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『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『百年生涯』
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第百十九話 文正二年/応仁元年(1467):山名と細川

第百十九話 文正二年/応仁元年(1467):山名と細川


 さて、未だしぶとく粘る宗全だが、管領畠山持国を追い落とすために、細川勝元と姻戚関係となっているのは意外と意識されていない。


 文安二年に十六歳で管領を務めるに際し、俺が冷たいからというのもあるが、山名熙貴の娘を養女とし勝元に娶せている。つまり、オリジナルでは大内教弘は勝元と義兄弟であったわけだ。俺は細川に娘をやる気はないし、備中家からいれた俺の息子の子供に細川本家を抑えさせるつもりだから、京兆家とは緊張感ある関係を望んでいる。もう、バチバチのチーバ君です。


 因みに、本来、畠山持国と細川勝元は対立している事もあり、細川の領国和泉と畠山の領国河内で揉めたり、それが大和や信濃での代理戦争となり、応仁の乱の導火線となっていくのだが……


――― オリジナル義教のせいです、はい!


 この世界では、河内は俺の娘婿で半国守護の畠山義就が治めているし、信濃では後継者争いどころか、反守護の村上一党も族滅し問題ない。大和?足利将軍直轄領ですがなにか? という世界なので、細川勝元が小細工しても関係が無い。出来るだけ山名と暴走して膿を出しきってしまいたいというのがあるな。


 応仁の乱のときもそうだが、勝元は表面だって動くことが少ない。というかしない。ある意味、足利義昭的手紙を書いて他人を動かしたり、状況を利用する方が多いと思う。だから、京が焼け野原になるまでダラダラ続いて、全国に燃え広がったんじゃないかと俺は思う。


「表立って動く事も出来ぬ故、山名も細川も困っておりまする」

「であるか」


 そりゃ、俺の子供や孫があちこちで家を継いだり、新設した役職を務めて宿老だ管領だってのは名誉職に近くなっている。京にも半ばいないしな。跡目争いも、序列付けが成立してからは揉める事も少なくなり、揉めた場合も将軍が仲裁案を出すことでそれなりに妥協できるようになっている。


 あれだな、ゼロサムでしか考えられない武装農民の発想から、資本主義的な考え方に切り替わってきているんだろうと思う。自分たちにとって豊富で安価なものが、他の場所では希少で高価であるなんてのは、様々な場所で人が交流するようになって初めてわかる事だからな。


 ネットオークション的何かだね。買占めからのプレミア販売も今は昔となっているが、価値があるものが人によって異なるというのは農民の発想からは生まれてこないからね。流通網の整備と全国各地に小京を育てる計画は効果を発揮しているのだろう。




 争いの種、跡継ぎの問題、飢饉、力こそ正義とでも言わんばかりの国人・地侍の統制も、それを上回る力で抑え込めるものかというとそれは分からない。西部のガンマンではないが、自分の財産を守るために武装しているのがこの時代の武士や農民であり、権利を守るため・行使するために戦をするのは正当な権利だと思っているからな。


 法治国家において、法は犯してはならないものであるという共通の価値観が存在するから……いや、教育によりそう刷り込まれているから法を護るわけじゃない? 中世日本にそれはない。だから、ルールを与え、それが護れない人間たちを罰し、「やらないほうがいいよね」と理解させる必要がある。


 その根源は『帝』と帝に政を委ねられた将軍の権限というものに委ねられる。


 山名も細川もそんなものは持っていないのだ。持っているのは帝と足利将軍だけであり、血縁? 姻戚? そんなものは関係ない。将軍の子供は将軍に血統的になれるかもしれないが、将軍の権限とは一切関係が無い。


 もう、鎌倉公方くらい関係ないし、遠い親戚の細川君ぐらい関係ない。




 既に俺が政を初めて四十年、この時代の人間であれば二世代は変わっている。今の大人の大半は俺の作った世の中しか知らないのだ。


 山名宗全の知っている、赤松満祐や足利持氏がいて、将軍の権威に逆らい力こそパワーといったことが「当然」と思われていた者たちが、今やほぼ死滅しようとしている。


 細川勝元の思う自分の実現したいことは、山名宗全とは全く違うだろうことは容易に想像がつく。細川一族は足利将軍家が没落すると顕在化するが、自分たちは足利家より上の立場だと思っている節がある。確かに、幼児の将軍を操るのが当たり前で、無力なものを傀儡として担ぎあげるから、そう思えるのは当然かもしれない。


 この世界じゃ、俺が最強だからな。細川? お前の子供の代で俺の血統に入れ替わるまでの時間稼ぎでおいてやってるだけだけどな。そのうち、香西や三好にとってかわられるんだぜ! って思っているだけだ。


 細川は尊氏の頃は戦強かったけど、すっかり京兆家なんかは京暮らしが長くって公家化してるもんな。俺みたいに全国ウロウロしないし、戦争行かないし。パチモン公家なんかが足利幕府に必要あるわけねーだろ。それも、ひと昔前の発想だからな。


 ほら、朝廷とコミュニケーションするのに、赤松や山名じゃ相手がビビるだろ。だからパチモン公家に意味があった。今? 俺と花園君が叔父甥みたいな関係で、将軍と帝も従兄弟みたいな感じだぞ。必要あるわけないだろ。


 故に、細川の直系は俺の子孫が取って代わるから、安心して消えると良いよ。





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