表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『将軍宣下』 正長二年/永享元年(1429)
18/120

第十七話 誰れも どんなことも:内政チート

第十七話 誰れも どんなことも:内政チート


 内政チートはない……と言ったがあれは嘘だ。いや、嘘じゃないです。 確かこの時期って、世界的に寒冷化して農作物の出来が悪かった時代じゃなかったかな。そもそも、それが原因で一揆だ下克上だというのが加速したという面もある。


 え、勿論、ヒキニート次男と嫁のせいでもあるよ。そこは否定しない。


 応永年間というのは、室町の京を中心とする政治経済体制の完熟期でもあるが、その社会的な歪みがはっきりした時期でもある。


 応永二十七年、干ばつからの大飢饉で地方は一気に苦しくなった。元々、京一極集中の社会だから、京とそれ以外では全く環境が異なる。守護は京に集まり、税である米などの物資も集まる故に、インフレが起こりやすいのが京の環境だろう。


 そこで、守護同士がお友達クラブで宴会をして自分の領国の運営に関心を持たなかったことが、応仁の乱を経て守護の没落を招くことになるのではないかと思っている。


 それにだ、徳政一揆は鎌倉時代からの伝統だけれど、京で騒ぎを起こせば事なかれ主義の守護や将軍が目先の利益の為に楽な選択をするということまで民衆は見越していたのか、国人たちに唆されていたのか其の両方だろうな。


 なので、清酒を作ったり、椎茸栽培? そういうのはいいので。大体、飢饉で備蓄米も全国的に減っているのに、その米を使う酒なんてのはもってのほかです。裏作の麦でエールでも作ってください。硬水ばかりで飲料に適さない西ヨーロッパの水源の乏しい場所での文化だからね。ワインも含めて。日本は降水量も多いし軟水ばっかなんだから、アルコールがそんなに普及するわけがない。てか、必要ないよね。飲むより食えよ。




 という事で、山城国の周辺で農業の生産性を上げる取り組みをしようかと思うわけです。施肥って、田舎じゃできないんだって知ってた?人が少ないし家畜もいないから、堆肥の材料が不足しているんだってさ。


 大消費地であるこの時代の京なら、江戸幕府の時代の江戸のように堆肥にするために糞尿を回収することも可能だし、馬だってそれなりに扱っているだろうから、馬糞だって集め放題だ。流人を管理して、そう言った仕事を与えるのも一つの考えだ。疫病対策や京の飲料水の水質改善にもなる。


 ついでに、牛車を改造した大八車も京の中なら使えるだろう。それを、川舟で運んで、山城の……西岡衆の郷辺りに施肥による農業をやらせてみるのです。


 収穫が増えれば領地が増えたのと同じ効果があるじゃん。百万石のお墨付きを棒に振った伊達家は江戸時代新田開発しまくって、六十二万石を幕末には百万石を越える石高まで増やしているからね。収穫量が二割増えれば、領地が二割増えたのと同じじゃんね。


 あとは、足踏み式揚水器もあるといいね。大八車も揚水器も江戸初期に普及するけれど、元になったノウハウは室町どころか奈良平安の時代に遡れるんだよね。その辺りも、山城の国で幕府主導で実験する。


 ん、そもそも守護が揃っているんだから、全国展開だって早いだろ?実際、目で見て在京の家来衆経由で領国に伝える事もできるだろうしね。


 つまり、土地争いよりも生産性を上げる方が自分の得になると教えてやればいい。


 



 所謂『得を説く』という奴だ。そもそも、古代の公田が廃れて荘園や土地所有の私有化が進んだのは、奴隷制や共産主義じゃ自分たちのポッケに入る収入に変化が無いのに頑張れないよねって心理から来ているわけでしょ。


 一所懸命の武士なら尚更じゃない。人から奪うんじゃなくって、今ある土地を更に有効利用するとか、そういう事も考えさせるべきじゃないのかね。


 やって見せ、言って聞かせてさせてみて、褒めてやらねぇと動かねえんだろ?なら、将軍家が手本を見せてやろうじゃないか。


 うんこかつぐくらい、お安い御用だ。鍛錬にもなる。


 



 それに、勝手に関所作るのも問題だよな。楽市楽座とかどうでもいい。そもそも、街道って律令制の時代に朝廷で整備したもんだよね。私道じゃないよね。そこに国人が勝手に関所設けて税金とるって……横領だよね。討伐していいかな?


 その課税分、商品の値段に転嫁されて、その商品はたいてい京で買われるわけじゃない。つまり、京の帝や将軍家に課税していることになるわけだ。目の前の商人から金とってるんじゃないってことが、田舎の村で一生過ごす田舎領主には理解できないって事なんだろう。だから……近いところからパトロールに行きます。設置している領主は……討伐対象。


 勿論、追徴課税するよ。京の負担は京の運営をしている幕府のコスト増につながるんだから、幕府が回収しても問題ないよね。不満があるなら、根切にしてあげよう。特に、京周辺が問題。九州とか奥州で関所があっても大して関銭かからないじゃない? 近江とか丹波とか河内とかじゃないかな問題なのは。ちょうど近くていいよね討伐に行くのにさ。


 関銭って確か目的税だったよね。本当にそれがその用途に使われているのかどうかも監査しないとね。だって、最終負担者は京の住人だからさ。当然、納税者としての権利ですわよ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

参加中!ぽちっとお願いします
小説家になろう 勝手にランキング

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ