第五十一話 四十九の頃:俺の未来予想図
第五十一話 四十九の頃:俺の未来予想図
ハーレム展開きたぁ!!! いや、別にほら、征夷大将軍だから、エルフとかケモミミ少女とか奴隷少女とか登場しないよ。あと、ロリバンパイアとかね。
実は、俺の家には……既に十人以上の側室がいます。大変です。
今のところ、烏丸資任の娘の彩さんとか、土岐頼忠の娘がいる。名前は……今参局……お今じゃねぇか!! あの、三魔と言われた、烏丸・お今・有馬のお今かと思ったがそうじゃない。
将軍の女房というのは、帝のそれに似せているわけで、与えられた部屋の名を名乗るんだな。義政の乳母の「お今」は大舘氏の娘なので別人なんだよ。
女房もその出自により階級があり、上臈・中臈・下臈と別れている。上臈は公家もしくは高い官位を持つ守護などの娘、中臈は幕臣や近習の子女、下臈はそれ以外の者となる。下臈はほとんどいないし、子も産まさせない。だって、子供の後ろ盾にならないからね。
呼び方は、名前に局を付ける……例えば『御重子御局』もしくは『重子局』である。なんかよびにくいから、重子は一条局と呼ばれるかな。これは、上臈で一番目の女房の名前だな。一条二条三条と続き、冷泉・春日・堀川となる。まだあるんだけどね。
春日局は上臈って事だね。確か、三条西家の猶子になり帝に従三位の位を賜わったんだよな家光の乳母殿は。
いやー 大変だわー。正室とその妹は出産も終えて少しお休み中だが、その他の女房が沢山いるわけで、どこに「お渡り」になるかで……まあ管理している人に任せています。一発必中だよ☆
去年・一昨年と側室に女児が生まれたけど、去年の子は母子ともに……残念な結果になったしね。でも、皆産む気満々なので、俺も頑張るよ。
「上様」
「なんだ、また餅を所望か」
「……餅ではござりませぬ。尹子が常に餅の事ばかり考えているとお考えなのですか?」
うん、そう考えているけど、間違いないよね。どうやら、尹子は子供が産めない事を気に病んでいるらしく、最近そのことで気が晴れないのだという。あのな、十二歳とかで産むと、危険だと思うぞ。それに、おれはロリじゃねぇ。
「子を産むのは少々早い」
「……」
少々胸も足らないしな。背は足りてきた……いやこの時代の女性はかなり小柄だから、もう一二年先の方がいいだろうな。
「十五までは無理だと思うぞ」
「はぁ。随分と先の事でございますね」
おう、宗子さんなんてその時二十五歳だぞ。日野富子が子供を生んだのが二十五歳だからまだまだ大丈夫。最初の子供が女の子で、生まれてすぐしんでるんだよな。だから、まあ、焦るのは良くないと思うぞ。
日野富子が嫁いだのが十五歳で、義政はマザコン爆発状態だったので、愛想をつかしていたようだけどな。お前がおばさんになるんだよ!! と、年増になったら子ができましたとさ。
さて、そろそろ色んな事が整ってきているのだが、一つ一つ解決して行かなければならない。
そういえば、歴史的に俺が死んだ後、何が起こったか軽く確認しておこうか。
まず、管領細川持之……もっちーが動き回るが、俺の仇なんて全然討つ気なし。他の奴らは斬り死にしたり、大怪我負ってその後死んだりするんだが。やっぱ、裏で知ってたのかお前。
とりま、嫡子義勝を翌々日に参内して将軍に据えてだな、赤松を討伐しようって声かけても集まらず、俺の葬式にはもっちー以外集まらずだったらしい。どんだけ人望ないんだ、俺ともっちー。
討伐綸旨が出ないから、人も集まらず、一ケ月も放置されたらしい。
その間、山犬が何をしていたか。自分のために仕事してたよ。
山名は赤松攻めの軍費と称して京中の土倉を略奪して回り、激怒したもっちーに侍所頭人を解任されている。それでも勝てば官軍で、山犬は播磨・備前・美作の守護職を得た。
――― こりゃ絶対阻止だわー やらせはせん! やらせはせんぞぉ!!
因みに、上杉憲実・千葉胤直・小山持政・小笠原政康・武田信重ら関東諸将は、事態に困惑する他なかった。ごめんね、はしごが外れちゃって。
まあ、一休宗純に唆されたわけではないが、自分の死んだ後の始末のつけ方ぐらい事前に決めておくもんだよ本当の秀才ならな。義教も信長も殺されているからそうじゃないと言えるだろうが、それはリスクマネージメント的に駄目だよな。本来、社長と副社長を同じ飛行機に乗せない、同じ場所に極力いさせないのが当たり前なんだが。
信忠の件は、光秀とその背後にいる皆さんが上手く誘導したんだろうな。
信長は本来、自分が死んでも信忠が既に織田家の家督を相続して濃尾の武将たちを配下につけているのだから安泰だと思っていたはずだからな。
あと、秀吉は……家康を殺しておくべきだったな。朝鮮出兵に強制参加させて、明の軍勢に殺させるべきだった。それで、家康の死をきっかけに撤兵すればよかったんだよ。ボケてたな秀吉。




