内気な大魔王は勇者の娘とお友達になりたいです!
第2回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞への応募作です。連載コメディの序章っぽくなってしまいました。
よろしくお願いします。
アンデッドの少年グリルは困っていた。
一体、どうやって声をかければ良いのか。
目の前にいる勇者の娘ソードは、自分に女の子らしくない名前を付けた脳筋の父に当て付けるために、魔法使いを目指しているという。そんなソードに、学園裏庭にある勇者の剣を抜いて勇者になってくれとは、とても言い出せなかった。
結局あきらめて帰ってきたグリルを、怒りに煮えたぎるルーナのお仕置きが待っていた。先日、父を殺して大魔王になったルーナの魔族最強魔法が炸裂する。
ルーナは、何としてもソードとお近づきになりたかった。
クールなソードはルーナの憧れ。勇者の娘という運命にあらがってひたむきに魔法使いを目指す姿勢も、一人称“ボク”で話すところも、なにもかもカッコいい。魔族最強の実力を持ちながらも、内気で従者のグリル以外とは話もできない自分とは違う。
魔王と勇者は引かれ合うと聞き、自分が大魔王になれば、勇者の娘であるソードが自分を倒しにきてくれると思い父を殺したのに、肝心のソードは勇者に興味がない。あの手この手でソードを勇者にしようと、グリルを差し向けるのだが、失敗続きの毎日に、今日も魔族最強の魔法が炸裂する。
だが、その魔法の数々がソードの目に止まる。人間の魔法書には載っていない数々の強力な呪文、その使いこなしに、魔法使い志望のソードは目を輝かせた。
「ルーナ――ボクに魔法を教えてくれないか?」
聖と魔の戦争が遠い昔のものとなった現代。人間と魔族の子供たちが仲良く通うこの聖魔学園で、新しい物語が始まろうとしていた。
お読み頂きありがとうございました。
楽しんで頂けましたでしょうか。
『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』でも「タイトルは面白そう!」のコーナーで毎回投稿してますので、そちらもよろしくしていただけますと幸いです。
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