第七十二話 不破飯簾屠茶屋:守護大名と将軍
第七十二話 不破飯簾屠茶屋:守護大名と将軍
昨年中は大変お世話になりました。今年はなお一層、激しく行こうかと思っております。
勘合貿易の再開に向けての案件が今年浮上してくることになる。それと並行して、九州に関しては一層揉め事が大きくなる。それを治めつつ畿内の直轄領の整備と直轄軍の整備が優先になるだろうか。
叡山に関しては未だ燻ぶっている状態であり、完全にへし折るには何度か相手に仕掛けさせる必要があるだろう。今年中にまた何かやらかしてくれると有難い。六角はその後になるだろうが、その前に関東が火を噴く事になる。
とはいえ、昨年の後半はバタバタと宿老が他界した。九月 畠山満家 十二月斯波義淳が亡くなり、また治天の君であった後小松帝も十月に逝去されている。一つの時代の終わりは、一つの時代の始まりを意味する。
畠山さんの家は満家嫡男の畠山持国が継いでいるが、こいつが義就の父親であること以外何の能力もない男である。歴史的には嘉吉元年に弟の左馬之助持永に家督を継がせて処分しているのだが……応仁の乱を大きくする元凶の一つとなっている。
なので、特に俺は介入するつもりもなく、ポンコツなら理由を付けて処分を重ねる事にしようと思っている。まあ、管領とか名前と兵力だけ供出してくれれば、あとはこっちでやるから優秀じゃない方がやりやすいだろう。あと、河内半国は取上げるつもりだから、なおよろし。
この時代の守護大名は複数の国を抱えている。本当の意味で「大名」なのである。山名とか赤松がな。
で、これの問題は色々ある。
例えば、後継者争いはその家の統治の問題なので論外として、守護とそれに従わない有力国人の存在があるとする。『信濃』がそうだな。
大きな国で尚且つ山で区切られていることもあり、木曽谷やら諏訪やら別れてそれぞれの勢力が存在するが、守護は小笠原なんだな。これに北信の村上が従わず、小競り合いが発生している。
小笠原に後継者争いが発生したり、村上氏の背後に鎌倉公方持氏がついたりでこの後揉めるわけだが、揉める原因を排除してしまえばいい。統治の基本は「分断」だな。つまり、信濃の守護を分ける。中信南信は小笠原、北信は村上が務めるとすればいい。
勢力争い? すればいいと思うよ。良い政をすれば、そっちに豪族や国人が加わりたいと思えば幕府に願い出ればいい。守護の担当を変えてやろう。つまり、市場原理を守護の担当に導入するんだよ。
これ、山名とか赤松を解体した後、それぞれ半国守護とかにしてしまう。自然に管理された「戦国」となるだろう。
さて、歴史上の戦国との違い。それは、幕府の裁定能力が存在するか否かによる。応仁の乱も発生せず、また幕府の権威・朝廷の権威も健在であったとして、分断され小さくなった守護達が逆らえるだろうか。
その答えは「否」だ。徳川幕府は、『藩』という大きさに本州中央部を細かく分断して、交通の要衝であるとか資源の産地を「天領」という幕府の直轄地にしたな。
これは追々この世界の俺たちも真似ていくつもりだが、守護を解体して管理された戦国を緩やかに発生させながら、競争原理を導入し脳筋どもを排除し、領国経営のできる守護に入れ替えていく……ということだな。
理不尽な暴力で他国の経営を踏みにじるような武士らしい武士は……幕府が代表し、天下の静謐を乱す逆賊として討伐するということだ。近隣の諸将を差し向けるとともに、京からは幕府の軍勢も錦の御旗と共に出陣するってわけ。数は番衆一組に将軍の陣代に親族を入れればいいんじゃねぇの。軍監に侍所別当でもつけてやろう。
ということで、九州はともかく、関東から西の本州において、守護半国化運動が活発になる。チャンスは平等にね☆ やらせてみなきゃわからないじゃない?
なので、その取り纏めとして「中国管領」とか「東海管領」とか新しくポストを設けるかもしれない。これも、調整能力の高い守護を当て、実力主義で行こうかと思う。家柄? そんな物朝廷への献金で官位を貰えば何とでもなる。伊達政宗の母親の義姫が「奥州管領の家柄」と誇っていたが、奥州管領は別に伊達家だけじゃなかったんじゃね?
そもそも、足利幕府の分家が担っていたのが途中で途切れて、現地の有力守護辺りに振ったのが始まりだろ。そんな感じで、奥州は割と良いロールモデルである気がする。小競り合いは多かったけど平和だったじゃん割とさ。摺上原の戦いが目立つくらい戦らしい戦がないんだから。
政治と治水は似ているというね。流を細かくして制御可能にする。まとめるな危険と言ったところだな。
故に、「蓮如」「山名宗全」「赤松満祐」は危険だよね。
室町幕府、精々百万石しかないんだからさ。色々無理なんだよ。江戸が八百万石だぞ。そりゃ、統治できるわけがない。
そういえば、蓮如は既にこの世界には存在しないんだったな。
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