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『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『永享の乱』 永享九年/嘉吉元年(1437)

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第九十八話 哀の中へ:そして赤松は滅びの道を進む

第九十八話 哀の中へ:そして赤松は滅びの道を進む


 開幕からの、生き残り! 冒頭のシーンから今ここでーす☆


「えいえい」

「「「「オウオウ!!」」」」


 切り結ぶ事無く突き飛ばし、畳を返して盾代わりにする。


「槍、を持て!!」

「突け突け!! 突き崩すのじゃ!!!」


 侍どもが足軽・小者に槍を持たせ突進させるが、簡単に突かせてもらう事などできはしない。迷路のような屋敷は逃げ出すには難しいが、守るには却ってやりやすいのだ。


――― ピィー リリリリリ!!


――― ピィー!!


 生存確認の笛を吹き、屋敷の外からは返事の笛が聞こえる。


「残念ながら、既に邸内に番衆どもが突入しておるな!」


 足軽・小者は勿論、それを嗾ける侍の表情も硬くなる。


「征夷大将軍に反逆したもの、すなわち帝に反旗を翻した賊也!!」

「鴨の河原にて梟首されたくなければ、赤松一党以外は落ち延びるが良い!」


 地侍たちは赤松に連れてこられて京にいるだけの単身赴任のようなもの、守護が変われば、仕える人間が変わるだけ。赤松と心中する必要はない。


「このままでは貴様ら全員、梟首じゃ。今なら間に合う、逃げ延びよ!」

「さあ、時間が無いぞ! 赤松の奴バラに従い梟首されるか、命を大事に逃げ延びるか。はよう決めよ!!」


 ジリジリと後退する足軽・小者。小者の中には庭に飛び降り駈出す者も出始める。とがめだて、切り捨てようとする侍もいるが、自分自身も動揺し、逃げるかどうか迷い始めているので及び腰だ。


「何を言う! 悪御所の首を掲げ播磨に凱旋するまでよ!」

「早よう、悪御所に槍を突き立てるのじゃ!!」


 侍の後ろから、赤松御一党の声が聞こえる。が、その声は動揺しており、動揺が囲む者たちに伝わっていく。さあ、時間をかけて動揺を広げよう。


「妻や子、母に会いたくないのか」

「このままでは、京でさらし首だな。生きて故郷に帰るなら、今が逃げ時ぞ!!」


 部屋の中で大きく笛を吹き、その音に反応するように屋敷の外から笛の音が次々と鳴り響く。そして、動揺が限界を超えると……


「ま、まてまて、逃げるな!!」

「き、切り捨てるぞ! ええいぃ、不甲斐なき者どもよ!!」


 槍を捨て囲みから逃げ始める兵士に切りかかるも、かえって突き飛ばされ、足蹴にされる侍と赤松一党。取り落とされた槍を手に構える。弓を放つ者もいるが、その矢の力は畳みを撃ち抜くほどではなかった。


「大樹、間に合いそうです」

「気を抜くな、それ!! 逆賊赤松満祐の首を取れ!!」

「「「「「応!!」」」」」


 こちらの掛け声に、最後まで残っていた供侍どもまでが腰が引け立ち去ろうとしている。残されたのは仕掛けた側の家の者どもだけだ。




「大樹! ご無事でございまするか!!」


 やがて屈強な番衆と兵を引き連れた斎藤教利が、血のりのついた太刀を片手に現れた。打ち刀ではないので、最初から抜いた状態で持ち歩くのがデフォなんだろうな。咄嗟に太刀は抜けないからね。

長いから。


「赤松一党は如何した」

「屋敷から出て来るものは全て捕縛しておりまする。武器を捨てぬ者は切り殺しております」


 さすが血の気の多い斎藤妙椿だな。それでいいよ。播州人相手に手加減したらこっちが危ない。


「赤松満祐に、義雅、息子の教康、それと赤松則繁は如何に!」

「満祐と義雅は捕縛しておりまするが、当主教康、それと後見人赤松則繁は今だ捜索中でござりまする」


 これは、ワザとだ。赤松の領国に接収の為の軍を派遣するが、その名目は赤松の当主を探す為という理由になる。関東で簗田や一色の一族に行ったことを赤松の領国で行うまでなのだ。


 さて、ちょっと気を抜いたら体のしびれを思い出し、俺と共に切り結んだ近習どもはそれぞれ膝をついている。そして、その中で、山名持豊と細川持之は平然としているのを確認した。


 最初から口を付けぬか、毒消しの類でも事前に入手し予め飲んでいたのだろう。もっちーは歴史上でも無傷で逃げ出して御所に駆け込んで「朝敵」認定しろって騒いで「それどころじゃねぇ。将軍の跡継ぎ決めろ!」と言われてその間に赤松が播磨に逃げたりしているしな……残念な男だ。演技なら

アカデミー賞ものだ。


 山名も無傷で脱出しているのは、打ち合わせ済みか用意周到か。その後、美作と備中を手に入れているのはどこかで手のひら返ししたんだろうと俺は思っている。





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― 新着の感想 ―
[気になる点] 第1話では伊勢新九郎を手元に置いて、とありますが、、、 何処行った?
[一言] もっちー凄え! 最近昼行灯が蔑称じゃなくなってる件
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