表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『関東平定』 永享八年(1436)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/120

第九十三話 あの人に会える:鎌倉公方断罪

第九十三話 あの人に会える:鎌倉公方断罪


 さて、それから一月ほどたった師走の声も聞こえる頃、ようやく簗田一族を鎌倉に連れてくることが出来た。ついでに、結城や佐竹に小田、宇都宮に那須らも同行していた。沢山だね。


「京扶持衆と、国人は席を分けるように。京扶持衆は上手だ」

「……承知いたしました」


 守護とかどうでもいいから。これから先は守護じゃなくなるもの多数だからね。俺は、鎌倉公方に付いた国人や守護を補任しないことにする。これから、発表します☆


「この度の、朝敵足利持氏討伐の完了と、今後の鎌倉・関東のあり様について大樹から皆に説明がござりまする」


 ということで、俺は簡単に「鎌倉府の廃止と鎮守府の設置」「鎌倉公方の廃止と将軍の子弟による鎮守府将軍の派遣」「関東管領以外の守護就任の補任を今後一切行わないこと」を宣言する。


 お、ざわめいているぞ。守護に補任されないと、半済もそうだが守護国内の警察権が担保されないので、調停役が不在となる。


 刈田狼藉の決断権と使節遵行権だな。そもそも、幕府の尊重をしないんだから、幕府の判定を執行する権利もいらないよね? 都合がいいときだけ、権利行使すんじゃねぇよ。これからは、ワイルドな時代がやってくるわけです。


「そ、そのような無体な」

「ん、持氏を担ぎあげて、幕府に逆らっていたのはどこの誰なんだ?関東管領や京扶持衆を攻撃したのは何故だ。説明しろ」


 皆さん、黙っていたのでは話になりませんよ。


「そもそも、関東の仕置きは関東管領が将軍の部下として行うもので、鎌倉公方は将軍の代わりではなく、象徴に過ぎぬ。それを、あたかも『室町殿』『鎌倉殿』等と並べ立ておって。

 征夷大将軍は、帝から日ノ本の政を委ねられておる正式な官職だ。そも、臣源義教は従一位左大臣である。そなたの主であると思い違いをしておった足利の庶流の末裔は、何者であるのか理解できぬのか諸将らは」


 全員沈黙……耳鳴りがするほど静かである。


 因みに、持氏は従三位左兵衛督であり、斯波君と同じくらいの官位だ。つまり、管領の有力者程度だ。


「さて、そのような者に付き従うのであるから、好きに独立すればよい。官位も守護職も自称せよ。今後は補任はせぬ。黄泉におられる鎌倉殿にお頼もうすればよかろう。祈るだけなら只であるから、そなたらも余計なかかりが無くて嬉しかろう」


 官位をもらう場合、無料とはいかないので、それなりの出費が掛かるのであるから、自称すれば只じゃん。


「それは、余りにも一方的ではござりませぬか。今までの忠勤……」

「鎌倉殿にお頼もうせ。室町殿は関東の諸将の事は知らぬ。これからは、異国の者として扱う故、鎌倉鎮守府に『関東奉行』と申す取次役を設ける故に、その者と面談し、京に頼みごとがあれば申し出よ」

「「「「……」」」」


 冗談じゃないからね。揉めてる奴らは関東の東側だから、好きに殺し合えばいいんじゃね。西側の相模・武蔵・上野だけで十分に経済圏として成立する。貿易すればいいんだよ。


「今後はそのつもりで。異議あらば、諸将の得意の挙兵でもするが良い。攻めてくれば相手をしよう。また、鎌倉公方とその関係者を匿えば、同じように朝敵として征夷の対象とする。相まみえるのは戦場となろうな」

「「「「……」」」」


 これで、関東の東で独立しても特に問題は無い。宇都宮・那須はこちらの側なので、上野から下野を通って奥州へは連絡できる。




 そこに、野生の持氏が現れた。一月ほど土牢に押し込められ、頬はこけ身綺麗にさせたものの、恐らく関東諸将には別人のように目に映ることであろう。


 俺は、諸将の前で、足利持氏を責めねばならない。


「貴様は、日ノ本を騒がせた賊の首魁として京に連れて帰り、斬首と処す。阿弖流為の故事に倣って族滅してくれるから、喜べ。これで、夷の英雄として語り継がれよう」


 まさかの処刑、それも赤子まで。目を見開き驚きと共に、憎しみの炎が灯る。いや、縄付きだから、暴れても怖くないから。


「なっ……養老令では!」

「異民族には適用されぬ。貴様は人の言葉も理解できぬ人ならぬ者であろう。何度愚かな行いを許してやったと思っておる。貴様の様な愚物が公方などと名乗るのは片腹痛い。戯けが!」


 多分、持氏は怒られたことが無いんだろう。俺の方が圧倒的に上の立場だし、年も上だ。


「ガキの頃から公方様などとおだてられ、大人に利用され、苦楽を共にした憲実の心も知らず……愚か者は、耳に心地よい話しか聞かぬ。故に、自らの道を誤る。この度の事、持氏の首を持って許す事とするが、将軍の目が関東に届かぬなどと、ゆめゆめ思わぬことだ」

「「「「恐れ入りましてござりまする……」」」」


 足利持氏が「え、俺死んじゃうの?」みたいな顔をしている。ここまでやらかして死なないと思えること自体が目出度い。四回ぐらい処刑されてもおかしくない。


「お前が勅使に手を掛けた時点で、自分の首を差し出していれば、妻と娘の命は助けてやれたものを……申し開きせず、息子は将軍ごっこの元服をさせ、関東管領を攻めるような姿勢では族滅しかないであろう」

「……族滅……」

「そなたの叔父たちも同じ処分となる。皆揃って親族をあの世に送ってやる故、そこで天下を目指すが良い。次は上手くやれると良いな」


 ナイスジョーク! あれ? 俺の会心の冗談が通じなかったみたいで、関東の皆さんはお通夜の様になってしまいました。これにて、一件落着☆




これにて第九幕終了です。次幕は『永享の乱』となります。気になる方はブックマークをお願いします。


「更新がんばれ!」「続きも読む!」と思ってくださったら、下記にある広告下の【☆☆☆☆☆⇒★★★★★】で評価していただけますと、執筆の励みになります。


よろしくお願いいたします!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

参加中!ぽちっとお願いします
小説家になろう 勝手にランキング

― 新着の感想 ―
[良い点] 泉下で天下目指すの良いっすね
[良い点] 関東仕置きも終わってスッキリ。 持氏くんのざまぁも見れて、面白かったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ