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『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『山門騒動』 永享五年(1433)

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第六十七話 遠い山辺:大和南部の平定

第六十七話 遠い山辺:大和南部の平定


 『箸尾』が抗戦せずに全面降伏したことで、錦の御旗効果が検証でき、親征軍の士気が上がっている。そりゃ、楽勝だと思えば気合も入る。


「流石でございますな上様」

「左様。この勢いで、越智、秋山、沢の奴バラも討伐いたしましょう!!」


 と、気軽に言ってくれる。今回、『箸尾』に関しては、大和守護を設置した際に、大和の国で軍を編成した際の『先鋒』を常に申し付ける事とした。血の税金でこの代償を払わせるという意味でもある。


 先鋒を常に任される『井伊』みたいな存在になるかもしれない。まあほら、喧嘩大好きだから良いよね。





 さて、『越智』の支配する盆地の南部は東に伊勢街道、西に和歌の浦に抜ける街道がある交通の要衝。また、南には熊野・金剛峯寺を擁し、根来寺や楠木正成の籠った千早城・上赤坂城もほど近い場所に存在する。


 どう考えても、南朝方に付くしかない場所に存在する国人だろう。


 と考えると、越智氏をそのままにしておくのはとても良くないだろう。越智氏の問題だけでなく、従う郷村に関しても幕府に対する反抗心というものが根強く存在する。やっぱり、「人ごと世界を変える」しかないのではありませんか。


 人の気持ちを変えられないのなら、その人そのものを変えてしまえばいい。入替制です。


 土地が豊かなので、この地域自体を荒廃させるのは良くないだろう。少なくとも、紀伊と大和の中心を結んでいる場所で、商業集積地である八木や古市などに通じている。伊勢街道はしばらく封鎖されるだろうけどな。


 数日後、帰順した『箸尾』の軍勢を先頭に、一色・赤松・山名と俺の直轄軍一万五千が越智城に向け進軍を開始する。また、細川五千は兵を二つに分け沢と秋山の城周辺を封鎖するために宇陀郡内に侵入する。とりあえず、宇陀郡内は全ての村を滅ぼすように指示を出す。


――― 朝敵は皆殺し!! キャンペーンが始まります。


 民は捕らえられるものは捕らえ、京で競売にかけるので特に問題は無い。七歳以下は孤児扱いで寺に入れる事も考える。家族? 基本はバラ売りだな。安寿と厨子王の世界。


 え、だって家族が一緒ならまとめて逃げ出しそうじゃない? というか、家族揃っていたらただの「引っ越し」だから。罰にならないじゃないですか。




 越智城(貝吹山城)のとその南奥に存在する『高取城』に戦力が集まっているというのが現在の状況。というより、それ以外の砦などに兵を送り込めるほど人が集まっておらず、居城とその詰めの城に人を入れるのが精いっぱいのようなのだ。流石『朝敵』認定だな。でも、集団移住はさせるがな。


「いかがなさいますか上様」

「左京太夫は如何に」


 たまには赤犬の意見でも聞いてみようかと思う。


「然らば、ここは降伏をまずは説かれてはどうでしょうか」

「……それはそうだが、只死者を出しても仕方あるまい」


 そりゃ、降伏させなきゃ無駄に経費が掛かるじゃない。まあ、足軽が死んでも雇えばいいという考えもあるが、採用が難しくなるから、早々簡単には捨て殺しにはできない。


 俺は、末席に控える斎藤『妙椿』教利に話を振る。


「されば、管領殿が攻める宇陀郡の二氏の討滅を優先させては如何でしょうか。兵が多い分、早く事が済むでしょう。その上で、上様の直轄軍で包囲を維持し、宇陀郡の討滅を完了させたのちに、再度、重包囲の上、無条件降伏を要求しまする」


 流石『妙椿』、考え方がエグイな。


「であるか。諸将はどうだろう」

「はっ、無条件の降伏を要求する為の準備としては十分でございましょう」

「引き連れてきた兵士の士気も上がるというモノでございまする」


 まあそうなんだろうな。ヒャッハーしたくてついてきてるもんなお前らの兵。俺の部隊にはそんな汚れ仕事兼エンドルフィンが出ちゃうような仕事はさせられない。興奮して強くなるのはバーサーカーだからな。泣いてから強くなる子供みたいでカッコ悪いよな。





 数日後、宇陀郡の掃討戦を終えた全軍が越智氏の籠る二城に総攻撃をかけた。当然、先鋒は……赤犬と山犬の軍だ。俺の手駒や管領たちの兵士を減らすのはもったいない。


 それに、恩賞は既に先払いしたぞ? 宇陀郡の領民はあいつらが好きに処分していいと伝えたからな。つまり、恨みを買うのは赤犬と山犬という事だな。


 え、俺は「朝敵」の討伐を命じただけ。いやー まさか人攫いまでするとは思ってなかったよー




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