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『義教記』~転生したら足利義教でした。【完結】  作者: 万人豆腐
『百年生涯』
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第百十八話 寛正七年/文正元年(1466):山名宗全は長命

第百十八話 寛正七年/文正元年(1466):山名宗全は長命


 俺もいよいよ七十二となった。元号が寛正から文正に変わる。


 最近すっかり見かけなくなった山名宗全とゆかいな山名達がどうなっている

のか、ちょっと教えておこうかなと思う。


 赤松を滅ぼしたのち、赤松の旧領を全て自分の者にできた場合と比べ、

山名『宗全』持豊にはさほど領国が増える事はなかった。

実際、将軍親征で播磨は傘下に収め、備前は細川が入ったので美作くらいしか抑えてないから

だな。


 相続時に伊賀は回収し(元々仁木氏が守護であったのを親父の山名時煕が二年ほど借パクしていた)、侍所にも加えなかった。

但馬と備前を交換して

与えたから、この時点で、山名持豊の守護を務める国は備後・安芸・備前・美作。

加えて、一族で抑えるのは石見・伯耆・因幡の三ヶ国の計七カ国。


 細川が八カ国であること、将軍が直接統治下に置いている四十五カ国のなかでかなりの規模の地域をまとめて抑えていることが分かる。

畠山の能登・越中と

河内・紀伊や、斯波の越前・尾張・遠江と比べればわかるだろう。


 間に、細川の備中・京極の出雲を挟むものの、塊としては大きいのだ。


 赤松討滅後、侍所頭人兼山城守護・但馬・備後・安芸・伊賀・播磨守護

教清は石見・美作、教之は伯耆・備前を領有、山名熙高の因幡も合わせて

十ヶ国の守護職となるはずであったのがだ。それと比べるとかなり弱いが。


 京を抑え、山陰山陽をほぼ支配し、単独で遣明船に参加できるほどの財力をもつろくでもない奴が山名なのだ。

大体、こいつ超外様なんだぜ。


 とはいっても、尊氏の母と山名時氏の母が姪と叔母の関係だったから、

上杉家を通して同じ血は流れているので、建武の新政の頃から山名一族は

母方の縁で足利に従っていたのだけどね。


 だから、距離が近いようで微妙に遠いのだろうと思う。

かなり底辺で苦労した一族だったようなので、そのハングリーさと上昇志向はこの代になっても

衰えていないのだろうと思う。



 実際、応仁の乱の枢軸になったわけだし。義政のおっさんが火に油だった

訳だが、選択肢が山名と細川で選べたこともいくない。


――― その種をまいたのは万人恐怖君なんだけどね。




 さて、大内教弘は俺と一緒に養父持世が死ななかったお陰で、無事俺の

大姫の婿になった。オリジナルの嘉吉の乱が無ければ大内までが山名の

義理の息子となっていたので、山陰山陽はほぼ山名の物になっていた。

大内が持つ、九州の権益や戦力もだ。


 実際、応仁の乱において、大内教弘は自分の戦力に九州の勢力を加え上洛している。

これで、少弐や大友が復活する時間が稼がれてしまったわけだ。


 山名は強者のイメージがあるが、義満の時代、宗全の親父の時煕が後を継いだ際に、跡目争いから内乱が起こっている。

「明徳の乱」と言われる山名の相続

争いなのだが、これで11カ国から3カ国に守護を減らしてしまっている。


 そう考えると、山名宗全のタイミングにおいて精強となったかのように見える

だけであって、守護代や国人の統制に優れているわけでも、守護としての

経営能力が高いわけでもないのだ。


 この時代、当主が長生きするという一点で、他の三管領四職の家との

勢力争いに勝つことが出来ると言える。細川の家がこのタイミングで今一

なのは、細川勝元に至るまで、比較的早死にが多かったからであり、斯波氏は

義将の後が長生きできていないので右肩下がりの守護代付け上がりなのが

早々に瓦解する原因であった。


 畠山も満家が長生きした半面、その後は比較的短命であった。山名はどうか?

山名時煕・『宗全』持豊共に七十近くまで生きる長命な当主が続いた。

つまり、それだけなのだと俺は思っている。


 あれだ、家康も長生きだったが、秀忠も五十三、家光も四十七まで

生きているから、江戸幕府が落ち着くことが出来たのはこの辺りもあるだろう。

子供の君主ばかり続くのは王朝末期だよね。




 政治的には俺が長生きすることで主導権も握れず、山城に播磨も手に入れる

ことが出来ていないので、経済力も政治力も段違いに低く抑え込まれているのが

今の山名の一族だ。エンジンの無いシャシーだけの車みたいなもんだね。もしくは

ドンガラは立派だが、エンジンがしょぼい。エコだがパワーは無いな。


 配る餅が無ければ家内統制だって難しい。

播磨の赤犬が頑張れたのも所司代・山城守護を任ぜられた上で、兵庫を抑えていたからだろうし、その権能をそっくり奪うことが出来たオリジナル宗全が精強なのは当然だろう。

だけど、今は無理だよねー。

それはそっくり俺が頂いちゃったからね。


 さりげなく、山名外しの経済圏も形成しているから、数は多くても金周りは凄く悪いはず。

金が無ければ戦も出来ないから結果として平和になっている

とも言える。


 そんな理由で、山名宗全が死ぬまでの間時間稼ぎをしながら、徐々に衰弱

していく山名の領国を監視しているのが現状なのだよ。


――― 長生きする事が最大の政治的軍事的効果を生むとか……長生きチートかよ。




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