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『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『大和守護』 永享二年(1430)

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第三十二話 君たちを忘れない:大舘入道満信

第三十二話 君たちを忘れない:大舘入道満信


 実は正月にちょっとしたイザコザというか、今年を象徴するようなことがあったのを思い出した。


 大舘おおだち入道満信という老臣に隠居してもらったのだ。年寄りをいたわるというのはとても気持ちがいいものだ。


 大舘氏は番衆の中で五番組組頭を歴任する奉行衆の中でも大きな存在なのだが、如何せん義持兄の合議制の先入観が多すぎて、俺の判断に対して一々先代を引き合いに出して諫言とも思えない意見をする。


 そういえば、満済さんの代わりに、青蓮院に連絡に来てくれたこともあったから、その辺りの申し次役なのかもしれないが、自分の意見を言い過ぎるのはどうかと思うよ。


 俺が兄貴の息子ほどの年齢ならともかく、三十五なのだよ。それにだ、将軍宣下お預けの一年間の準備期間もあり、少なくとも京周辺に関しての事に関してはそれなりに優先順位を付けて対応しているのだ。


 それを「先代に置かれましては」と何だかんだと煩いので、「なら、先代が逝去したのだからお前も後を追え」と言ったのが気に入らないらしい。新しい酒は新しい革袋に……ということなのだろうな。


 正月の的初めの儀の際も、俺が奴の息子の持信に「矢を取れ」と命じたのが気に入らなかったのか、また訳の分からない遠回しな嫌味を言い始めたので「今までの務めご苦労であった。この後出仕すること能わず」と申し付け、正月から晴々しい気持ちになった。


 嫡男の大舘持房に後を譲ったのだが、惣領は自分のままにしているので、何かの機会にお気に入りの次男持信に跡を継がせる気らしい。先代様はそのように勝手に跡継ぎを変える事を進めていたのかねと言いたい。


 まあ、親子揃って重代の家臣という存在以上ではないので大したことは期待していないが、余計なことを言って将軍の権威を貶めるようなことを繰り返すなら容赦はしない。


 因みに、持房君は嘉吉の乱で俺が死んだ後、弟に所領を分け与えられたり、幕臣によくあるパターンで娘をヒキニート次男の側室に出して娘が生まれた後、外戚として調子に乗る程度の男なので、使い潰してもいい気がする。


 大館氏の子弟は大概『御供衆』という、将軍が外征する際の供回りを担う身分をもつ。所謂馬廻のような存在だ。なので、俺の鼻先をちょろちょろするが、あまり物の役には立たないんだろうと思う。義昭の頃も、周りに多分いたんだろうが何をしていたのやら。


 室町幕府の故実家として活動している者たちもいるので、そういうお役人仕事をお願いすることになるのだろう。「先の公方様」で十分に役に立つ仕事だな。





 なんでこんな話をしているかというとだな……斯波義淳から再び辞めたいという『上表』=この時代の進退伺が出されています。え、もう辞めたいってさ。いや、もっちーと俺で頑張るつもりなんだけど、お前半年で辞めていったい何がやりたいわけ? 三管領で持ち回りでさ、畠山満家は二期目で八年もやっていたし、高齢だからってので辞めるのは理解できるが、お前、俺より年下で前の時は爺さん任せだったロ? あれだ、怠け癖ついてるんだろ!!


 と思っているのだが、メンタル弱いんだろうなこいつ。確か、永享五年に満家・義淳・小松君が亡くなるはずなんだが、こいつだけ一世代若いんだよな。まあ、今でも死にそうなんだけどな。


「……次の細川持之が家内を纏め上げるまで務めよ」

「……は、はい……」


 そういう理由でお前が消去法で選ばれてるんだから、いやなら家督ごと別の奴に譲ればいいだろと俺は思う。仕事はしたくないが、家督は譲らないというのはおかしくないか。


 この男も含めて、あの爺さんの庇護下、乳母日傘で育ったこいつと同腹弟は管領の器でも俺の側近の器でもない。斯波家の重臣甲斐氏の娘を母にもつ『瑞鳳』って奴が出家させられているので、こいつを還俗させ跡を継がせるまでがワンセットだ。


 え、元坊主同士気が合うんだよ。爺の影響を受けてないということもある。残念乍ら、若くして落馬で死んじゃうんだが、そうならないように一緒に乗馬の練習をするとしよう。お前がもっちーの次の管領だな。


 そのタイミングで、坊主の側近は坊主ということで斎藤妙椿を還俗させて呼び寄せるようにしよう。年齢的にもちょうどいいはずだ。みんなで広げよう還俗の輪!!





 江戸幕府が落ち着いたのも、世代交代の影響が大きいと思われる。秀吉の天下統一の闘争から関ヶ原までが十年、大坂の陣まで十五年、その間に戦を経験した者たちがドンドンいなくなり、やり方が分からなくなり年寄りの足軽や隠居した武将を戦場に連れて行ったという話も少なくない。


 火縄銃の装備率が跳ね上がっているのも、槍働きができない世代が増えていたからかもしれんね。真田信繁が、出撃を渋ったというのもその辺り、戦談義は出来ても、実際に戦ができない者が増えていたからなのではないかと思ったりもする。籠城戦なら、配置も号令も掛けやすいし、逃げ出すことも出来ないからな。野戦でそうは行かない。


 道明寺口とかで押せ押せで収拾付かなくなって壊滅した隊も双方にかなりいたしな。戦場の駆け引きができるレベルじゃなかったんだろうね。え、俺? そういうの征夷大将軍は出来る部下に任せるべきなんです。


 畠山義就とか斎藤妙椿とかに任せておけばOK!!




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