表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『将軍宣下』 正長二年/永享元年(1429)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/120

第二十六話 そんなことより 幸せになろう:正親町三条尹子

第二十六話 そんなことより 幸せになろう:正親町三条尹子


 いやーそろそろ来るんじゃないかと思っていました正親町三条からの御姫様の話。日野さんだけで将軍家独占するのはズルいよねということと、朝廷との関係を良くしましょうという思惑があるのだろう。


 日野さんは激おこのはずなのだが、「娘二人が正室と側室だからいいよ」というライトな反応。なんか取引してるのかもしれない。そして、ダブル正室体制で行こうということになっている……なんで?


 正親町三条家は日野家よりかなり格上の家である。勿論、室町の幕末の義輝・義昭を産んだ近衛の姫よりは下だけどね。日野さんは平堂上で大納言までしか上がらない家だけど、正親町三条さんの家は三条家庶流で『大臣家』である。五摂家よりは格下だが中の上クラスのお公家様だ。後光厳帝の母方の生家となり、家格が上がったらしい……割と最近ね。


 後光厳帝は小松ちゃんのおじいちゃんなので、子供が生まれれば帝の家と俺んちは母方の親戚になる……ちょっとだけね。今の花園君はかなり、小松君とは遠縁なので……まあ気持ちの問題だね。


「というわけで、重子の側室と、正親町三条の姫様の輿入れを両方お願い致します」

「……承知いたしました叔母上」


 はいと言わざるを得ない。この方は日野栄子さん、兄嫁にして叔母でもある女性だ。最近すこぶる体調が悪いようで、俺がコケルと足利家も日野家も立ち行かなくなるので、少しでも良い条件の家をと考え側室選びに奔走していたらしい。


「くれぐれも、みな仲良くするのですよ」

「はい、もちろんでございます」

「正室も、もう一人の正室も、側室も、嫡子もそうでないお子も……」

「ご安心ください。この義教、子供はいたって好いております」


 まあ確かに、坊主になって二十年、この人と顔を合わせること等ほとんど無かっただろうし、本来、原理主義的な発想の義教からすれば、動物に近い子供は好きでなかったろう。その辺り、疎遠なこの人には先入観がある。


 子供は国の宝です。特に孤児が大事。俺を護ってくれ。


「京で捨てられる子供たちを尼寺で保護させ、二月に一度は顔を見に行って餅など配っておりますから。子供はすきでございます」

「……随分と変わられたのですね……」


 中身は令和のおじさんだからね。この頃の野獣のような武士とは価値観は合わないよな。


「日ノ本を帝からお預かりしている身ですから。全て我が子のようなものです。勿論、我が子と同じようには出来ませんが」

「ええ、その心根だけでも十分です。本当に、お願いしますね」


 まあ、赤松パグ君のせいで突然俺が死んで、幼児が立て続けに将軍になり、甥っ子を担ぎだして幼児の嫡子か、大人の庶流かで延々京で戦争し始めるんだから、その危機感は正解だと思います。俺は死なないけどな。





 いきなり輿入れというわけにもいかず、かといって準備もせずに受け入れるわけにもいかないので、俺の知らないところで双方の家がやり取りをしているらしい。家の空気も微妙です。特に、姉以外の正室がやってきてNo2からNo3に降格になる重子が重たい。


「さて、主様、今日も御勤めをお願いいたします」

「……いや、今日は孕まぬ日であろう」

「そういうことだけではございません。夫婦の会話も大切でございます」


 まあ確かに、最近、斎藤さんちの娘とか、大舘さんちの娘も側仕えでやってきて側室にさせたいんだろうなという空気が屋敷に充満している。重子が傍を離れないのは……そういう理由だな。歴史的には二児の母は確定なのだが、この世界ではどうなるか分からないもんな。


「尹子はいつ頃お目見えになられるのでしょうか」

「さあな。とは言え、帝の周りからの声での話だから粗略にも断るわけにも行かぬしな」

「……それはそうでございますね……姉様には早く次のお子を産んでいただかなければ! 次は男の子でございますね。もちろん、私にも」


 尹子ちゃんは子供産んでいないんだよねー歴史的には。やっぱり、日野さんの思惑もあったんだろうか。宗子は尼寺に娘が早死にしてぶち込まれて、表向きの仕事は正親町三条の姫、跡継ぎの育成は日野さんちと分業していたのだろうか。


 因みに、本家義教君は、十一男二女のお父さんだ。正室二人に側室は十人以上いるのではないでしょうか。三十五からのスパートで立派な者だと思います。


 尹子さんの妹の豊子さんとその侍女も供奉してきているんだけど、その後、侍女の一人は側室にして『上臈局』と名付けて男児を一人もうけている。元服していないようなので、名前は残っていないのだが。


「ささ、参りましょう!」

「……お、おう……」


 規則正しい坊主生活で体は健康なんだけどな。最近ちゃんと、付け焼刃だが、馬に乗ったり刀や弓の扱いも教わってるんだぜ。まあ、人前で見せる事はないが、馬も乗れないと富士山見に行けないだろうし、行幸に供奉するのも帝と同じ『輿』じゃかっこが付かないよね武家の棟梁がさ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

参加中!ぽちっとお願いします
小説家になろう 勝手にランキング

― 新着の感想 ―
[良い点] テンポ良く進むの読みやすいです 主人公の性格もわかりやすくて好きです [一言] 続き楽しみにしてます
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ