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『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『還俗将軍』 永享三年(1431)

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第三十九話 やさしさにさよなら:後継者と鎮守府将軍

第三十九話 やさしさにさようなら:後継者と鎮守府将軍


 今年は大人しくしているのだが、来年は色々ありそうである。先ずは、足利持氏が和解の使者を春先に送り込んでくる。その対応を考える必要があるのだが……まあ、そこは上手くやる。


 和解というのは双方に瑕疵や問題があって、「お互い妥協しよう」という中で落としどころを考えるべき場合を示す言葉であって、遠い親戚が「俺が本家の跡取りな」って言いがかり付けてきた問題に関しては、お前が謝罪するだけだろと思うのだが、DQNの「自分が悪い時はお互い様を主張する」という謎理論を展開しているのだと思うので、使者には論陣を張って火達磨にしようかと思う。


――― お前だけがどう考えても問題だろ、すり替えてんじゃねぇ!


 出来る限り全ツッパで強硬に反論し、赤松君や山名君、阿保の一色と畠山の愚息どもにも「口先で誤魔化せると思うなよ駄犬ども」と知らしめる良い機会だと思う。


 あー 早く「よろしい、ならば戦争だ」といいてぇ。


 花園君とは『錦の御旗』を作る話で盛り上がっているんだよ。あれ、かなりの大きさのものなので、錦が集まらないんだよね。いま、鋭意創作中。


 幕末、内緒で長州が作った時、二流で三百両……現代価値だと三千万くらいしたと言われています。まあ、金額の問題はともかく、錦が手に入らない。朝敵認定サクッとしてもらって、持氏に赤松に、山名に、大友と少弐も討伐してやりたいところだ。隅々まで効く、朝敵にバル〇ンならぬ錦の御旗だな。





 さて、朝敵を作り出し合理的に反抗的な守護大名を討伐するということの前に、足利を中心とする幕藩体制を整備しないと秩序が回復できないと思うんだよね。跡継ぎ問題で、常に自他共に秩序を乱している我らの足利幕府だ。


 一つは、守護がでかすぎるんだよな。百万石は当たり前にあるからな……一円支配で被官化できていないとはいえ、動員力はあるわけだからね。江戸時代の尾張藩あたりで五十万石くらいだよね。普通は二三十万石でも大きな藩だし、その間に天領や譜代の小藩が数万石で要衝を抑えている形の分権体制だったじゃない?


 守護の被官にならない豪族? 大きな国人をそのまま「半国の守護」とかにバンバン任じたらどうなるだろうね。面白い。





 さて、将軍家からまずは考えよう。


 平安初期、奥州が蝦夷の地であった頃、按察使が置かれ陸奥守を務める傍ら、蝦夷の反乱が起こった場合、『鎮守将軍』『鎮守府将軍』となり討伐を行っていた。やがてその役割は征夷大将軍が置かれるとその中に纏められていく。


 つまり、征夷大将軍の下位互換が鎮守府将軍なのだ。


 鎌倉公方なんて名乗るからおかしいのであって、官位は左馬頭を十年ほど務めると左兵衛督に任ぜられ従四位くらいが適当なんだ。つまり、管領の斯波さん家と同じ扱いなんだよ。なんで、将軍になれると思うの?足利姓だからなんだろうか。


 さて、鎌倉公方を廃止して、今後は「鎌倉鎮守府」「鎮守府将軍」を置く事を検討中。英国のプリンスオブウェールズを見習ってね。そういう関係だと思うの、関東の武士と俺たちって。


 次期征夷大将軍である嫡男は元服後、鎌倉の「鎮守府」に赴いて、三年程度「鎮守府将軍」として政務を執り行い、関東の諸将を差配する。その上で……ここが味噌です。


 鎌倉公方に反抗する奴らって多分、逆張りロックなんだと思うんだよね。だから、討伐はしないが冷遇する。それで反乱でも起こせばいいね。鎮守府将軍が京に戻す際、関東の官位に関しては鎮守府将軍が補任するという仕組みに変える。


 武家官位というのがあるが、それに近い関係かも知れない。


 本来、武家の官位は幕府で取りまとめ、征夷大将軍が朝廷にお伺いをたてて……まあ、口利き手数料を払って受け取る仕組みだな。これが報奨なら幕府が手出しをするし、自己都合なら諸将の自腹になる。


 関東に関わる官位、上野介とか武蔵守とかだね。これは、鎮守府将軍在任中の貢献度を勘案して次期将軍が補任する権利を朝廷からもらうことにする。まあ、権利の前払いをすればOKしてもらえるでしょう。


 貢献度の高い一族の長老とかにあげると良いね。死んだら回収だから、若いうちに任じちゃうとご褒美の回転が落ちるから。紫綬褒章みたいなもんだな。あと、ノーベル賞ね。


 ということで、次期将軍は関東に顔つなぎができ、恩を施せ、京にいながら関東の諸将に対して影響力を振るえるようになる……と思うんだよ。





 関東で問題が発生した場合、「征東大将軍」これは、尊氏も征夷大将軍に任ぜられる前に……押し付けられた官位ね。だって、武家の棟梁=征夷大将軍になると困るって後醍醐君が言うからさ。まあ、これも征夷>征東>鎮守という関係なんだが、別に重複して存在しても構わんでしょ。公方の代理の大将軍ね。鎌倉にしばらく入ってもらい、関東を安定させてもらう。


 将軍の兄弟か、次男以下の適当な人材を当てる。官位は残るだろうが、官職は任期が終わればなくなるから、権大納言とかになって京に呼び戻す事になるのかもね。土着はさせん。現地嫁を取るのは構わない。


 なので、御三家御三卿のような家系を畿内に設けるようにするつもりだ。御三家も御三卿から養子を入れて繋いだり、その逆もあるじゃない?将軍の息子がその家に養子で入って跡を継ぐって体制を作っていこうかと思うわけ。


 この時代、家より個人が優先だからそれが成り立たない面もある。跡取りが一人、それがいなくなっても然るべき上位の家から世継ぎをもうしうければ家が続くとなれば、臣下は保守的になる。良い感じで折衷できると良いと考えているんだが……まあ、フラッシュアイディアだ。またの名を思い付きとも言う。



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