第十四話 僕の贈りもの:正長二年正月
第十四話 僕の贈りもの:正長二年正月
確かに、髻が結えないとカッコ悪いし、サイドの髪もないと冠を備えるにもカッコ悪いと思われるね。つまり、サイドが残る禿げならセーフという事です。
めでたい事に、新しい年となりました。もうすぐ、播磨で土一揆が発生します。年末のモチ代をケチったのでしょうか。播磨は人の性格(頭に血が上りやすい。三木城の飢え殺しなど)と、京に近いので土一揆の真似をしたくなるのも多少は理解できるかな。
『人国記』にも、性格悪くずる賢いと示されているので、守護の赤松満祐含めて扱いずらい人間が多いのだろうと思われる。歴史的代表人物に黒田官兵衛と大石内蔵助が出て来るくらいだからね……
「お正月くらい、楽しげな顔をなさいませ」
「そうそう、もうすぐ父様になるお方が、そのようなお顔では、正月から福が逃げるというものでございますよ」
おう、正月から姦しいな。女二人でも姦しいってどういう事なんだよお前ら日野姉妹は。姉は安定期なので割と体を動かしている……動かし過ぎな気がする。特に夜。
「運動しないとね。本当なら、薪割りとかしたいんだけど」
いや、いきんだら出ちゃうから。駄目だよ、安静にしていないと。
「姉様の分まで、主様の面倒は重子が見ておりますので、ご安心くださーい」
ムム、なんだ正月から怪しい雲行きだぜ。さて、年賀の挨拶を受けるのも仕事のうちと諦め、見たくもない宿老や管領、あと守護大名の顔を見た後、我が家の嫁たちと気分良く過ごそうと思ったのだが……そうもいかない。
そういえば年の瀬に、北畠満雅が伊勢守護の土岐持頼に討伐され敗死したのは予定通りだったりする。播磨の土一揆も発生しそうだったが正月の間だけ落ち着いているのは餅代の効果だろうか。
因みに、土岐持頼は義持兄を追い落としてあの義満とっつあんお気に入りの義嗣を将軍にしようという計画を立てたらしく、伊勢守護を取上げられたあげく小松君の女官と密通していたのがばれて追放されていたらしい……
今回は満斎さんの根回しで宿老会議で名誉挽回の為に任を与えたということらしい。まあ、罰した本人は死んだし、そろそろ禊も済んだっていう日本人的な対応だね。嫌いじゃないよ、恨みを買うより恩を売る方がいい。だから、義教の御相伴衆に土岐っちは含まれていないんだな。
戦は強いがずる賢さが足らないんだろうね。満祐君との差はその辺だろう。このあと最後まで残る宿老があの禿げパグだもんなー
斎藤道三に国を追われる土岐氏はこの家とは別系統だそうです。伊勢守護の世保家と尾張・美濃守護の西池田家に別れているんだと。世保家が嫡流です。
奉行衆・奉公衆の挨拶もお正月に受けるんだよ。今年からよろしくね!!
因みに、蜷川さんと言えば、一休さんでおなじみの新右衛門さんだけど、服部半蔵の『半蔵』みたいに、当主が代々引き継ぐ名前なのだそうです。実際、蜷川さんの家は伊勢さんの婿さんの家系なので、伊勢さんの部下として奉行職を頑張っています。小夜ちゃんや桔梗屋の弥生さんは知りません。
あ、そういえば、小松君の懐柔策の一環で、一休宗純ともちょっと仲良くするっていうタイムテーブルも存在するんだよね。でも、面倒だなー 正月から骸骨もって「死が近づいているのに何がめでたい」と言っちゃう痛いおじさんだ。
いや、寿命より病気とか戦乱とか飢饉でいきなり死ぬから。正月はめでたいんじゃない? 禅のし過ぎで心が居ついちゃったのかな?フレキシブルじゃないと乱世を楽しめないぞ☆
まあ、坊主は世間知らずですからね、元天台座主の俺が言うんだから間違いありません。一休さんには内政チートとか無理だから。新九郎君や次郎義就君の方が全然優秀です。
「上様、今年から宜しくお願いいたします」
西岡の皆さんもご挨拶に来てくれました。山城の国の桂川の西側の集落を取り仕切る人たちで、三十六家集まると守護クラスの戦力を持つ……と言われているが、大概別々に行動するのであんまり戦力になっていないというのが定説です。番衆の基幹要員で大事なんだけどね。
「将軍宣下が済んだのちに、西岡衆には一つ提案があるのだが、聞いて貰えるだろうか?」
「……如何様なことでございましょう」
「下肥を京で集めて……田の施肥にする計画を立てている。舟を扱える西岡衆の田で収穫を増やしてもらいたいのだ」
「「「「おおお……」」」」
ほらね、みんな自分の得になると思えば話も聞くようになるという物です。その前に、パグから京都所司代の仕事を取上げて、侍所所司も外して播磨の安定に全力を注いでもらおうかな。
「公方様のご期待に沿えるよう、皆で話し合いたいと思います」
「よろしく頼む」
「「「「ははぁー」」」」
公方が直接、声を掛けるって結構ポイント高いんだよね多分。山城の国で少しずつ力を蓄えて行こう。でも、いいんだろうか、足利将軍が地侍と直接会ったりして……
これにて第一幕終了です。次幕は『将軍宣下』となります。気になる方はブックマークをお願いします。
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さて、ここからは本編とは関係ないお話なので、興味の無い方は読み飛ばしていただければと思います。
本作のタイトル『転生したら足利義教でした。『第六天魔王外典』~ そもそも貴方、歴史的にみてチートでハーレムでざまぁでしょ、但しNTRはないはず!』は、如何にも「小説家になろう」のあらすじタイトル風の題名です。
『真第六天魔王伝』などにしようかと考えたのですが、最初にこの題材を選択した時の「この人って……」という感覚をそのままタイトルにつけて見ました。室町将軍の中でも異色の人材ですから。
因みに、『なろうRaWi 小説と人工知能』というサイトのタイトル評価を行ったところ、歴史(文芸)ではA評価なのですが、ハイファンを選択すると……EX 111Ptと評価されていました。
今やるとAランクなんですけどね。何故だろう?
ということで、エッセイ界隈で語られる「アラタイ」って有効なのだと身に染みている今日この頃です。フィッシング詐欺投稿にならないように完結に向けて頑張ります。
それと、「評価・ブクマクレクレ」に関してですが、タイトルと取上げた人物に興味を持っていただけた方が多く、完結まで書いてほしいという感想もいくつかいただいておりました。
ブックマーク180に対して評価50というのは、完結に向けての応援と受け止めております。ブックマと評価の比率は概ね5~10:1だと思いますから、評価が多い理由は作者のモチベーション維持のためのお布施だと思っております。
「100ptの壁」に関しては初日にあっさり通過しておりますので検証できませんでしたが、「日刊五位以内ブースト」は割とはっきりしている気がします。
この後は、「10万文字ブースト」「完結ブースト」を検証できるように努めたいと思います。完結後、この辺りを纏めてエッセイにでも投稿できると良いなと思います。
関係ないお話にお付き合いいただきありがとうございました。




