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『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『将軍宣下』 正長二年/永享元年(1429)
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第二十七話 信じるところへ:永享元年末

第二十七話 信じるところへ:永享元年末


 今は内政の時。何故なら、西では少弐・大友が、東では持氏が表に裏に抵抗しているので、どこかで本腰を入れて叩き潰さねばならないからだ。大内君はそのうち敗死してしまうし、持氏は挙兵するはずなのだが、いかんせん宿老の代交代や俺の子供が元服するまでは大人しくしておくしかない。


 本来は、十代半ばくらいから頑張れば、嫡子が元服する前から次々使える子供を養子に送り込んだり婚姻させたりで親戚増やして「いや、俺は義理の親父だから口だすの当然でしょ」とばかりに連枝衆と言われる管領たちに干渉することが出来るんだが、今始めたばかりだからそれも難しいのだよ。二十年は遅れているからな。


 何故かみな足利将軍の非嫡子を坊主にするのは、宿老の思惑なんだろうか。うちに送り込むなよって事なのだろうか。男系相続したいって事なのかも知れないな。確かに、徳川幕府だと将軍の庶子なんかが小大名にさせておいて、いくつか領地を変えて最終的に大きな場所を任せるような事は少なくない。会津なんかそうだよね。


 後は、将軍の娘が入って母系で将軍家とつながる近衛家とか松代真田辺りが有名かな。そういうことを考えても面白い。が、先立つ者は娘だな。俺が百まで生きるから、六十くらいまでに体制が整えばお釣りがくるだろう。


 え、この話そんなに続くのかって? それはどうでしょう。




 永享元年の冬も進み、もうすぐお正月。俺は順調に位階を上げている。そのたびお金が出ていくのはそういうデアゴスティーニな仕組みだからだろう。従一位までどれだけがんばりゃいいんだよ!


 将軍宣下の後、更に従三位に昇叙し権大納言に転任。八月右近衛大将兼任。そして十二月従二位に昇叙して、更に正月には右馬寮御監兼務となるらしい……刻んでるなおい。


 嫌じゃないんだよ俺も。帝は好きだし、今の公卿たちも概ね好意的だ。京の治安が良くなって、孤児の面倒を見たり流民に仕事を与えたり、京の周りの国人たちと交流したり、身分的にどうかってのはあるけれど、率先して帝と朝廷を護ろうとしているように思えるらしい。


 特に、パパ園の西岡の話は帝はとてもお気に入りなのだそうだ。


「義教の配る餅が食べてみたい」とか「神嘗祭で供える米を『千歯扱き(せんばこき)』で脱穀したい」とか「施肥をしてみたい」「足踏み揚水器で足踏みしたい」と話をされてるようである。まあ、御年十歳だからね……退屈なんだろうな宮中の生活。


 義教君も、俺の記憶ではないが青蓮院にぶち込まれたのが十歳の頃らしいので、気持ちは分かる。毛坊主の気持ちはわからんが。俺って、義持兄の同腹弟なんだぜ。一休、てめぇは完全庶子だ、出家が当然。


 年末年始の恒例、ドクロ一休が京を徘徊します。所司代の関係者や桔梗屋で働く者たちには見かけたら『石もて追え』と通達してあるので、節分の鬼のように石を投げつけられる毛坊主が今年はみられるでしょう。折角治安を回復しているのに、余計なことすんな!! あいつ、播磨あたりでウロチョロしている事もあるみたいだから、そのうち、行き掛けの駄賃にパグ満と共に処分してやろうかと思う。





 年末は桔梗屋で働いた者たちにも餅を配っている。米は西岡衆が出してくれた。ついでに、餅つきも手伝ってくれた。なんだかんだで……桔梗屋が俺ってバレつつあるんだろうか?


「上様もやりますか」

「……いや、遠慮しておこう。へっぴり腰なのはカッコ悪かろう」


 孤児たちも連れてきて、楽し気な催しに保護されていない孤児たちが釣られて現れる。冬前に京に捨てられた子供たちなんだろう。


「おお、そこの子、こっちへ来い。餅をやろう」

「「「……」」」


 追い払われたり、野宿続きでドロドロの子供たちが野良猫のような目でこっちを見ているが……


「餅が欲しければ、手を洗え。誰か、井戸の傍までこの子らを連れて行け。餅が欲しくば手を洗え、良いな」


 子供たちは、桔梗屋の使用人の女の子に声をかけられ、井戸まで歩いて行く。そこで、手を洗い餅を貰いに来るわけだ。まあ、そういうわけで、京の中も段々と片付いてきたというわけです。


 あー この後、我が家でも餅つきしなきゃだし、年末年始の挨拶も受けないといけないからなー まあ、京に将軍がちゃんといるというのは数年ぶりの事なのだから、しばらくは腰を落ち着けておかねばならないだろう。


 来年、再来年にかけ宿老共が入れ替わっていく。規定の事実として行幸路の整備と主要な畿内街道の私的な関の撤廃を勧めることを再度確認する。来年あたりから、着工して行こうかなと思うんだよね。


 ほら、番衆も大和辺りまで露払いがてら出兵したりして……街道の治安の回復とか、下見とかしたいじゃないですか。実際、行軍してみないと問題点は把握できないしね。


 途中の関所は全部実力で破壊。文句がある奴は朝敵として討伐してやろう。パパ園経由で帝には話を通しておきたいものだね。あ、錦の御旗借りれないかな☆




これにて第二幕終了です。次幕は『大和守護』となります。気になる方はブックマークをお願いします。


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― 新着の感想 ―
[一言]  初めまで。  更新、お疲れ様です。  正一位は神位ですから、存命中は宣下されませんよ(笑) 生者の最高位は従一位までです。  順調に子飼いを増やしていますね。 周りが真相に気が付く前に…
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