考える前に動いてしまう行動的で愛しい娘だよ。」
母様…結構無茶してたんですね、そういえばゲームでもヒロインが色々な事件に自分で突っ込んで騒ぎ大きくしてたなと知識から思い出す。私もそういえば会いたいと思って翌日には突撃したな…、父様こういうタイプに振り回され慣れてるんだろうか。
なんだか父様が可哀想な人に見えてくるから不思議なものだ、原因の中に私もカウントされているはずなのに思ってしまった。
「さてリリー、そろそろ晩餐の時間だからこのまま一緒に行こうか。」
もうそんな時間になっていたのかとビックリしつつ、はいと答える。
ベッドの横に立った父様がこちらに手を出して待ってくれてる、急いでベッドから降りて父様と手を繋いで歩く。
節だっているけど剣を握る硬い手では無くて、ライナス様とは違う手の感触をギュッと握りしめた。父様と手を繋いで歩く事はあまりなかったけど、こういうのも良いなって思った。
見上げた父様は視線に気がついたのかこちらを見下ろし、普段とはまた違う感じで微笑んでくれる。
なんだか今日1日が本当に素敵な1日だったと実感してしまう。
憧れの推しに会って、成長したライナス様と会話したり触れ合えた。盛大に子供扱いされてコケたけど…
普段忙しく余り甘えられなかった父様とこんなに話もして、意外な一面を見てこうして手を繋いで歩いている。
子供扱い上等!今の私の精一杯の力で勝ち取った幸福感だと、胸を張って言える。
今日は本当に幸せな1日だ!
誤字報告ありがとうございます、本当に助かります。
また誤字誤変換あれば、報告よろしくお願いします。